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上野動物園のパンダ「シャンシャン」 返還なぜ?中国の施設は?

  • 2023年2月22日

上野動物園で生まれ育ったパンダの「シャンシャン」は2月21日、多くの人に見送られるなか、成田空港から日本をたち、その日の夜に返還先の中国に到着しました。

今後、中国でジャイアントパンダの保全と繁殖への活躍が期待されている「シャンシャン」が、日本をたった21日を振り返りました。

記事の中では、たくさんの人に愛された「シャンシャン」の誕生からこれまでの成長の様子、それに愛くるしい姿などを動画でお伝えします。

上野動物園で生まれ育った“シャンシャン”

1歳になる前日のシャンシャン 手前は母親のシンシン(2018年6月11日撮影)

「シャンシャン」は、6年前の2017年6月、上野動物園としては初めて自然交配で生まれ育ちました。

中国返還前 最終観覧日の2月19日 シャンシャン

両親は、東京都が「繁殖の学術研究」を目的に中国から借り受けていて、協定に基づいてその間に生まれたシャンシャンの所有権も中国側にあり、満24か月で中国に返還される予定でしたが、新型コロナの影響で延長されて21日の返還になりました。

21日午前7時10分ごろ 上野動物園を出発

上野動物園の職員に見送られてシャンシャンを載せたトラック 成田空港へ

「シャンシャン」を乗せたトラックは、午前7時10分ごろ、上野動物園を出発しました。

朝日に照らされる動物園周辺に集まった人々

動物園周辺には大勢の人が集まり、「シャンシャン」を乗せたトラックをカメラに収めるなど、別れを惜しんでいました。

シャンシャンを見に動物園に通ううちに友達になったという「シャン友」の3人の女性は、シャンシャンを見送ったあと「シャンシャンが人生の一部で心の支えだったので、トラックが目の前を通ったときは胸が苦しかった。返還されるのはしかたないことなので、中国でのびのび暮らして、いいお母さんになってほしい」などと話していました。

シャンシャンを見送った上野動物園 福田豊園長

上野動物園 福田豊園長
「シャンシャンが生まれた時から成長を見てきたので、中国に渡るのは寂しく感じている。シャンシャンは、多くの人の心を和ませてくれた。ありがとうと伝えたい。中国までの旅が無事に完了し、パンダの保護や研究に寄与してほしい」

21日午前10時ごろ 成田空港には・・・

シャンシャンに別れを告げようと集まった人たち

「シャンシャン」が運ばれた成田空港のターミナルビルの展望デッキには、およそ600人のファンが集まりました。

感謝の気持ちを伝えようとシャンシャンのイラストとメッセージ記したうちわ

手にはシャンシャンへのメッセージなどを書き込んだうちわやぬいぐるみを抱えた多くのファンがフェンス近くに集まっていました。

動物園によりますと、成田空港に到着した「シャンシャン」は、空港で与えられた好物のタケノコやリンゴを食べて落ち着いた様子だということです。

茨城から訪れた夫婦
「我が子のように思っていたので寂しいです。子どもが一人暮らしを始めたときと同じような気持ちです」

40代の女性
「コロナ禍でもシャンシャンを見て元気をもらっていました。姿を見られなくても気持ちを伝えたいと思い、空港に来ました」

21日午後1時前 中国に旅立つ

シャンシャンを載せた貨物機が成田空港を離陸 中国へ

そして、午後1時前。
飼育員とともに専用の貨物機で中国・四川省の成都に向けて出発しました。

空港に集まった人たちは「シャンシャン、ありがとう」とか「中国でも元気でね」などと言いながら、カメラで写真を撮るなどしていました。

19歳の女性
「貨物機が飛び立つのを見て、涙が出てきました。シャンシャンが生まれてからずっと見てきたのでとても寂しいです。中国では仲間と一緒に幸せに過ごしてほしいです」

60センチほどの大きさのパンダのぬいぐるみを抱えた40代の女性
「シャンシャンが生活のすべてでした。今までは会いたいと思った時、動物園に会いに行けましたがそれができなくなり寂しいです。たくさん幸せをもらった分、中国で幸せになってほしいです」

日本時間 21日午後6時20分ごろ 中国に到着

中国国営の新華社通信によりますと、上野動物園のパンダの「シャンシャン」を乗せた貨物機が、現地時間の午後5時20分ごろ、日本時間の午後6時20分ごろ、中国・四川省成都の空港に到着しました。

現場からの映像では貨物機からシャンシャンの入ったおりがゆっくりと出てくる様子が撮影されています。おりの中にいるシャンシャンの姿ははっきりと見えないものの、動き回る様子を確認することができます。

およそ5時間半のフライトでしたが、体調に問題はないということです。

シャンシャンが入るのは・・・

飼育員とともに中国・四川省の成都に向かったシャンシャン。
到着後、陸路で雅安市にある「中国ジャイアントパンダ保護研究センター」に入るということです。

中国でもリアルタイムで動静伝える

上野動物園のパンダの「シャンシャン」が返還される中国でも、メディアが貨物機の動静をネット上でリアルタイムで逐一伝えるなど、高い関心を集めています。

このうち、中国のネットメディア「澎湃(ほうはい)」は、シャンシャンが21日朝、多くのファンに見送られながら上野動物園を出発したことを写真とともに大きく伝えています。

また、中国のSNS「ウェイボー」には「日本の皆さんがこんなにシャンシャンを愛してくれてありがとう」などといった書き込みが相次いでいます。

東京にある中国大使館の報道官はホームページに、シャンシャンをはじめ、和歌山県白浜町のテーマパークで飼育され、22日に中国に返還される「永明」など、合わせて4頭のパンダについて「最もかわいい友好の使者に心から感謝する」とした文章を掲載しました。

そのうえで、日本の人々に向けて「皆さんがいつか中国の四川省に旅行で訪れ、シャンシャンたちの帰国後の生活を見守ってくださることを心から歓迎します」としています。

中国外務省報道官 “両国の友好促進してくれたかわいい使者”

中国外務省の汪文斌報道官は、21日の記者会見で「シャンシャンは両国のジャイアントパンダの保護と研究における協力の重要な成果であり、友好交流を促進してくれたかわいい使者だ」と述べました。

そのうえで「両国が引き続き保護と研究の協力を進め、両国の人々に喜びと友好をもたらすことを希望し、日本の皆さんがシャンシャンたちに会うために中国を訪れることを歓迎する」強調しました。

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