【出演者】
越智:越智小枝(おち・さえ)さん(東京慈恵会医科大学 教授)
聞き手:福島佑理 キャスター
骨を強くするには運動もしよう
――98%の人がビタミンD不足になっていることを調査で突き止めた、東京慈恵会医科大学教授の越智小枝さんにお話を伺います。
骨を強くするには「ビタミンD」や「カルシウム」が不可欠、とのことでした。食事だけでは不十分なんでしょうか。運動もしたほうがいいんですか。
越智:
骨を丈夫にするには、食事でビタミンDやカルシウムをとるだけでは不十分です。運動不足や、足腰の筋力が低下していたりすると、体が骨を作ろうとしないんですね。つまり、強い骨を作るには「適切な食事と運動が不可欠」だということです。
でも実は、その運動にはポイントがあります。骨というのは、重力に加えて衝撃を与えることで作るスピードが増します。ジャンプというのは骨に衝撃がかかるので、骨を強くするという効果があります。
――どんな運動がおすすめですか。
越智:
バスケットボールや縄跳び、バレーボール、ジョギングなど。いずれも屋外で行うと、日光や紫外線を浴びてビタミンDもアップしますので、おすすめかなと思います。
ただ、高齢の方ですと、激しい運動をするのが難しい場合もあると思います。そういう方にはウォーキングがおすすめです。この場合ものんびり歩くのではなくて、姿勢をまっすぐにして歩幅を広くして、リズミカルに歩くようにするのがよいと思います。
あるいは、階段の上り下りや、散歩の時間を増やす、というだけでも骨にはよい効果があります。
――ただ、足元がふらついたり、バランスが悪い方は、運動には注意が必要ですね。
越智:
はい。ほとんどの骨折は転倒によって起こりますので、転んでしまっては元も子もありません。足元がふらついたり、バランスを崩しやすい人、あるいは、最近1年間に転倒したことがある、というような人は注意が必要です。まずは安全な運動で足腰を鍛える、というところから始めてください。筋肉がついてきたら、ほかの運動にも挑戦していただければと思います。
かかと落とし
越智:
今回は、骨粗しょう症の予防に効果的で、骨粗しょう症の方でも安全にできるという運動をご紹介したいと思います。
――では、骨粗しょう症対策の運動をぜひ教えてください。
越智:
1つ目は「かかと落とし」を行うことです。
これは、骨に衝撃を与えて骨を作る働きを促し、かつ、ふくらはぎの筋肉も強化するという作用があります。
――● これは立って行いますね。
皆さんもぜひ一緒に、立ってご参加ください。
● 安定したいすや机に手をついて行う、ということですね。
では、越智さん、お願いします。
越智:
◆ まずは、背筋を伸ばして立って、まっすぐ前を見ましょう。
◆ そこからつま先立ちになり、両足のかかとをゆっくりと上げて、ストンと下ろします。
ストンと下ろしたときに全身に衝撃が走る、これが大切です。
――かかとをゆっくりと上げて、ストンと下ろす、かかとをゆっくり上げて、ストンと下ろす。
これは何回ぐらいやればいいんでしょうか。
越智:
● 大体、10回繰り返すことを1日3セットぐらい、やればいいかなと思います。
――かかと落としは10回繰り返す、1日3セット、ということですね。
スクワット
――では、続いてはどんな運動でしょうか。
越智:
もう1つは「スクワット」です。下半身全体の筋肉を鍛えることができて、転倒予防にも有効です。
――そのスクワット、教えてください。
越智:
◆ まず、背筋を伸ばします。
◆ 両足を肩幅程度に軽く開いて、つま先を少し外側に広げる感じにします。
◆ おしりを後ろに引くように、ゆっくりと腰を落としていって、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
● ひざを曲げる角度は、軽く曲げる程度で結構です。
――そんなに曲げなくていいんですね。
越智:
はい。ただ、このとき注意していただきたいのは、
● ひざができるだけ前に出ないように、しゃがむことです。
後ろにひっくり返らないようには気をつけていただきたいんですが、あんまりひざが前に出ると、太ももの裏側の筋肉やお尻の筋肉が鍛えられない、ということもありますし、ひざに負担がかかってしまう、ということもあります。
また、もともとひざを痛めている人だと悪化する可能性もありますので、気をつけながらやってみてください。
――ひざができるだけ前に出ないように、軽く曲げる程度にしゃがむ、ということですね。
これはどのくらいやったらいいんでしょうか。
越智:
● これは5~6回、1日に3セットほどやられるといいんじゃないかなと思います。
――スクワットは、5~6回で1日3セット。
では最後に、きょうのポイントをお願いします。
越智:
運動による衝撃で、丈夫な骨を作りましょう。
【放送】
2024/01/18 「マイあさ!」
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