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江東区長選挙 立候補者と訴え 期日前投票は? 投開票12月10日 選挙の経緯など詳細まとめ

  • 2023年12月3日

東京・江東区では、ことし4月の選挙で初当選した区長が公職選挙法違反の疑いで関係先の捜索を受けるなどして辞職する事態となりました。区長の辞職にともなう江東区長選挙は12月3日告示され、新人5人が立候補しました。選挙戦では混乱した区政の立て直しなどをめぐり論戦が交わされる見通しです。立候補者の訴えに加え、選挙の経緯や背景、期日前投票の場所や時間など詳しくまとめました。

新人5人が立候補

東京・江東区長選挙に立候補したのは、届け出順に次の方々です。いずれも無所属の新人です。

▼自民党、公明党、国民民主党、地域政党の都民ファーストの会が推薦する元東京都政策担当部長の大久保朋果氏(52)

▼地域政党の自由を守る会が推薦する元江東区議会議員の三戸安弥氏(34)

▼元国税庁職員の猪野隆氏(58)

▼日本維新の会が推薦する医療法人理事長の小暮裕之氏(44)

▼立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党、地域政党の東京・生活者ネットワーク、政治団体の緑の党グリーンズジャパンが支持する元江東区議会議員の酒井菜摘氏(37)

大久保朋果氏(無・新)

大久保氏は「魅力と可能性にあふれる江東区が、区政の混乱停滞でストップしているのはもったいない。都庁でおよそ30年間、福祉行政、政策立案のキャリアを積んできた私が約束する政治信条は3つある。1つは子育て中の未来世代、私たち現役世代、そして先輩世代の全世代が安心して暮らせる街づくりを実現していく。2つめは政治の素人としてこれまでの都庁での経験を生かし、区民目線で生活最優先の区政を実現していく。そして3つめは何よりクリーンで公正な選挙と政治。区民の信頼を取り戻すため自分自身はもちろん、区役所全体でコンプライアンスの徹底に取り組んでいく」と訴えました。

三戸安弥氏(無・新)

三戸氏は「私は、1人の母親として、これ以上、子どもたちの未来を誰かに任せておけないと、意を決して2019年に江東区議会議員になり、たった1人でおかしな税金の使い方や古い議会のルールと闘ってきた。クリーンで開かれた区政を掲げた前区長のもと、政治倫理条例の制定に取り組んでいたそのやさきに政治の不正、区民を裏切り、欺くかのようなさまざまな出来事が起き、区民に会わせる顔がない。この闘いは私1人の闘いではない。江東区が、日本全体が、少しでも良くなればと願う区民とともに闘う。政治を諦めないで下さい。風が起きるのを待つのではなく一緒に風を起こしましょう」と訴えました。

猪野隆氏(無・新)

猪野氏は「私利私欲にまみれた政治が許されないということは言うまでもなく、1票に託された有権者の期待や希望に応えようと、掲げた公約を実現しようと、努めることが誠実な政治だ。核家族化が進む今、行政がしっかりと子育てと介護を支援していく時代で、保育園や特別養護老人ホームを増設するとともに、保育士や介護士の報酬をきちんと引き上げ、人手不足や人材不足を解消していくべきだ。また、ものの値段がどんどんと上がっていく中、飲食料品を購入した際に割引を受けられる電子決済サービスやクーポンを利用してもらうことが物価高騰対策として有効だと考えている」と訴えました。

小暮裕之氏(無・新)

小暮氏は「皆さんの中にも、政治、行政に不信感や不満がある人がいるのではないでしょうか。私が民間企業でもっとも大事にしてきたことはお客様から、ありがとうと言われること。気に入ってもらって、リピートしてもらうこと。区民の声をしっかり聞いて、生活や福祉、社会秩序のために、区民から評価を受けながら、ありがとうと言ってもらえる、そんな政治、行政に、生まれ変わる必要がある。われわれ民間が立ち上がらなければ、政治家に、官僚に、公務員にとって都合のいい、政治と行政が続いてしまう。経営者や起業家は、何も無いところから生み出している、これを江東区の政治で実現したい」と訴えました。

酒井菜摘氏(無・新)

酒井氏は「今、江東区で騒がれるのは、利権や金の問題ばかりで、政治だけが腐敗してしまっていることに私も怒っている。今こそ、区民に寄り添う区政をつくるべきと立候補を決意した。区議会議員に初当選するまで区内の病院で看護師・助産師として働き、子育て世代のリアルを知っている。また、私自身が6歳の女の子を育てている母親だからこそ、子育て最優先の子育て先進区をつくっていくことを約束する。“頑張るあなたを1人にしない”を政策の柱にして、障害のある方、困難を抱えている女性、非正規で働いている方、多様な声を、区民と対話して協働しながら、区政に反映させたい」と訴えました。

期日前投票の場所や時間

江東区の選挙管理委員会によりますと、今回の選挙の投票日に仕事や病気などで投票できない人のため、区内9か所に期日前投票所が設けられます。

江東区長選挙 期日前投票所 午前8時半~午後8時
施設 所在地
江東区役所本庁舎 2階区民ホール 東陽4-11-28
森下文化センター 2階工匠館 森下3-12-17
富岡区民館 3階ホール 富岡1-16-12
豊洲シビックセンター 1階ギャラリー 豊洲2-2-18
小松橋区民館 4階第1・2洋室 扇橋2-1-5
カメリアプラザ 1階フロア 亀戸2-19-1
総合区民センター 2階展示ホール 大島4-5-1
砂町区民館 3階タウンホール 北砂4-7-3
南砂区民館 4階ホール 南砂6-8-3

 

期日前投票ができるのは12月4日月曜日から9日土曜日までの6日間で、時間はいずれも午前8時半から午後8時までです。
最終日は混雑も予想されるとして選挙管理員会では日にちに余裕を持った投票を呼びかけています。

過去の投票率は

江東区長選挙の投票率は平成15年以降、50%に届かず、40%台後半で推移しています。

江東区長選挙は昭和22年からことし4月の前回選挙まであわせて16回行われています。このうち投票率が最も高かったのは昭和26年の選挙で、80.12%でした。
一方、最も低かったのは平成23年の45.75%でした。元区長の死去にともなって行われた前回・ことし4月の選挙は48.86%でした。

江東区長選挙の経緯

今回の江東区長選挙は、木村弥生前区長の辞職にともなうものです。木村前区長はことし4月の区長選挙で、4期16年務めた元区長の長男と激しい選挙戦を繰り広げ、「クリーンで開かれた区政」を訴えて初当選しました。
しかし、選挙期間中に陣営がYouTubeに本人の姿や「木村やよいに投票してください」という文字を組み合わせた有料広告を出していたことが明らかになりました。

公職選挙法は、選挙期間中にインターネット上の有料広告で候補者名などを表示して選挙運動を行うことを禁じていて、東京地検特捜部はことし10月、公職選挙法違反の疑いで区役所の区長室などを捜索し、本人も任意で事情聴取を受けました。

そして、東京地検の捜索から2日後の10月26日、木村氏は「このあとも事情聴取など捜査が進む中で、新年度予算の編成など重要な区政を、これ以上、混乱・停滞させてはならないと考えた」と述べ、辞職届を提出しました。

これを受けて、前回の区長選挙から1年もたたないうちに再び選挙が行われることになりました。

ことし4月の江東区長選挙をめぐっては、木村氏を支援していた自民党の柿沢未途衆議院議員が有料広告の利用を勧めた責任をとりたいとして、10月末に法務副大臣を辞任し、11月には、江東区の地元事務所や秘書の自宅などがみずからによる公職選挙法違反の買収の疑いで東京地検特捜部の捜索を受けています。

柿沢議員は後援会の関係者に宛てた文書で、動画作成に関する違法性の認識や買収の意図を否定する見解を示しています。

前回選挙の背景 父親世代から続く構図

江東区では、保守系の支持層をめぐって、区長を4期16年務めことし4月に亡くなった山崎孝明元区長、木村前区長の父親の木村勉元衆議院議員、柿沢未途衆議院議員の父親の柿沢弘治元外務大臣が勢力争いを繰り広げてきました。

父親世代から続く因縁の対決で、関係者によりますと、柿沢氏は木村氏の支援にあたり、秘書が選挙事務所の運営を担うなどしたということです。

関係者によりますと、さまざまな政党に所属してきた柿沢氏は、自民党への入党を希望していましたが、影響力を持っていた山崎元区長が反発したことなどから、2人の関係にはしこりがあったとされ、柿沢氏と木村氏が手を組み山崎氏に対立する構図ができあがったということです。

こうした江東区の複雑な政治事情を、“魔の三角地帯”とか“三国志”などと表す関係者もいます。

こうした中で行われる選挙戦。各候補は、クリーンな政治の実現や区政への信頼回復などを訴えています。

人口の増加が続く江東区の課題は

江東区は東京23区の東部にあり、人口は11月1日時点で53万9000余りです。昔ながらの商店街や中小の町工場がある地域と、タワーマンションが建ち並び若い世代も増えている豊洲地区などからなっています。

全国的に少子高齢化が進む一方で江東区では人口の増加が進み、2000年以降、16万以上増えています。こうした中、人口の増加に対応した政策の充実や、子育て・教育環境の整備、臨海部の交通の利便性を高める街づくりなどが課題となっています。

江東区の区長選挙の投票日は12月10日で、即日開票されます。

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