「“養生”ですこやかに」② ~自分の体を自分で知る~

24/05/21まで

健康ライフ

放送日:2024/02/06

#医療・健康#カラダのハナシ#ココロのハナシ

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24/05/21まで

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【出演者】
伊藤:伊藤和憲さん(明治国際医療大学 教授)
聞き手:田中孝宜 キャスター

体のエンジン、アクセル・ブレーキ、ガソリン

――明治国際医療大学教授で、東洋医学がご専門の伊藤和則さんに伺います。
前回のお話で、「養生」とは「健康に生きることを目指す東洋医学の考え方」で、暮らし方から病気予防まで、多岐にわたる内容をカバーしていることを伺いました。
今回のテーマは「自分の体を自分で知る」。伊藤さん、大きく分けて3つのタイプがあり、それぞれに合った養生があるということでしたね。

伊藤:
はい。人間の体を車の動力系に例えまして、体を動かす内臓や筋肉、これを「エンジン」というふうに考えて、エンジンに不調があるタイプ、また自律神経、いわば「アクセル・ブレーキ」の効きが悪いタイプ、さらには栄養や水といった体の「ガソリン」が不足している、すなわち血液やリンパに不調があるタイプ、この3つに分けて、それぞれに合った養生のしかたをおすすめしています。

――どの季節が苦手か、といったことでもある程度推測できる、ということでしたよね。
私は暑すぎる夏が苦手なので、もしかしたら「ガソリン」タイプでは、ということでした。

伊藤:
夏が苦手な方は「ガソリン」タイプ、すなわち、血液やリンパに不調があるタイプ、ということになるんじゃないかなと思います。
秋が苦手な方は、体を動かす内臓や筋肉といった「エンジン」に不調があるタイプ。
また、冬から春が苦手な方は、自律神経、いわば「アクセル・ブレーキ」の効きが悪いタイプ、というふうに考えられます。
自分の体が今どんな状態か、を見極めて実践することが大切になります。

体の状態チェック

伊藤:
簡単な3つのチェック項目がありますので、ぜひ皆さんもやってみていただけたらと思います。

――ぜひ教えてください。
3つのチェックでどんなことが分かるのか、私も1つずつチェックしながら、詳しく伺っていきたいと思います。
まず、1つ目は。

伊藤:
✓ 拝むように、手の先からひじまでをぴったりつけて上に持ち上げたときに、どこまで上がるか

――拝むように、手の先からひじまでぴったりつけて、上に持ち上げたときにどこまで上がるのか。

伊藤:
ひじが口まで上がらない人は、緊張が強く、肩のまわりの筋肉や腕のまわりの筋肉がこわばっています。自律神経のアクセル(交感神経)が踏みっぱなしな状態になっている可能性が高いです。
こういう「アクセル・ブレーキ」タイプの方は、冬から春にかけての季節が苦手な方が多くて、そのためには体を「あたためる」「ゆるめる」という養生がおすすめです。

――私はひじがあごぐらいまでしかいかない、口まで上がらないので、少しこわばってるということですかね。あたためる必要がある、ということですかね。
では、2つ目は。

伊藤:
✓ 舌の色が悪かったり、歯のあとが付いていないか

――舌の色が悪かったり、歯のあとが付いていないか。
これ、何を見てるんですか。

伊藤:
舌というのは体で唯一見える筋肉の場所なので、筋肉が見えるということは、そこを通る血液の状態が分かります。この舌の色を見ることで、皆さんの酸素とか栄養の状態が分かることになります。

――実は私、ちょっと舌が白っぽいのではないかと気になってるんですけども、舌がどんな色だと心配しなきゃいけないんですか。

伊藤:
そうですね、舌の色は一般的には薄紅色といって、赤みがかったピンク色をしているんですが、舌の色がそれよりも薄くなっている場合というのは、体の中の栄養や酸素の状態が少し不足している可能性があるので、体が疲れやすい、とか、冷えやすい、という症状があると考えます。
この「ガソリン」タイプは、血液やリンパに不調があります。夏が苦手な方が多く、食事や生活リズムなどを「補う」「整える」という養生をおすすめします。
また、舌の間の外側に歯のあとが付いている方というのは、筋肉が緩んでいる証拠です。体調を崩しやすいので注意が必要となります。

――皆さんも、舌を鏡で見てみてください。
さあ、3つ目は。

伊藤:
✓ 両手の親指と人さし指で“輪っか”を作り、それをふくらはぎの一番太い所に当てて、指の輪っかとふくらはぎのどちらが太いかを確認

――これは中指ではなく、人さし指なんですね。
えーっと、私はどうやらちょうどぴったり指が付くぐらいですね。これは何を見てるんですか。

伊藤:
これは体の「エンジン」、筋肉や骨が衰えていないかを見ています。
ふくらはぎが細くなっている場合、ふくらはぎだけではなく、全身の筋肉が落ちている可能性が高いと思われます。筋肉が落ちるにはそれなりの時間がかかりますので、もし、輪っかとふくらはぎの間に隙間ができている方は、何らかの病気、もしくは体力の低下がある可能性があります。
このタイプは秋が苦手です。加齢や運動不足などで衰えている可能性が高いですから、「鍛える」という養生がおすすめです。

――エンジン、内臓・筋肉の衰えが一番病気に近いところにある、ということですね。
自分が不調だという自覚症状がなくても、これ、チェックに引っかかることもあるんでしょうか。

伊藤:
もちろんです。このチェックは「未病(みびょう)」という、病気でもないけれど健康でもない、といわれるような中間の状態を把握する項目になります。

――未病というのは、まだ病気ではないけれども気をつけましょう、ということですね。

伊藤:
はい。検査などでは異常がないけれども、体の不調が表れている状態、といわれています。例えば、体が硬いとか筋肉が細いというのは、病気というわけではないですが体にとって大きな変化ですので、こういうことをチェックして病気を未然に防ぐ、これが「養生」ということになります。

――チェックの結果を見て、どんな養生をすればいいのかは次回から詳しくお聞きしていきます。
では伊藤さん、最後に今回のポイントをお願いします。

伊藤:
体の中の、声にならない声に耳を傾けよう。


【放送】
2024/02/06 「マイあさ!」

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