首都圏ネットワーク

  • 2023年3月22日

マンションなど高い住宅需要 東京都心も郊外も地価上昇 あなたの街は?

不動産のリアル(8)
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ことしの地価公示が公表されました。 
特徴は、東京の都心だけでなく、隣接した埼玉や千葉などでも顕著な地価の上昇が見られたことです。これには、比較的割安でアクセスのよい郊外に住宅を求める動きが広がっていることが背景にあるようです。 
(私たちは高騰し続ける首都圏の不動産のリアルを取材しています。みなさんからの情報や意見をこちらまでお寄せください) 
(首都圏局/不動産のリアル取材班 記者 牧野慎太朗)

東京23区では全エリアで上昇

地価公示とは、国土交通省が全国のおよそ2万6000地点を対象に、ことし1月時点の土地の価値を調査したものです。 
こちらが、東京23区ごとの地価の変動率(対前年比)を示した地図です。

東京23区ではすべての区で地価が上昇しました。利便性の高さから住宅需要が好調なことが理由だということです。

去年とことしの変動率を比べると、去年は平均で2%以上上昇したのは、「濃いオレンジ」の8つの区だけでしたが、ことしは全ての区が2%以上上昇しました。

東京23区全体の上昇率は3.4%、1平米あたりの平均価格は66万5300円でした。 
以下は、平均価格と上昇率が高い上位3つの区です。

平均価格(1平米あたり)  
千代田区 279万1400円 
港区 214万9700円 
渋谷区 138万6700円

上昇率(対前年平均) 
台東区 4.8% 
豊島区 4.7% 
中野区 4.6%

住宅需要支えるマンション人気

こうした住宅需要を支えているのが、都心でのマンション人気です。私たちは、新築、中古、賃貸いずれも都心では価格が高止まりしている実態を伝えてきました。(詳しくはこちら

こちらの東京・品川区の32階建てのタワーマンションは、ことし8月に完成予定ですが、すでに9割以上の部屋は買い手が決まっているそうです。

取材に訪れた日も、モデルルームを見学する人たちの姿が多く見られました。

気になる価格ですが、山手線の目黒駅から徒歩10分以内という立地もあって、ほとんどの部屋が1億円超えの「億ション」です。

それでも、訪れた人からは「継続的に地価が上昇する都心だからこそ資産性が落ちづらく魅力的だ」という声が聞かれました。

30代女性

目黒や恵比寿に近く、山手線沿いのこのエリアなら物件の資産価値が高いと思って立地重視で検討しています。ずっと住む予定はないので、地価の上昇が続く都心なら今後物件を売ったときに値下がりしている心配も少ないと思います。

20代男性

自分と妻の勤務地に近くて通勤の負担もなるべく減らせると思っています。都心はどの物件も値上がりしているので今後も上り調子が続いていくことを期待して、売ったときに資産として残るようにしたいです。

野村不動産「プラウドタワー目黒MARC」 販売責任者 西大樹さん 
「1つの物件にずっと住み続けるのではなく、住まいを買い換えていく前提で購入する方も増えていて、物件の資産価値を維持したいという思いから立地を重要視する声をよく聞きます。共働きの世帯が多くを占める中で、以前よりも在宅勤務の頻度が減っている会社も多くなっているので、改めて職場までの距離の近さから都心に住みたいというニーズが高くなっていると感じます」

郊外でも地価上昇

ことしの地価公示では、都心だけでなく、郊外での上昇が顕著でした。 
下の地図は、東京を中心に埼玉、千葉、神奈川、茨城の4県の一部を含む「東京圏」の住宅地の状況です。

平均で2%以上地価が上昇した「濃いオレンジ」や「赤」で示した自治体は、去年、都心や埼玉県の一部に限られていましたが、ことしは、都心に近接する周辺エリアに広がっていることがわかります。

なかでも、自治体別の平均が去年に比べて最も上昇したのは、千葉県浦安市で9.7%。次いで千葉県市川市で6.8%、埼玉県戸田市で5.8%と、上昇の幅も大きくなっています。

浦安の地価 大幅上昇 なぜ?

私たちは、上昇率が最も大きかった浦安市を訪ねてみました。海沿いのエリアでは新たな住宅地の開発が今まさに進められていました。

住宅開発が進む浦安市

市内では人口の増加も続いています。ことし2月時点で16万9500人で、ここ10年で8000人ほど増えています。 
住宅を販売する会社の担当者も、「都内から浦安市に移り住む方が増えている印象です」と話していました。

オープンハウス 中田亮平 千葉営業部長 
「浦安は鉄道網も整備されていて都心へのアクセスのよさがウリです。都内では住宅価格が高騰していますが、価格帯も都内よりは安いうえに広い部屋に住めるので、都内から浦安に住まいを求めるファミリー層が多くなっているように感じます」

実際に、おととし、浦安市に戸建ての住宅を購入した40代の夫婦にも話を聞くことができました。 
夫婦は3歳と1歳の娘の4人暮らし。勤務先は東京の都心にあります。

2人目の出産を機に、子育てができる広い戸建てに住みたいと、都心から離れすぎない範囲で家探しを始め、子育て環境が整っていて利便性が高いと感じた浦安市に決めたといいます。 
購入金額は約6000万円ほど。都心で買うより割安だったといいますが、市内でも地価の上昇に伴って、年々、住宅価格が上がり続けています。

40代夫婦 
都内では買えないけど浦安なら金額的にも手が届く範囲で、予算と利便性がちょうどいい場所でした。もっと都内から離れると金額的には安くなったんですけど、その分都心までの通勤時間がかかってしまうので。

ただ、家を探す中でも浦安の地価も上がり、物件価格も以前より1000万円ほど高くなっていて、これ以上待つと、手が出なくなってしまうので早めに決断しました。

震災で一時地価下落の過去も

浦安市は、東日本大震災の前から郊外のベッドタウンとして人気を集めてきました。

しかし、埋め立て地が多かったため、震災により市の面積の約86%が液状化し、住宅など約9000棟が傾くなどの被害がでました。 
これにより、震災直後は市内の平均地価も大きく下落しましたが、4年後には再び上昇に転じ、ことしの1平方メートルあたりの平均価格は32万5700円と、震災前の価格を4万円ほど上回っています。

浦安市では、住宅地での液状化対策を進めようとします。ただ、1戸あたり200万円ほどの個人負担がかかるうえに、住民全員の合意形成が高い壁になり、工事が完了したのは対象の16地区のうち1地区にとどまっているということです。

浦安市の担当者は「震災後に開発された住宅地では民間事業者による液状化対策が講じられているところもあると聞いています。ただ、すでに住民が住んでいるエリアで地盤の改良工事を進めるのは難しいので、住宅購入時に過去の液状化被害の状況を確認してほしい」としています。

浦安市に住宅を購入した夫婦も、液状化のリスクも考慮した上で、最後は購入を決めたそうです。

40代夫婦 
心配な気持ちもありますが、それでも子育て環境や利便性の高さなど、よい面がそろっている浦安がいいと思いました。液状化被害を経験してここまで復興してきた街なので、再び起きたときには行政も、迅速に支援や復旧工事を進めてくれると思っています。

都心も郊外も地価上昇 住宅難

これまで私たちは「不動産のリアル」と題して、東京の都心の分譲マンションの価格や賃貸マンションの家賃の高騰を伝えてきました。地価が示すように都心から周辺エリアに住宅を求める動きが広がり、そこでも価格がじわじわと上がっていることがわかります。 
空前の高騰が続く東京の不動産で今、何が起きているのか。私たちは引き続き皆さんからの情報や意見をもとに取材していきます。 
ぜひこちらから投稿をお寄せください。

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