「“養生”ですこやかに」④ ~脳の“ブレーキ”の効きが悪かったら~

24/05/23まで

健康ライフ

放送日:2024/02/08

#医療・健康#カラダのハナシ#ココロのハナシ

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24/05/23まで

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【出演者】
伊藤:伊藤和憲さん(明治国際医療大学 教授)
聞き手:田中孝宜 キャスター

「アクセル・ブレーキ」の不調は「あたためる・ゆるめる」養生を

――明治国際医療大学教授で、東洋医学がご専門の伊藤和憲さんに伺います。
「養生」とは「健康に生きることを目指す東洋医学の考え方」で、病気になる前に備える暮らし方のことです。
今回のテーマは「脳の“ブレーキ”の効きが悪かったら」。これは2日目のチェックで調べた、自律神経の「アクセル・ブレーキ」のことですね。

伊藤:
そうですね。自律神経には、体と心が興奮モードのときに働く「交感神経」と、体と心がおやすみモードの時に働く「副交感神経」という、2つのバランスが保たれることで体を調整します。車でいうと「アクセル」と「ブレーキ」のような状態です。
しかし、現代人は頑張り過ぎることが多く、「アクセル」を踏みっぱなしにしているので、「ブレーキ」が効きにくくなっています。そうすると心も体も緊張しっぱなしになってしまい、リラックスができない状態になってしまいます。
そんな人には不眠の症状があったり、また便秘になったり手足が冷えたり、目が乾いたりなどの症状もあるといわれています。

――それが、ブレーキの効きが悪い状態、ということですね。
チェックでは、拝むようにひじから先をぴったり付けて、上に持ち上がるかどうかを見ました。これは、肩や背中が凝っているとなかなか上がりにくい、ということでしたよね。私はひじがあごぐらいまでしか上がりませんでした。

伊藤:
そういう方はブレーキの効きが悪いということで、特に、冬から春にかけての体調が悪くなりやすい、という特徴があります。そのため、「あたためる」とか「ゆるめる」という養生が大切になります。

「あたためる」養生

――具体的には、どんな養生がおすすめですか。

伊藤:
「あたためる」養生では「入浴」、それから軽い運動として「ラジオ体操」もおすすめです。5分程度の軽いラジオ体操はすごく重要ですが、5分以上、体が疲れるまでやってしまいますと、“鍛える”という運動になってしまいます。
アクセル・ブレーキのタイプの人に大切なことは「やりすぎないこと」。
特にリラックスですね。「心地いい」とか「気持ちいい」と思う程度で行うのが大切です。眠る前にどんなことをしたら眠りやすいか、など考えてみるといいと思います。

「ゆるめる」養生

――そしてもう一つは「ゆるめる」ということですよね。ゆるめる、というのは改めて意識するとなかなか難しいような気もするんですが、どんな方法がおすすめですか。

伊藤:
「五感を刺激」して、「心地よいと感じる」ことが大切だと思います。
例えば、アロマセラピーのにおいもそうですし、森のにおいだったり、好きなにおいを嗅ぐのも効果的です。スイーツやハーブティーなどで、味覚を刺激することも効果的です。
さらに、美しい景色やペットの写真などを持ち歩いて心を落ち着かせるように、写真や色を見て視覚を刺激することもまた効果的です。
ゆっくりとしたテンポの音楽を聴く、であったりとか、体を触ってもらうような「タッチセラピー」という方法もあります。

――タッチセラピー、これはどういうものですか。

伊藤:
皆さんも経験があると思いますが、体に触れると、とても安心させる効果があります。
自分で行うには、顔を刺激するのが一番効果的です。気持ちいいところを刺激したり、また、落ち着いたリズムでおでこや手のひら、指先をトントントンと軽くたたくのも効果的といわれています。

――トントンたたくのは、子どもを寝かしつけたりするときに行いますよね。やはり心地いいんでしょうかね。
ゆるめる方法はほかにもありますか。

伊藤:
はい。ストレッチや、ツボを押すのも効果的です。
まずは「肩の筋肉をほぐすストレッチ」を紹介します。

■ 左側の腕を腰の後ろに回し、右の手を頭にのせて、そのまま首を右側に倒していきます
■ 腕の重みで頭を倒して、首の根元から背中までつながる「僧帽筋」という筋肉をストレッチします
■ 反対側も行いましょう

――左側を伸ばします。まず、左腕は腰の後ろへ回して、右手は頭の上にのせて、その重みをかけていくということですよね。

伊藤:
はい。

――これ、左手を腰の後ろに回すことで肩が下に下がるというか、上に上がらなくてしっかり伸ばせるような気がしますね。
今度は反対側をしてみますね。右手を背中の後ろに回して、左手を頭の上にのせて、重みをかけていく。
あー、いいですね。

伊藤:
気持ちいいですか。

――気持ちいいですね。
伊藤さん、このほかにリラックスに効果的なツボもあるんですか。

伊藤:
「疲れを取るのに効果的なツボ」として、手の、指のところにあります「合谷(ごうこく)」というツボが効果的といわれています。
合谷は、親指と人さし指の付け根の、少し人さし指側の所にあります。そこを押しますと、目の疲れとか、それからストレスを緩和するのに効果があるとされています。

――親指と人さし指の付け根……、何か、効くような気がします。
これ、どれぐらい行えばいいですか。

伊藤:
これは「心地よく感じる」というのがポイントになります。
ツボの強さは、押し過ぎると逆に体が緊張してしまうことがありますので、心地よくすることが大切です。
一般的なアロマや音楽に関しましても、自分が嫌いならばあまり効果がありませんので、自分が一番心地よいと感じるリラックス法を見つけて、脳の興奮状態を抑えることがポイントとなります。

――自分に合ったリラックス方法を見つけることが大事、だということですね。
伊藤さん、最後に今回のポイントをお願いします。

伊藤:
自分なりの、脳のブレーキのかけ方を知ろう。


【放送】
2024/02/08 「マイあさ!」

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24/05/23まで

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