自然解説のプロフェッショナル、プロ・ナチュラリスト佐々木洋さんと楽しむ冬の自然観察!
今回訪ねたのは、栃木・群馬・埼玉・茨城と4県をまたいだ広大な湿地の「渡良瀬遊水地」。国際的に貴重な湿地として「ラムサール条約」に登録されている自然の宝庫なんです。
この時期ならではの生き物や観察の楽しみ方をご紹介します。
広さ3300ヘクタール、ハート型の谷中湖や広大なヨシ原があり、東京ドーム700杯分の水をたくわえることができます。洪水被害などに備える遊水地の役割をもっていて、中には散策やサイクリングを楽しめるエリアもあるんです。
特にヨシ原は、生き物の棲みか・狩場であり大切な自然環境。冬の時期のヨシ原は一面きつね色!いろんな生き物の観察もしやすいんですよ。
のぞいた時に丸が2つありますよね。双眼鏡を折って調整しながら、丸が1つのところを探してください。それが自分の目の幅です。
のぞいてみるとこのようなイメージ。調整していくと丸が一つになって、さらにピントを合わせれば準備OK!
注意してほしいことが太陽は絶対に見ないこと!双眼鏡をのぞきながら探すと視野が狭くなってしまうので、まずは肉眼で探すというのがポイント。
佐々木さんの目のつけどころをヒントに、さまざまな鳥を見つけることができました。
猛禽類の「チュウヒ」は、この場所のシンボルのような鳥。この時期、主に外国から渡ってきて、ねずみなどを狙ってヨシ原の上を飛んでいます。同じくここのシンボルになりつつあるのがコウノトリ。栃木市や小山市では、人口の巣の塔をヨシ原の中に作って繁殖活動に力を入れているんです。巣には近づかず、静かに見守っていきましょう。
冬の時期ならではの自然観察も。「ラクウショウ」別名:ヌマスギの実は、割ると南国のフルーツのような香りが!?ねっとりしたヤニがつくので、気を付けながら鼻を近づけて試してみてください♪
佐々木さんイチオシというのが、栃木県の県木「トチノキ」。落葉し冬芽があるのが特徴ですが、注目は冬芽の下にある葉の跡。よく見ると…
ワンちゃんやクマさんの顔のように見えますよね。実はこの点々模様、養分や水分が通っていた茎の断面なんです。葉っぱがあるときにこの枝から養分や水分が葉っぱに向かって流れていたわけです。ちなみに冬芽と一緒に全体を見ると、イギリスの近衛兵にも見えませんか?
ヨシ原では、鳥の痕跡のようなものを発見!
鳥の羽ではなく、ガガイモという植物の種です。タンポポの綿毛に比べるとダイナミック!つる性の植物で、ヨシに絡まって共存しているんですよ。
さまざまな生き物のより所になっているヨシですが、その魅力を広めていこうと活動しているのが「渡良瀬ヨシ愛好会」の皆さん。地元の小学生も体験しているという、ヨシ細工を教えてもらいました。
しっかりつかんでいるのに、とても丈夫!ヨシってこんなにかたいんですね!
かたいから簡単には折れないんです。自然に生えてるもので、こんな魅力的なものができるっていうのが一番。これからもヨシ細工が広まっていけばと思います。
佐々木さんは、ミニよしずをアレンジしたという、ヨシ灯りに挑戦!
毛糸の扱いに苦労しながらも完成。
初めてなので難しかった~。9割先生が作ってくれました。
子どもさんたちは夢中でいつもやっています。最後に出来上がるとやったって感じですごく喜んでくれます。
遊水地というものをもっと多くの人に知ってもらうというのが一番の目的です。ヨシを使って、少しでも多くの子どもさんやお年寄りに、さまざまな作品を作って頂ければと思っています。
いろいろな鳥や動物を見たりしましたが、何と言っても主役はヨシ。自然物としてもすばらしいですが、人間の生活と深い関わりがある。そこがすてきですね。
●渡良瀬遊水地
【利用時間】
・2月末日まで:午前9時半~午後16時
・3月1日~:午前9時半~午後17時
※3月2日(土)はヨシ焼きが行われる予定で立ち入り禁止
※毎週月曜日は利用できません
【アクセス】
<車をご利用の場合>
・東北自動車道:「佐野藤岡I.C.」「館林I.C.」より約20分
・国道354号線三国橋より北西約3km
<電車をご利用の場合>
・東武日光線「新古河駅、柳生駅、板倉東洋大前、藤岡駅」下車
・JR宇都宮「古河駅」下車
【ヨシ細工体験・渡良瀬遊水地について】
栃木市渡良瀬遊水地課:0282-62-1301