「骨粗しょう症を防ぐビタミンD」① ~98%の人が不足しているビタミンD~

24/04/22まで

健康ライフ

放送日:2024/01/15

#医療・健康#カラダのハナシ

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【出演者】
越智:越智小枝(おち・さえ)さん(東京慈恵会医科大学 教授)
聞き手:福島佑理 キャスター

ビタミンDはどんな栄養素?

――テーマは「骨粗しょう症を防ぐビタミンD」です。2023年6月、東京に住む人の98%でビタミンDが不足していることが、大規模な調査で明らかになりました。調査を行った東京慈恵会医科大学教授、越智小枝さんにお話を伺います。
私も、ビタミンCに関してはふだんから意識してとるように心がけていたんですが、ビタミンDってあんまり意識していなかったかもしれません。そもそも「ビタミンD」はどんな栄養素なんでしょうか。

越智:
「ビタミンD」というのは、カルシウムと並んで、骨を丈夫にするのに大切な栄養素としてよく知られています。ほかにも筋肉を作ったり、感染症やアレルギーなどの病気を避けるために役立つなど、健康に不可欠なことも分かっています。
ビタミンDが不足すると、特に骨が弱くなって、「骨粗しょう症」そして「骨折」のリスクとなるということがわかっています。今、日本で骨粗しょう症の患者さんの数は1,590万人と推定されています。
また、ある研究では、「大たい骨」という脚の付け根の骨を骨折した高齢者の5人に1人は1年以内に亡くなる、というデータもありますので、骨粗しょう症は、起こってからの対処よりも予防が大切です。

調査から分かること

――こんなに重要な栄養素のビタミンDが、98%の人で不足している、ということなんですね。越智さんはこの調査の中心となったそうですが、結果をどう感じてらっしゃいますか。

越智:
我々の調査は2019年の4月から2020年の3月、つまりコロナの前なんですけれども、その期間に東京都内で健康診断を受けた5,518人を対象に、血液に含まれるビタミンDの量を調べたものです。
初めて結果を見たときには、私でも何かの間違いかと思ってほかの方法なども試してみたんですけれども、結果、同じだったんですね。
日本人にはビタミンDが足りない、というのはこれまでもある程度言われてきて予測はしていたんですが、98%が不足、というのはかなりショッキングな結果でした。

――越智さんも驚いた、ということですね。そもそも、ビタミンDの基準値というのはあるんですか。

越智:
基準値というよりは“閾(しきい)値”になるんですけれども、ビタミンDの量というのは、血液1ミリリットル中30ナノグラム以上で十分とされます。しかし、98%の人が30ナノグラム未満のビタミンD不足である、ということが明らかになりました。この値に達していないと、骨粗しょう症や骨折のリスクになるということが知られていますので、非常に深刻な結果だと思います。

――ビタミンDが足りない人の傾向はありますか。

越智:
性別では男性も女性も足りていなくて、どの年齢でも低いんですけれども、特に若い人ほどビタミンD不足の割合が高い、という結果が出ています。

――若い人ほど足りていない、ということなんですね。

ビタミンD不足の理由は生活にある

――もともと日本人は、ビタミンDはあまりとっていないんでしょうか。

越智:
そういうわけでもないと思います。日本でも、昔はビタミンDが充足していたと考えられていますが、不足した理由としては「今の人たちの生活」にあると考えられています。
ビタミンDは、日光に含まれる紫外線を浴びることで皮膚から作られる、というものと、食べ物から摂取されるもの、という2種類があるんですが、もともと人が服を着ずに過ごしていたような原始時代以前には、日光を浴びることで十分なビタミンDを得ることができていたと思います。で、そのときには食品から摂取する必要はなかったんですが、人が服を着るようになって、さらに室内での生活が中心になると、日光を浴びる量が急激に少なくなってしまった、ということがあると思います。
また、最近は紫外線を浴びることによる「しみ」や「しわ」あるいは「皮膚がん」のリスクなどが注目を集めているので、余計に日光を避ける人が増えた、と考えられています。

――う~ん、思い当たる節がありますね。夏だけではなく、1年中日焼け止めを塗るっていう方もいらっしゃいますし、日傘を差したりなど対策をされる方が増えてますからね。
日焼け止めを塗ると、ビタミンDは作られないんでしょうか。

越智:
一般に、日焼け止めはビタミンDが作られる量も減らしてしまいます。一方で、紫外線にはしみやしわの原因になったりという悪影響もあるので、紫外線対策は必要ですけれども、極端にならないということが大切かもしれません。

――そしてもう1つ、食べ物から摂取されるビタミンD、こちらも不足しているんですか。

越智:
はい。ビタミンDを多く含む食品には「天日干しのしいたけや乾燥きくらげなどのきのこ類」、あるいは「さけ、しらすといった魚」など、和食によく用いられている食品が挙げられるんですが、食事が欧米化して、これらの食品をとる機会が減ったことが理由として考えられます。

――確かに、干ししいたけや乾燥きくらげは最近あんまり食べてないかもしれません。
以上が、調査でわかったことですね。98%の人でビタミンDが不足していると、健康への影響が大きそうですね。
ビタミンDと健康への影響については、次回、詳しく伺います。では越智さん、最後にきょうのポイントをお願いします。

越智:
ビタミンDを意識した食生活を送っていただくこと。そして、適度に日光を浴びましょうということです。


【放送】
2024/01/15 「マイあさ!」

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24/04/22まで

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