「中高年の心と体を守る」⑤ ~まわりの人の心を守る~

24/03/29まで

健康ライフ

放送日:2023/11/17

#医療・健康#カラダのハナシ#ココロのハナシ

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24/03/29まで

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【出演者】
竹中:竹中晃二さん(早稲田大学 名誉教授)
聞き手:田中孝宜 キャスター

他者へのABC活動 アクト・ビルド・セレブレイト

――私も常々、まわりの人の心を守るために何かできないかと考えるんですが、これってパワハラになってしまうんじゃないか、あるいは、かえってプレッシャーを与えているんじゃないかと悩んでしまって、結局何もやってないような状態なんです。
竹中さん、まわりの人の心を守る方法というのはあるんでしょうか。

竹中:
はい。ちょっとしたコツがあるんです。
中高年の皆さんが、まわりの人、例えば同僚や部下、親戚や隣近所の人にどのように接すればよいのか、彼らのメンタルヘルスがよい状態でいるためにどうすればよいのか、こういうことを悩む、というのはよく聞きます。
特別なことを考えないで、単純に「他者へのABC活動」で示しましょう。

――他者へのABC活動。前回、「こころのABC アクト・ビロング・チャレンジ」は教わったんですけども、何がどう違うんですか。

竹中:
「他者へのABC活動」とは、「アクト(Act)」「ビルド(Build)」「セレブレイト(Celebrate)」という用語の頭文字で示しています。

――他者へのABC活動、アクト・ビルド・セレブレイトですか。
まず、Aのアクトなんですけども、こころのABCもアクトでしたね。同じでしょうか。

竹中:
はい、同じです。でも、この場合は、
◆ アクト-他者とアクティブな関わり合いを持つこと

――他者とアクティブな関わり、とはどんなものですか。

竹中:
特別なことを行うのではありません。具体的には、自分のまわりにいる他者と積極的に話をする、彼らの話を遮ることなく聞くことです。

――例えば、どのようなことをしたらいいんでしょうか。

竹中:
ただ聞くというよりは共感を示すことで、相手が話したい、やりたいという積極的な会話につながりやすくなります。話を聞くというよりも「引き出す」と言ったほうがよいかもしれません。

――うーん。で、他者へのABC活動のBはビルドですね。これは何ですか。

竹中:
◆ ビルド-能力をビルド、つまり、育てるということ

――ビルドって通常は、建設をするとか組み立てるという意味で使っていますけれども。

竹中:
実は「育てる」という意味もあります。彼らに仕事や作業を丁寧に教えたり、彼らの仕事や作業を見守る。彼らの成長を楽しむことです。
部下の立場に立てば、日頃は口うるさいけれども、自分のことをしっかりと見ていてくれて、育ててくれているんだっていうふうに思えれば、円満な関係だけではなくリスペクトにつながります。
ただ、接近し過ぎないように適度な距離を保ち、温かい目で「育てる」という意識を持つことが重要です。この「育てる」「見守る」という意識を持って人に接すれば、自分自身に対しても大きなプレッシャーをかけ過ぎないで、優しくなれます。

――育てられていると思えば不満も少なくなるでしょうし、自分自身にも恩恵があるということですよね。
最後にC、セレブレイト、これは何ですか。

竹中:
◆ セレブレイト-褒める・認める、ということ

――セレブレイトは通常、祝うという意味で使ってますけども、褒める・認めるということなんですね。

竹中:
彼らの仕事や作業を認めてあげる、ある程度うまくいけば褒めてあげる、彼らの成功を一緒に喜ぶ、ということです。

――確かに、認められたり褒められたりするとうれしくなりますよねえ。

竹中:
うまくいったときには、よくやったと認めてもらえる、声に出して褒めてもらえるということが彼らにとって大事です。
他者に対してできるABC活動を、自分自身へのABC活動と併せて行うことで、自分だけでなく、他の人たちのメンタルヘルス問題の予防につながることになります。

――他の人の心を守ることが、回り回って自分にも反映される、ということなんですね。

竹中:
そうです。

職場やご近所で声がけを

竹中:
ABC活動と共に進めていることがあります。それは、「大丈夫?」とか「調子どう?」というふうに、職場の中で「声がけ」をする事です。

――大丈夫? 調子どう? という声がけをすることですか。

竹中:
もともとは、欧米で自殺防止として「アーユー、OK?(Are you OK?)」そういう声がけがありました。それをヒントにして、私たちも「大丈夫?」「調子どう?」などという声がけをすることです。
ご近所さんに「お元気ですか?」など声をかけることも含まれます。

――声をかけることに、どんな意味があるんでしょうか。

竹中:
大丈夫? 調子どう? 元気ですか?、声をかけることが日常化すれば、相手の様子を観察できたり、相手も困っていることを相談しやすくなります。
特に、メンタルヘルスに問題を持つ人は、その気持ちを誰かに伝えたり相談することに、ハードルが高い、と考えがちです。大丈夫? 調子どう? 元気ですか? などの声がけから始まり、それをきっかけに会話を行うことで「援助要請」をさせやすくすることができます。

――確かに、何気ない声をかけることで、本人が訴えやすくなる気持ちを伝えやすくなる、そういう感じはしますよね。

竹中:
はい。何気ない、大丈夫? 調子どう? などの声がけを奨励することで、援助要請をしやすい雰囲気作りを行えたらと考えています。

――では、最後にきょうのポイントをお願いします。

竹中:
「大丈夫?」「調子どう?」「お元気ですか?」声がけから始めましょう。


【放送】
2023/11/17 「マイあさ!」

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24/03/29まで

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