【出演者】
種村:種村陽子さん(東京慈恵会医科大学付属病院 栄養部)
聞き手:福島佑理 キャスター
朝食を食べない子どもも増えている
――若い人で朝食を食べない人が増えているということでしたけれども、子どもではどうなんでしょうか。
種村:
実は、子どもでも増えています。厚生労働省の調べでは、1歳から6歳でおよそ5%、7歳から14歳でおよそ6%、15歳から19歳でおよそ14%となっています。
――私が子どものころは、朝食を食べてこない子はあんまりいなかったんじゃないかな、と思うんですが、朝食を食べない子どもが増えているというのはどうしてなんでしょうか。
種村:
最近のお子さんはすごく忙しいです。塾や習い事などで、夜遅く食べる習慣がついてしまったためだと考えられています。また、親が朝食を食べないからというのも、子どもが食べなくなっている理由の1つとなっています。
――ただ、大人よりも子どもは影響が大きいですよね。
種村:
はい。朝ごはんを食べてエネルギーを補給しておかないと、エネルギー不足になり、集中力が途切れてしまいます。そのため、午前中の授業がうわの空になったり、体を動かす際にけがをしやすくなります。
子どもの体は、成長のためにたくさんのエネルギーや栄養素を必要としています。それを満たすためには1日3食、食べることが基本です。
――かなり大きな影響がありますね。
子どもの朝食に必要な栄養素は
――では、子どもの朝食ではどんな栄養素が必要なんでしょうか。
種村:
やはり、3大栄養素「たんぱく質・脂質・炭水化物」をバランスよくとることが必要です。特に、筋肉のもととなる「たんぱく質」を意識的に多くとることが必要です。
――たんぱく質は、肉や魚、卵、乳製品などに多く含まれるということでしたね。
種村:
そうですね。
――ただ、肉やお魚が苦手だなあ、という子どももいますよね。
種村:
はい。お子さんがお肉やお魚を食べない、という相談もよく聞きます。魚は骨が多いから面倒、においが苦手、って言われてしまうこともあります。
形を変えたり、味を変えることで食べるようになったりもします。例えば、肉の場合はハンバーグやソーセージ、ハムにすると食べたり、魚だと、ちくわやさつま揚げなどだと食べる子どももいます。
豆腐や納豆など、大豆製品には植物性たんぱく質が含まれています。お肉やお魚がだめなら、大豆製品からたんぱく質をとるという手もあります。
――たんぱく質以外に必要な栄養素はありますか。
種村:
カルシウムが必要ですね。成長期の子供は骨の成長が活発です。骨を丈夫にしておくことが、将来に向けて、骨粗しょう症を防ぐことにつながります。また、カルシウムは強い歯や骨を作るだけでなく、神経を安定させる作用もあります。子どもが心身ともに健康に育つためには、日頃からカルシウムを十分に摂取する必要があります。
手軽なカルシウム源としては「牛乳」です。子どもだと、1日にコップ2杯はとってほしいです。特に、給食がない時期は意識的にとる必要があります。
――1日にコップ2杯。
牛乳が苦手な子どもには乳和食を
――ただ、牛乳が苦手なお子さんもいるかもしれませんね。
種村:
そういう場合は、ヨーグルトやチーズでとることも可能です。
また、牛乳をそのまま飲むのではなく、料理に活用するという方法もあります。料理に活用すると、コップ2杯分とることは意外と簡単です。
おすすめの方法があります。それが「乳(にゅう)和食」です。
――乳和食。これ、私初めて聞いたんですけれども、どんなものなんでしょうか。
種村:
和食は、野菜類を多く使い、脂肪分も少ないことから健康的な食事と考えられていますが、カルシウムがあまりとれないという弱点があります。その弱点を埋めるのが、牛乳の持つ「カルシウム」でとる、という方法です。牛乳の持つ「うまみ」や「コク」でおいしくなります。
<乳和食の一例>
◆ おみそ汁に牛乳を使う。これで、みその量は半分に抑えることができます。
◆ 納豆1パックに牛乳小さじ2杯を加えてよく練り、添付のたれを半分の量にして混ぜます。
◆ さばやいわしの煮物を作る場合には、しょうゆなどの調味料を少なくして、その分牛乳を入れます。塩分が控えめになり、カルシウムもとることができます。
◆ 肉じゃがの場合は、通常使用するしょうゆを半分にして、牛乳を代わりに入れます。調理の最後にしょうゆと牛乳を加えることで、塩分を感じやすくなります。
インターネットでも、〝乳和食〟で検索するとたくさんのレシピが出てきます。うまく活用するといいですね。
――あの、牛乳が苦手だなという方で、温めた牛乳のにおいが苦手という方もいらっしゃると思うんですが、においは大丈夫でしょうか。
種村:
みそやしょうゆのにおいにごまかされて、気になることはないと思います。
――乳和食、実践してみたいと思います。
では種村さん、最後に今回のポイントをお願いします。
種村:
子どもの朝食には、ぜひカルシウムを。乳和食をお試しください。
【放送】
2024/02/14 「マイあさ!」
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