「タイプで異なる冷え症対策」① ~冷え症ってなに?~

24/03/18まで

健康ライフ

放送日:2023/12/18

#医療・健康#カラダのハナシ

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【出演者】
伊藤:伊藤剛さん(北里大学 客員教授)
聞き手:星川幸 キャスター

冷え症の定義

――冷え症とはよく聞きますが、そもそも「冷え症」って定義があるんですか。

伊藤:
本人が「“冷え”がつらい」と苦痛に感じられたら「冷え症」と定義されるんですね。つまり、冷え症とは検査基準があるような客観的な冷えの有無ではなくて、冷えがつらいという「主観的な訴えによる診断名」なのです。
誰でも寒ければ感じる“冷え”と、冷え症の“冷え”とがよく混同されるため、注意が必要です。

――どのくらいの人が冷え症で悩んでいるんでしょうか。

伊藤:
女性ですと3割から7割とさまざまですが、若い方から高齢の方まで多くの方が悩んでいるとされています。男性も、中高年の方によく見られます。
放っておくと不眠、疲労感などの体調不良や、生活の質が下がり、ひどい場合は疾患の誘因や悪化の原因にもなります。

――どんな体が冷えを招いてしまうんですか。

伊藤:
一般的には体温は、
1. 体の中で熱をつくり、
2. その熱を全身に運び、
3. 余った熱を体の外に出して、
常に一定に調節されているんですね。
食事摂取量、運動量、筋肉量などが少なかったりすると、熱量が不足し、冷えてしまいます。
また熱は、血液とともに心臓から血管によって全身に運ばれます。そのため、血管が収縮したり、血液の循環量が減ったりすると熱が十分供給できないんですね。
3段階の体温調整がうまく働かないと、冷えを生じてしまうのです。

――その要因は何でしょうか。

伊藤:
こうした体温調節に重要な役割を持っているのが「自律神経」です。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」がありますが、体の血管をコントロールし、血流を調節しているのは主に交感神経ですね。副交感神経は、交感神経の暴走を抑える働きがありますので、この2つがバランスよく働くことで体温を調節しています。

――自律神経の乱れも影響があるんですねえ。体が冷えることで、悪影響を及ぼすおそれもありますか。

伊藤:
冷えは全体的に体や内臓の機能を停滞させます。下痢や不眠、がんなどの原因になるだけでなく、命の危険を伴うような心筋梗塞や脳梗塞などの引き金になったりもします。あと、免疫力を低下させてかぜやぼうこう炎などの感染症にかかりやすくしたり、がんなどの進行を助長したり、また、けがや炎症などの治癒を遅らせたり痛みを強めたりと、悪影響をもたらします。

――冷えない体にするには、どのような対策があるんでしょうか。

伊藤:
冷え症の多くは、一種の「生活習慣病」です。そのため、運動不足や睡眠不足、偏食、ストレスがかかる状況や昼夜逆転の生活などは自律神経のバランスを乱し、体温調節を妨げてしまいます。生活習慣を見直し、改善することが大切です。

4つの基本タイプ

伊藤:
冷え症のタイプごとに、冷えの原因に正しく向き合ってアプローチ、ということが大切です。

――冷え症にはタイプがあるんですね。

伊藤:
人の冷え方には、4つの基本タイプがあります。

――その4つのタイプ、1つずつ教えていただきましょう。お願いします。

伊藤:
まず1つ目は「下半身型」というもので、主に脚などの下半身が冷えるタイプです。
お尻やふくらはぎの筋肉のコリによる、脚の血行不良が原因です。
男女とも30代以降、老化とともに増加するために、冷え症の中では一番多いタイプですね。

――1つ目は、一番多いタイプの下半身型。2つ目は。

伊藤:
2つ目は「四肢(しし)末端型」です。手先や足先が氷のように冷えるタイプです。
ダイエットなどによる食事摂取量不足や、運動不足などの生活習慣により体内の熱量が不足しているために、手や足などの熱が逃げないよう、手足(てあし)末端の血流を減らして体温の低下を防ぐ防御反応が過剰に働いてしまうことが原因です。
食事摂取量が少ない痩せ形の、10代から20代の女性や中年女性に多く見られますね。

――2つ目は四肢末端型。3つ目は。

伊藤:
3つ目は「内臓型」というものですね。体の表面は温かいんですけれども、体の中心部が冷えるタイプです。寒い環境でも体の皮膚表面の血流が減らないために、体の深部の熱がそこから過剰に漏れていってしまうのが原因です。
その結果、症状としてはおなかの深部が冷えて、内臓、特に腸管が冷えてガスがたまったり、おなかが張ったりするのが特徴です。
太り気味であったり、アレルギー体質の30代以降の男女に多く見られます。

――3つ目は内臓型。4つ目は何ですか。

伊藤:
4つ目は「全身型」ですね。体の外も中も全体が冷えるタイプで、体温が常に低いのが特徴です。
体質やストレス、生活習慣の悪化による基礎代謝の低下などが原因と考えられます。
比較的女性や高齢者に多く、「甲状腺機能低下症」などの病気が潜んでいる場合も多々あります。

なお、「下半身型」「四肢末端型」「内臓型」「全身型」の基本4タイプのほかにも、体の一部が冷える、まれな「局所型」や、2つのタイプが混在する「混合型」というのもあります。

――基本的な「下半身型」「四肢末端型」「内臓型」「全身型」、そして「局所型」「混合型」があるということですね。
次回からは、それぞれのタイプの冷え症を取り上げていきます。
最後に、きょうのポイントをお願いします。

伊藤:
冷え症のタイプを理解して、日常生活の改善に取り組みましょう。


【放送】
2023/12/18 「マイあさ!」

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24/03/18まで

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