和紙などでできた紐状の素材「水引」。贈答品やお正月飾り、ご祝儀袋などの飾りでおなじみですよね。
ことしも年末年始が近づいてきて、見かける機会も増えているのではないでしょうか?
近年は、水引をアクセサリーや小物にする楽しみ方も。コロナ禍の“おうち時間”を経て、自作する人もぐっと増えたといいます。
今回は、“伝統工芸をもっと身近に!水引細工に挑戦!”ということで、初めてでもできる水引の基本の結び方と、それを使ったアレンジを専門家に教えていただきました。
(ひるまえほっと/リポーター 佐藤千佳)
<教えてくださったのは…>
水引デザイナー 小松慶子さん
水引の産地・長野県飯田市生まれ。「水引デザイナー」として、WEBを中心に、かわいく、つくりやすい水引細工のデザインを発信!水引を身近に感じて様々な形で楽しんでもらおうと、ワークショップを開催したり、雑貨・アクセサリーを販売。水引を使って、商業施設のディスプレイなども手掛けています。
小松さんと水引の出会いは、小学生の頃。伝統工芸を調べる自由研究の課題で、長野の飯田にある水引工芸館を調べてみたのが原点なんだそう。そこで教えてくれた方が、「現代の名工」にも選ばれた方で、目の前で作られている水引細工に、すごく感動したといいます。
小松さんの作品をスタジオにお持ちいただきました。アクセサリーや小物の中には、日常生活で、あると便利な“ケーブルホルダー”も!
クリスマスツリーは、ゴージャスなオブジェのようなものから、本格的なもみの木バージョンまで。このツリー、葉も、オーナメントも、星も、全部水引です。
さらに、お正月かざり、鏡餅などもあります!
これ全部水引!?すごいですね!水引を使って、こんなに、いろんなことができるんですね。
小松さんに、「これさえ押さえておけば、いろんなものに応用できる!」という基本の結び方「あわじ結び」と「梅結び」を、教えていただきます。
◇基本となるのが「あわじ結び」
水引は、1本から結びを作ることができます。本数が多くなるほど難しくなりますが、今回は3本で挑戦。なお、水引の本数は伝統的なルールがあり、「奇数」(1・3・5・7…)で作るようにしましょう。
水引は、手芸店や文房具店、100円ショップ、インターネットで買うことができます。
道具はハサミと接着剤(手芸用の接着剤や、グルーガンなど)です。
【あわじ結びの作り方】
1.まず、作りやすいように、水引をしごいてやわらかくします。
角度をつけてなぞるように水引の上をしごくと、自然とくるんと曲がるようになります。
2.中央を左手で持ちます。右側が上に重なるように交差させ、「しずく型」を作ります。
3.左の先を“しずく”の上に重ねて置いて、交点を左手の親指と人差し指で持ちます。
4.左側の長いほうの先を持ち、右の先を飛び越えて、3つの穴の中に、下から水引を入れていきます。下から上・上から下・下から上。そして、ひっぱります。
★この時、3本の並びがぐちゃぐちゃになりやすいですが、内側から順にひっぱると、きれいにそろいます。この状態で手を放しても形が崩れなければ、正しく結べています。
5.大きさを調整するには、上の2か所を持って外側に引っ張ると、真ん中が小さくなります。ここの交点を押さえて先をひっぱると、左右の輪が小さくなります。これで「あわじ結び」の完成です。
◇続けて、「梅結び」に挑戦!
【梅結びの作り方】
1.完成した「あわじ結び」の左側の先を、まんなかの輪のなかに、上から下に向かって入れていきます。
2.そして、今作った輪に、右の先を、上から入れます。
3.裏返して接着剤をつけて固定し、余分なところを切ります。「梅結び」完成です!
梅結びができるようになると、様々なアレンジを楽しむことができます。
水引の本数を増やしたり、ゆるめたり、きつくしたりすると、見た目の違いも楽しめます。さらに、梅結びの花びらの部分をとがらせると、星にもなります!
梅結びを覚えたところで、これを飾り付けて作る「お正月飾り」を教えていただきます。しかも同じ作り方で、使う水引の色を変えると、クリスマスリースにもなるんです!
小松さんのデザインは、「簡単・かわいい・使いやすく」がテーマ。今回は初心者でも挑戦しやすい作り方を、考えていただきました。
☆材料
・水引(赤白)ともに45cm … 各20本
・水引(金)30cm … 3本
水引は、基本的に90cmで売られているため、45cmの場合は、半分。30cmの場合は1/3にして切ると便利です。
【お正月飾りの作り方】
1.2色の束をねじり合わせながら、輪を作り、束の交差部分の上をマスキングテープでとめる。
2.作った輪の内側に、ゴールドの水引も、輪にして、マスキングテープでとめる。
★今回は挑戦しやすいようにマスキングテープを使いましたが、白い水引で巻くと、より丈夫です。
3.たこ糸を輪にしておきます。結び部分と束の隙間から、片側を出して上にひき、吊るす部分をつくる。
4.両端を切りそろえる。長さはお好みですが、今回は、内側のゴールドはテープぎりぎりの部分で。赤白は輪っかの大きさに合わせて切り揃えます。
★本数が多くなると切るのが大変なので、園芸ばさみがあると便利!
5.最後に、マスキングテープを隠すように、梅の花をつけて、完成!
★梅結びの大きさ・つける数はお好みで!今回は、ゆるめに作った梅と、きつく結んだ梅、2つ重ねて付けました。
さらに、輪の大きさを変えて作ってもかわいく作れます。
基本を押さえるだけでも、伝統工芸が、アイデア次第で日常で楽しめるものになりますよね。
これを機会に、水引に興味を持って、日常でも楽しんでいただきたいですし、愛着を持ってもらえたら嬉しいです。
【編集後記】
近年、水引を使った素敵なアクセサリーや、キラキラとしたずっと取っておきたくなるようなご祝儀袋などを目にします。自分でもできると知り、手芸好きな私はすぐにチャレンジ!コロナ禍ではかなりおうち時間を共にしました(笑)
しかし、そのような様々な広がりを見せている背景には、伝統工芸としての水引の減少・危機感があると今回の取材で知りました。ちょっとした贈り物に自分で結んだ水引を飾ってみたり、日常に生かせる小物を作ってみたり。そういったことを通して、「愛着を持つ人が1人でも増えるといいな」と思います。(小松さんもおっしゃっていました。)
基本を覚えれば、どんどん広がる、水引の世界。今回の放送が、自分で作る楽しさを入口に、伝統工芸を知るきっかけにしていただけたら嬉しいです。私もこの冬、寒い日のおうち時間は、水引で決まりです!
リポーター 佐藤千佳