各地のすてきな温泉や銭湯を発掘するコーナー「#いいお湯見つけました」。
今回訪ねたのは、東京都調布市。神代植物公園や深大寺から、車で5分程の場所にある銭湯です。
自慢は、ご主人こだわりの展望露天風呂。湯上がりには焼き芋のお楽しみも♪
お客さんに喜んでもらおうと、家族一丸で作る、癒やしのお風呂をご紹介します。
(ひるまえほっと リポーター/ディレクター 髙橋香央里)
銭湯を切り盛りしているのは、2代目店主、鈴木庸夫さんと妻の澄子さん、そして長男、善幸さん・麻希さんご夫婦と、次男の宣幸さんのご家族です。
創業は昭和41年。もともとは、まき炊きの昔ながらの銭湯でした。しかし道路の拡張工事で、建物を壊さなければならないという危機に。2代目として続けていけるか、廃業も考えたといいます。
来てくれてたお客さんになくなっちゃうと言うと、「小さくてもいいからつくってください」と言われたんです。
お客さんの思いを受け、縦にのばしてやってみようと、3、4階を銭湯に。
平成14年、新たな形でスタートしました。どの世代も楽しめるよう、さまざまな浴槽を作り、最もこだわった場所があります。
なんと露天風呂!晴れた日には富士山も望めるんです!
建て替えるなら、もっとお客さんに喜ばれる銭湯にしようとつくったのが、この高さをいかした、露天風呂でした。
お客さんも来てくれてすごい喜んでくれるし、つくってよかったなと思っています。
常にお客さんのことを思うのは、90歳ごろまで接客をしていたという、初代・鈴木善太郎(ぜんたろう)さんから受け継いだもの。その信念は家族みんなに宿っています。
長男の善幸さんが任されているのはオープンの準備。お客さんの顔を確認できる大切な瞬間だといいます。
善幸さん
「よく来られる常連さんたちは決まってこの最初の時間に来られるので、顔を見ると安心します。1週間ぐらい顔が見られないと、あれ?どうしたのかなとか思ったり心配になったりします」
次男の宣幸さんは、子どものころからお兄さんと清掃などの手伝いをしてきました。
初代の祖父や、父・庸夫さんから教わったことがあります。
宣幸さん
「タイルの目地など、細かく指でこすれっていうぐらい言われてきました。お客さんがきれいなお風呂に入って気持ちよかったって言ってくれるのが、一番うれしいので、その声を聞ければ、いくらでも頑張れます」
まずは雰囲気がガラリと違う、3階の2つの浴室。「オアシス」と名付けた暖色系に、ブルーの色合いで、中央の丸い浴槽が特徴の「月のしずく」。男湯、女湯で浴室を週替わりにして、どちらも楽しめるようにしています。
丁寧に磨かれた浴室の階段をあがれば、露天風呂!井戸水を機械に通し、軟水をさらにやわらくしたお湯は、肌がしっとりすると評判です。夕焼けに浮かぶ富士山もまた絶景!
家族それぞれが、お客さんに喜んでもらおうと取り組んでいます。それが湯上がりのお楽しみ“焼き芋”。焼き芋好きの澄子さんが、3年前から一階の駐車場で販売を始めました。低温でじっくり火を通したこだわりの焼き芋は、銭湯のお客さんだけでなく、散歩で立ち寄る人など地域に親しまれています。
澄子さん
「銭湯も焼き芋も、地域密着できるような内容ですし、食べたりお風呂に入ったりして、お客様にほっこりした気持ちを感じていただけるかな」
この焼き芋の看板にも家族の力が!長男・善幸さんの妻、麻希さんが書いたものなんです。子育ての合間にポスターの作成や、イベント時には動画を作ってSNSでお知らせするなど、子育てをしながら銭湯のPRに力を注いでいます。
麻希さん
「お客様に楽しんで頂ける催しがあるということを広く伝えていけるような、裏方でもできることがあると思って取り組んでます」
思いは家族で力を合わせて、お客さんにもっと愛されるような公衆浴場、お風呂屋にしたいと思います。
【編集後記】
4階の露天風呂を案内していただき、初めてその場に立ったときは、風を感じられる開放感に感動しました。3階の浴室から階段であがっていくその道のりも、ワクワク気分を味わえます。
「大人には毎日の疲れをお風呂で癒やしてもらいたい、子供たちには温泉のように楽しんでもらえたら」というご主人の庸夫さん。澄子さんのこだわりの焼き芋は甘くてやわらかくて絶品!
お客さんを思うご家族の心に触れ、ほっと温かい気持ちになりました。
リポーター/ディレクター 髙橋香央里
あなたの街の「#いいお湯」を教えてください。
お気に入りの銭湯や温泉など、思い出やエピソードを添えてぜひお寄せください。
投稿はこちら