「記憶力や意欲が低下する? スマホ・ゲーム依存」① ~どこからが病気?~

24/04/15まで

健康ライフ

放送日:2023/12/11

#医療・健康#カラダのハナシ#ココロのハナシ

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24/04/15まで

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【出演者】
樋口:樋口進さん(久里浜医療センター 名誉院長)
聞き手:福島佑理 キャスター

日常生活に支障が出るとスマホ依存かも

――私も、気になることがあるとすぐにスマートフォンで調べたり、検索したりしてしまいます。「依存状態」になると、記憶力や意欲が低下するようなことがあるのでしょうか。

樋口:
スマートフォンは大変身近なものとなっており、ゲームやSNSなど便利な機能がつき、簡単に楽しみが得られます。さらなる楽しみを求めて長い時間使用したくなり、やがて、自分の力ではやめられなくなってしまう「依存状態」に至ってしまいます。依存状態が長引くと、深刻な「引きこもり」に至ることがあります。
ただ、“アルコール依存”や“薬物依存”のように「スマホ依存」という医学的な言葉があるわけではありません。スマホ依存とは「勉強や仕事といった生活面や、体や心の健康面などよりもスマホの使用を優先してしまい、使う時間や方法を自分でコントロールできない状態」のことを指します。
最近では特に中高生のスマホ依存が問題で、スマホ依存・ネット依存が疑われる中高生は約93万人と推計されています。

――そこで、きょうのテーマは「どこからが病気?」です。スマホ・ネット依存になると、どうなってしまうんでしょうか。

樋口:
スマホに依存すると、30代から50代の働き盛りでも物忘れが激しくなり、判断力や意欲も低下する、という報告があります。また、東北大学で行われた研究では、スマホの使用時間が長い子どもの大脳に発達の遅れがみられる、との報告もなされています。

――実は、私は寝るとき以外はずーっとスマホを触っているんじゃないかと思うくらい、スマホが手放せないんですけれども、どれくらいの時間を使っていると依存状態になっていると考えられるんでしょうか。

樋口:
実は、そのようなことを示すデータはないんですね、残念ながら。また、スマートフォンで仕事などを行う人もいるため、単純に使用時間ではなく、仕事や学校など「日常生活に支障が出るか」という視点で考えることが大事です。

スマホ依存度チェック

樋口:
ここで「スマホ依存度チェック」を紹介いたします。全部で5項目、1つでも当てはまる場合はスマホ依存を疑い、スマホとのつきあい方を考えたほうがよいと思います。

――では、そのスマホ依存度チェック、ご紹介ください。

樋口:
✓ スマホ使用のため、予定していた仕事や勉強ができない
✓ スマホを手にしていないと、イライラしたり、怒りっぽくなる
✓ SNSでほかの人とのやり取りを見逃さないために、スマホを絶えずチェックする
✓ 意図していたよりスマホを長時間使ってしまう
✓ 周りの人が、自分に対してスマホを使い過ぎていると言う

――スマホ依存度チェック、私は当てはまるものはありませんでしたが、皆さんはどうだったでしょうか。

樋口:
ここで注意いただきたいのは、この5項目に当てはまる人や、電車やレストランなどでスマホを手放さない人が全て依存というわけではない、ということです。ただ、アルコールやたばこ・ギャンブルなどと違って、スマホはいつでもどこでも使うことができます。そのため、依存状態から脱出するのが難しい、ということを知っておいていただきたいですね。

ゲーム依存は「ゲーム行動症」

――やはり、SNSから依存状態になる人は多いんでしょうか。

樋口:
私どもの専門外来でみるかぎり、1割~2割は主にSNSや掲示板サイト、動画サイトなどに依存しています。もっと多いのが主にゲームに依存している人で、8割~9割にもなります。

――ゲーム依存の方が多い、ということなんですね。

樋口:
はい。ネットに接続している「オンラインゲーム依存」の特徴は、本人が「やりすぎ」を感じた入り口から依存状態になるまでの進行の速いことです。つまり、はまりやすく作られているために、本人が気付いたときには「暇つぶし」から「生活の中心」になっていることが多いわけですね。患者さんが言うには「スマホゲームをプレーしていると、あと1回、あと1回と思っている間に、気が付くと何時間も過ぎている」、この言葉が依存度の高さを表しています。
WHO(世界保健機関)は、2019年にゲーム依存を「ゲーム行動症」と名付けて、病気と認定しました。

――あと1回、あと1回と思っているうちに何時間も過ぎている、というのは分かる気がしますね。

スマホ依存度チェックに当てはまったら

――スマホ依存度チェックに当てはまった場合には、どうすればいいんでしょうか。

樋口:
まずは、スマホを手に持つ時間を少なくしましょう。1日の中で、一定時間スマホを自分から遠ざけておく、また、ベッドにスマホを持ち込まない、などを実行してください。
自分で制限できない場合は、アプリやタイマーを使うこともおすすめします。パソコンやスマホを使用する前に、タイマー用のソフトをパソコンやスマホにインストールしたり、スマホのアラーム等で設定して行うようにしましょう。スマホの使用時間を客観的に制限することができます。

――では最後に、きょうのポイントをお願いします。

樋口:
まずは依存状態になっていないか、気付くことから始めよう。


【放送】
2023/12/11 「マイあさ!」

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