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世界の都市総合力ランキング2023 東京どう評価 賃金 成長率 物価 賃料 利便性…

  • 2023年11月10日

世界の都市総合力ランキングが発表されました。東京は8年連続で3位です。東京の「経済」、「研究・開発」、「文化・交流」、「居住」、「環境」、「交通・アクセス」の6分野の評価を見ると、前年から居住分野はランクを上げた一方、経済分野は賃金水準などでスコアを落とし、大きく後退しました。前年の評価とあわせてまとめました。

世界の都市総合ランキングとは

民間のシンクタンク「都市戦略研究所」は2008年から世界の主要な都市の「総合力」を評価し、順位づけをしています。ことしも対象は48の都市です。

〇6分野70指標をスコア化
世界の都市総合ランキングは6分野の70指標を2600点満点でスコア化し、都市の総合力をランクづけします。

〇国際機関や政府データ活用
評価には国際機関や各国政府のデータを用いて、専門家がデータの妥当性を検証した上で各指標の分析に活用しているということです。

〇住民アンケートも
あわせて、観光や都市空間に関する9つの指標については対象の48都市に住むおよそ9600人にアンケートを実施し、それを点数化して評価に使っています。

東京 8年連続で3位

その結果、1位はロンドン、次いで2位にニューヨーク、3位に東京、4位にパリ、5位にシンガポールとトップ5は去年と同じでした。東京の3位は8年連続です。

ランクを上げた分野 「居住」「交通・アクセス」

6分野のうち東京がランクを上げたのは「居住」です。為替変動の影響で生活コストが安い都市として、住宅賃料水準の低さや物価水準の低さに加え、小売店や飲食店の多さといった生活利便性の高さが強みになりました。

また「交通・アクセス」もランクを上げ、公共交通機関の利用率などが高い順位を維持したほか、国内線・国際線の旅客数やタクシー・自転車での移動のしやすさでスコアを上げました。

※2022年(前年)評価が上がった分野※
6つの分野のなかで、唯一、2021年より評価が高かった分野が「環境」で「空気のきれいさ」、「都市空間の清潔さ」などのスコアが上がりました。

ランクを下げたのは「経済」「環境」

ランクを下げたのは「経済」と「環境」で、特に「経済」は過去最低の10位に下落しました。

具体的には、GDP=国内総生産の成長率が48都市中、47位であることに加え、優秀な人材の確保など例年の課題が改善されていないと指摘しています。さらに、ことしは賃金水準の高さやワークプレースの充実度でもスコアを落としました。

こうした結果を踏まえ、東京には新たな産業創造が必要だとして、賃金水準の引き上げやスタートアップ支援などに力を入れるべきだと指摘しています。

※2022年 評価が下がった分野※
新型コロナウイルスの水際対策の影響で、国内ではことし10月に大幅に緩和されたものの、「外国人訪問者数」や「国内・国際線旅客数」などの回復の遅れにつながったとして、「文化・交流」「交通・アクセス」の分野で評価が下がりました。
また、「経済」の分野でも、「賃金水準の高さ」や「ワークプレイス充実度」などの指標で、各都市に比べてスコアが低くなり、評価が下がりました。

“夜、楽しめる都市になれるかが東京の課題”

ランキング作成の責任者で、都市政策が専門の明治大学の市川宏雄 名誉教授は次のように話しています。

明治大学 市川宏雄 名誉教授
「東京は6つの分野でバランスがとれているが、強みもない。例えば、午後6時以降で人々が楽しめるかどうかを調査すると、世界のトップはロンドンで、東京は27番目となっている。週末には地下鉄を終夜運行するなど、夜、楽しめる都市になれるかが東京の課題だ」

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