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梅毒感染の割合 2022年出産の妊婦は2016年の3倍以上 母子感染も

  • 2024年1月11日

産婦人科の医師の団体が妊婦での梅毒の感染状況を調査したところ、おととし(2022年)1年間で感染がわかった妊婦の数は370人あまりで、感染者の割合は、8年前(2016年)の調査の3倍以上となったことがわかりました。

また、梅毒に感染した妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」の子どもは28人いたほか、梅毒との関係はわからないものの、死産も8例あったということです。

先天梅毒や梅毒の症状などについてもまとめました。

おととし出産した妊婦 梅毒感染の割合が…

ここ数年、国内で梅毒の患者が急増していることを受けて、日本産婦人科医会は、妊婦の感染状況について出産を取り扱っているおよそ2000の医療機関を対象にアンケート調査を行い、1346の施設から回答を得ました。

アンケートの結果、回答した施設で、おととし(2022年)出産した妊婦およそ45万5千人のうち梅毒に感染していたのは376人で、感染している人の割合は前回調査した2016年と比べおよそ3.3倍に増えていることがわかりました。

感染がわかった時期については、▼80.9%が妊娠初期の健診でわかった一方、▼健診を受けずに出産するなどした結果感染がわかったケースも14.5%と前回の調査よりも増えていました。

また、▼梅毒に感染した妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」の子どもは28人いたほか、▼梅毒との関係はわからないものの、死産も8例あったということです。

調査をとりまとめた東邦大学の早田英二郎准教授は、次のように話しています。

東邦大学 早田英二郎准教授
「今回の調査は国内の出産数の6割ほどが対象のため、梅毒に感染している妊婦はもっと多い可能性がある。梅毒は早期に治療すれば治すことができる病気なので、心配なときは婦人科に相談してほしい」

先天梅毒とは?梅毒とは?

◇先天梅毒とは◇
梅毒は、主に性的な接触で広がる細菌性の感染症で、治療せずに放置すると深刻な症状を引き起こすことがあるほか、感染した妊婦から胎児に母子感染すると「先天梅毒」といって死産につながったり、皮膚の異常や難聴といった症状が出たりするおそれがあります。

日本性感染症学会のガイドラインなどによりますと、梅毒は大きく3つの段階を経て進行します。

「第1期」
感染から1か月程度たった「第1期」には原因となる細菌が入り込んだ場所を中心に、3ミリから3センチほどの腫れや潰瘍ができますが、数週間で消えてしまうことがあります。痛みやかゆみを感じることはほとんどないとされています。

「第2期」
感染から1か月から3か月程度たった「第2期」には、細菌が血液によって全身に運ばれるため、手や足など全身に赤い発疹が現れることがあります。

発疹がバラの花の形に似ているとして、「バラ疹」(ばらしん)と呼ばれています。
このほか、発熱やけん怠感など、さまざまな症状が出ることがあります。
この時期までは症状が自然に消えることがありますが、梅毒が治ったわけではありません。また、性的接触での感染力が強いとされています。

「第3期」
感染から3年程度以降は「第3期」と呼ばれ全身で炎症が起こり、骨や臓器に「ゴム腫」と呼ばれるゴムのような腫瘍ができることがあるほか、治療薬が普及していない時代は、大きなできものができたり、鼻が欠けたりすることがありました。

さらに進行すると、脳や心臓、血管に症状が現れ、まひが起きたり、動脈りゅうの症状が出たりすることがあります。

ただ、現在の日本ではこの段階まで進むことはほとんどありません。

また、妊婦が感染した場合、胎児の流産や、死産のリスクが高まるとされています。
妊婦から胎児に感染する「先天梅毒」になることもあり、生まれて間もない時期に発疹や、骨に異常が出ることがあるほか、乳幼児の間は症状がなくても数年後に目の炎症や難聴などの症状が出ることがあるということです。

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