各地のすてきな温泉や銭湯を発掘するコーナー「#いいお湯見つけました」。
今回訪ねたのは、千葉県市川市。映画のロケ地になった銭湯をご紹介します。
訪れた人を家族のように迎えてくれる温かい場所でした。
(ひるまえほっと リポーター/ディレクター 温泉ソムリエ 松尾衣里子)
住宅街が広がる千葉県市川市国分。
この町のシンボルといえるのが今回の銭湯です。昭和45年に創業しました。
この銭湯がロケ地となったのが、真木よう子さん主演の映画『アンダーカレント』です。
真木さん演じる銭湯の女主人が、突然の夫の失踪で途方に暮れる中、現れた謎の男や周囲の人に支えられ、心の底の感情と向き合う物語です。
ロケ地となった銭湯の創業者、石橋實(いしばし・みのる)さんです。
實さんはいまでも、まきでお湯を沸かしています。
暑い日も寒い日も毎日欠かさず続けてきました。
体がほわっとする。50数年間まき一本で。
まき割りと浴室の掃除は、息子の進さんの仕事。
親子で銭湯を切り盛りしています。
この土地で生まれ育った實さん、ふるさとへの思いが銭湯を開かせたといいます。
全部田んぼ。このあたりは。人を集めなきゃしょうがないから風呂でもやってみようかって。
銭湯ができる前は、あたり一帯が田んぼでした。
昭和45年に赤丸のあたりに銭湯ができます。銭湯ができると、近くにアパートができ、その後商店も次々とでき、いまのような住宅街になりました。
實さんは、祭りやイベントになると、広い敷地を開放。
地域住民の交流の場として、銭湯は、昔も今も町とともに歩み続けています。
ママおはよう!
迎えてくれるのは實さんの妻、光子さんです。
いまなんて呼んでいました?
ママ。
いつもそうなの。
なんでママ?
だって大好きなんだもん。だからパパ(實さん)が時々やきもちを焼く。
言いたいこと言える(関係だ)からいいんだよね。
友達です。
いつも来てもらっていて。
毎日来ている。楽しみだからね。
壁には、石橋さんの名前にちなんで、立派な石があしらわれています。
親子が力を合わせてまきで沸かしたお湯は、優しく温かみを感じます。
時代が変わっても、ここは変わらず地域の人が集まる場所であり続けます。
みんなここへ来てうれしがって帰っていく場所。出ていく人が「いい風呂だった」「よかったきょうは」「頑張ってよ」なんて言われると「あぁそうか」っていうそんな気になっちゃう。
お客さんに言われてまた元気になる。そんな感じですね。
【編集後記】
映画のロケ地になるだけある、とてもいい雰囲気の人情あふれる銭湯でした。映画は、人を想う大切さを感じられる作品なんですが、まさにロケ地となった銭湯は人の想いの温かさを感じられる場所でした。
石橋さんの名前にちなんだ、石の壁は、忙しくて旅行に行けなくても、温泉に行ったような気分になってほしいと考えたそう。ここにも地域への思いを感じました。
これからも温かい交流が生まれる場所であってほしいです。
リポーター/ディレクター 温泉ソムリエ 松尾衣里子
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