「“養生”ですこやかに」③ ~体の“エンジン”が衰えていたら~

24/05/22まで

健康ライフ

放送日:2024/02/07

#医療・健康#カラダのハナシ#ココロのハナシ

放送を聴く
24/05/22まで

放送を聴く
24/05/22まで

【出演者】
伊藤:伊藤和憲さん(明治国際医療大学 教授)
聞き手:田中孝宜 キャスター

「エンジン」の不調は「鍛える」養生を

――明治国際医療大学教授で、東洋医学がご専門の伊藤和憲さんに伺います。
「養生」とは東洋医学の考え方で、病気になる前に備える暮らし方のこと。
今回のテーマは「体の“エンジン”が衰えていたら」です。体のエンジンとは、内臓や筋肉など体を動かす大本の部分でしたね。

伊藤:
はい。人の体の仕組みを車の動力系に例えまして、内臓や筋肉の状態を「エンジン」、自律神経の状態を「アクセル・ブレーキ」、血液やリンパ液の状態は「ガソリン」。前回は3つのチェックによって、自分が一番弱っている所はどこかを発見してきました。
今回は、その中でも病気への心配が最も大きい「エンジン」の不調について、考えていきたいと思います。

――エンジンのチェックで、ふくらはぎの太さは、人さし指と親指で作る“輪っか”と比べて、ふくらはぎが細くなっていると全身の筋肉量が落ちている可能性がある、ということでしたよね。

伊藤:
指の輪っかがつながらないのが正常な状態です。
輪っかがくっついてしまうということは、筋肉の量が少し減っていますので、もう少し運動を頑張る必要があります。また、隙間ができているという方は、何らかの病気、もしくは体力の低下がある可能性があります。その場合にも運動を頑張ってみる必要があるかと思います。
「エンジン」は体を動かす仕組みの中で最も大切なところで、ここに障害が起きますと、「アクセル・ブレーキ」(自律神経)とか「ガソリン」(血液・リンパ液)とか、全体の調子が悪くなってしまいます。人間のエンジンは、年齢によって排気量が変わるように、少しずつ変化していきます。10代で最大になり、50代を過ぎると少しずつ小さくなります。自分のエンジンが小さくなったことに気付かないと、病気になりやすい状態になってしまいます。

――自分のエンジンが衰えていると分かったら、どうすればいいですか。

伊藤:
エンジンの不調がある場合は「鍛える」という養生がおすすめです。特に、このタイプの人は秋から冬にかけて体調に変化が起こりやすいので、秋にしっかり鍛えることが大切です。ふだん使わないような大きな筋肉を意識して、「体幹」や、「大腿(たい)四頭筋」という筋肉を筋トレするとよいと思います。

バックブリッジ

――具体的には、どんな運動をすればいいですか。

伊藤:
まず、体幹を鍛える運動として簡単な「バックブリッジ」という方法を紹介します。
寝て行える、簡単な体操です。
お腹の「腹横筋(ふくおうきん)」という筋肉があるんですが、この筋肉と、お尻の大きな筋肉である「大殿筋(だいでんきん)」、このほか、尿漏れを防ぐ「骨盤底筋」などにも効果がありますので、おすすめの運動です。

■ あおむけに寝た状態でひざを立て、ひざから肩まで斜めに一直線になるように、おなかを持ち上げていきます

――まず、あおむけに寝た状態で始めるわけですね。ひざを立てる。で、ひざから肩まで斜めに一直線になるように、おなかを持ち上げていく。
おなかを持ち上げた状態で、何秒ぐらいキープすればいいですか。

伊藤:
■ ゆっくり5秒ぐらい持ち上げて、そのあと10秒ぐらいキープして、ゆっくりと下ろします
■ この運動を3回ぐらい行うようにしてください

――5秒かけて持ち上げて、10秒キープして、ゆっくり下ろしていく、と。
これ、10秒はかなりきついような気がしますけども、できない人はどうすればいいですか。

伊藤:
● 10秒にこだわらず、5秒でもかまいません
● キープすることが大切なので、キープできるような時間にしてください

逆に、簡単にできる人は、もう少し時間を長くして筋トレをすることが大切になります。あまり長すぎるのはよくありませんが、20秒ぐらいまでを目安にしてもらえたらと思います。

大腿四頭筋を鍛える運動

――そしてもう一つは「大腿四頭筋」を鍛える運動ですね。

伊藤:
はい。これは太ももの前側全面にあります、大きな筋肉を鍛える運動です。
いすに座って、安全に行うことができる方法を紹介していきたいと思います。

■ いすに座って片方のひざを伸ばし、床とひざが平行になるように10秒キープします
■ 10秒キープしたら、ゆっくりと戻します
■ これを両足とも行います
■ 左右それぞれ5回ずつ、1日に5回ぐらい行えると効果的です

――床と平行になるまで、片方のひざをまっすぐ伸ばせばいいということですね。そして10秒キープすると。
これ、そんなに難しい感じはしないんですけれども。

伊藤:
● 簡単にできる場合は、回数は増やさずに、キープする時間を5秒から10秒、10秒から15秒、というように長くしていくと効果的だと考えられます

――回数を増やすのではなくて、キープする時間を長くしていくということですね。

伊藤:
はい。

インターバル速歩

――筋トレ以外にも、効果的な運動ってありますか。

伊藤:
ほかには、肺活量を上げる、ということもとても重要です。特に、早歩きとゆっくりした歩きを交互に繰り返す「インターバル速歩(そくほ)」が効果的です。

――速歩き・速歩と、ゆっくり歩きを繰り返すだけで肺活量が鍛えられるんですね。

伊藤:
■ 3分ぐらい速歩きをし、3分ぐらいゆっくり歩くという運動を、3セットから5セットくらい行えるといいと思います

● ポイントとしては、足を高く上げて、先ほど筋トレで鍛えた大腿四頭筋や、体幹の筋肉をしっかり意識しながら歩くと、なおよいと思います
● 息切れが起こるようであれば、少しゆっくりめにするのもポイントになります

――太ももと体幹を意識して、3分早歩き、3分ゆっくり歩きを3~5セット行う、ということですね。やってみたいと思います。
伊藤さん、最後に今回のポイントをお願いします。

伊藤:
ふだん使わない筋肉も、意識しよう。


【放送】
2024/02/07 「マイあさ!」

放送を聴く
24/05/22まで

放送を聴く
24/05/22まで

この記事をシェアする

※別ウィンドウで開きます