「タイプで異なる冷え症対策」② ~“下半身型”冷え症~

24/03/19まで

健康ライフ

放送日:2023/12/19

#医療・健康#カラダのハナシ

放送を聴く
24/03/19まで

放送を聴く
24/03/19まで

【出演者】
伊藤:伊藤剛さん(北里大学 客員教授)
聞き手:星川幸 キャスター

冷え症のタイプをセルフチェック

――冷え症には基本の4つのタイプ、「下半身型」「四肢(しし)末端型」「内臓型」「全身型」がありますが、今回のテーマは「“下半身型”冷え症」です。

伊藤:
その前に、自分がどの冷え症のタイプに相当するかを調べてみましょう。皆さんも紙とペンを用意して、書きながらやるといいと思いますよ。
これから4つの質問をします。答えをA・B・Cの中から選んでください。A・B・Cのうち、最も多いものが「疑わしい冷え症」です。

――では、1番目の質問です。この質問の回答になるアルファベットは、同じものを2個書いてください。
■ ふだんの手足の冷え具合は?
 A.足は冷えるが、手は温かい
 B.手足と、足先が常に冷える
 C.触ると、手も足も温かい

私はAですので、Aを2個書きました。

2番目の質問です。ここからはアルファベットを1個ずつ書きます。
■ ふだんの汗のかき方は?
 A.上半身に汗をかきやすい
 B.あまりかかない
 C.全身に汗をかきやすく、冷えやすい

3番目の質問です。
■ 食事の量は?
 A.普通
 B.少なめ
 C.やや多め

4番目の質問です。
■ 寒い所に行くと、どこが冷えやすいか?
 A.足の裏やふくらはぎ
 B.手と足の指先
 C.下腹部

以上の4問です。
回答の中で、A・B・Cのうち、最も多かったアルファベットは何でしょうか。

伊藤さん、私はAでした。

伊藤:
そうですか。最も多かったアルファベット別に、以下の可能性があります。
◆ Aの方は「下半身型」
◆ Bの方は「四肢末端型」
◆ Cの方は「内臓型」
◆ Bが多く、常に体温が36度以下の方は「全身型」

また、以下の場合はそれぞれの可能性が高いと言えます。
◎ A・B・Cのどれにも該当せず、体の一部のみが冷えると「局所型」
◎ A・B・Cの中で多いものが2つある場合は、その2つのタイプの「混合型」

――皆さん、いかがでしたか。私は下半身型と出ました。

下半身型冷え症の原因と対策

――今回はこの、下半身型について取り上げます。

伊藤:
「下半身型冷え症」というのは、主に脚などの下半身が冷えるタイプです。男女とも30代以降、加齢と共に増加するために、冷え症外来でおよそ50%を占める、最も多いタイプです。

――悩んでいる人が一番多いんですね。ではこの下半身型、詳しく教えてください。

伊藤:
脚など下半身が冷えるのは、お尻やふくらはぎの筋肉の硬直によって起こる、脚の血行不良が原因です。
梨状筋(りじょうきん)などお尻にある筋肉が硬直すると、その下にある坐骨神経を圧迫し、同時に脚の動脈血流を調節する交感神経を刺激してしまうために、脚の血流が落ちてしまうのですね。また、ふくらはぎの筋肉が硬直すると、脚の静脈が圧迫されます。その結果、動脈・静脈ともに血流が低下するために、脚が冷えてしまうのです。
下半身に供給されなかった熱が上半身にたまると、顔や頭などの上半身の体温が上昇し、いわゆる「冷えのぼせ」状態になることもあります。

――どのような生活をしている人が、下半身型になる可能性が高いんでしょうか。

伊藤:
冷えのない健康な方も、老化に伴い腰やでん部の筋肉がこわばってくると、下半身型の冷えが起きやすくなります。
長時間のデスクワークや、車の運転をする方、長時間座ったままの生活が多い方などにもよく見られます。特に、中高年では動脈硬化による影響も加わって、可能性が増していきます。

――座りっぱなしの時間の目安はありますか。

伊藤:
特に時間の目安というのはないんですが、日本人は世界で一番座っている時間が長い、というデータもあることから、年間を通して、座っている時間を減らすことが大事ですね。

――下半身型から、どんな体調不良を引き起こす可能性があるんでしょうか。

伊藤:
まず、足のこむら返りがありますね。それから足のむくみ、腰痛、歩行障害、のぼせ、不眠などが見られます。

――対策としては、下半身を温めればいいんですか。

伊藤:
下半身型冷え症の原因は、足の血流が減るためです。単純に足を温めてもだめなんですね。硬直しているでん部の梨状筋や、ふくらはぎの筋肉をほぐせば、足の血流が改善します。

梨状筋ストレッチ

伊藤:
では、椅子に座ってできる「梨状筋ストレッチ」をやってみましょう。

――梨状筋、どこにある筋肉でしょうか。

伊藤:
梨状筋とはお尻の奥にある筋肉で、股関節を動かす筋肉の1つです。では、ストレッチをやってみましょうか。

● いすに座り、右足先を左の太ももにのせて、足を組みます
● 折り曲げた右ひざに、右ひじをつきます
● 前にかがみながら、右ひじで、ゆっくり体重をかけながら右ひざを下に30秒押します
● 数回押したら、反対側も同様に行います

――私もやってみます。
あー、確かに右のお尻の部分がよく伸びますねえ。座りっぱなしの人には効きそうです。

伊藤:
このストレッチで梨状筋をほぐすだけでも、下半身型冷え症の対策になりますね。

――では、最後にきょうのポイントをお願いします。

伊藤:
「下半身型冷え症」、座りっぱなしは禁物です。


【放送】
2023/12/19 「マイあさ!」

放送を聴く
24/03/19まで

放送を聴く
24/03/19まで

この記事をシェアする

※別ウィンドウで開きます