「中高年の心と体を守る」③ ~ストレス解消のリラクゼーション~

24/03/27まで

健康ライフ

放送日:2023/11/15

#医療・健康#カラダのハナシ#ココロのハナシ

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24/03/27まで

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【出演者】
竹中:竹中晃二さん(早稲田大学 名誉教授)
聞き手:田中孝宜 キャスター

リラクゼーションにイフ・ゼン・プランを取り入れる

――前回までに、ストレスが蓄積していくと心や体に不調を来してしまうことがある、ということを学びました。竹中さん、その解消のためにはいわゆるリラクゼーションを行うことが重要なんでしょうか。

竹中:
はい。心身ともにストレスを抱えた場合、「うつ状態」や「焦燥感」などの心の反応が現れます。また、緊張によって「睡眠不足」や「内臓の違和感」などの体の反応が現れるのです。
このようなストレス反応を抑えるひとつの方法が、緊張を解く「リラクゼーション」です。

――具体的には、どのような方法がいいんですか。

竹中:
リラクゼーションとは、いわゆる体を緩める活動を行うことで、ストレス反応によって交感神経が優位になっている緊張状態を和らげることです。
特別な方法はいりません。深呼吸をする、腹式呼吸をするといった、呼吸を整える方法が一般的ですが、背伸びをする、ストレッチをするといった、体を緩める方法もおすすめです。

――特別な方法はいらないんですね。

竹中:
はい。どんな方法でも大丈夫です。ただ、誰もがリラクゼーションの効果を分かっているけれども、それを日常生活において習慣化することができていません。そこが問題です。いくらよいことであっても、続けなければ効果は得られません。
習慣化させるために、簡単な方法を伝授しましょう。それは「行動計画を事前に立てて実行する」ことです。
つまり、「いつ」「どこで」「何を」「どの程度」やるのかを決めておいて、習慣化させることです。
私たちは習慣化させるために「イフ・ゼン・プラン」、すなわち英語で「イフ(If)-もしも」、「ゼン(Then)-そのときに何かをする」、イフ・ゼン・プランと名付けた方法を推奨しています。

――どういうものなんですか。

竹中:
イフ・ゼン・プランとは、
■ 日常生活において、こういうきっかけや合図になることに遭遇すれば、つまり「イフ部分」が起これば
■ 続けて、これこれこういうふうな活動、つまり「ゼン部分」を行う
というように、
◆ あらかじめ「イフ部分」と、組み合わせやすい「ゼン部分」を決めておくことで、「行動変容を確実なものにしようとする」こと

例えば、イフ部分として車に乗ったら、その際にゼン部分としてシートベルトをつける、イフ・お風呂場で服を脱いだら、ゼン・体重計に乗って体重をチェックする、というのもありますね。

――イフ・もし何々があれば、ゼン・何々をしよう、と、事前に事柄と活動を決めておく、ということですね。言ってみれば、よいことをルーティン化する、ということなんですね。

竹中:
はい。例えば、イフ・会社に着いたら、ゼン・深呼吸をする、イフ・トイレに立ったら、ゼン・背伸びをする、など、具体的にイフとゼンを決めておくことが重要です。

――確かに、決めておくと習慣化できるような気がしますねえ。

竹中:
こうしたイフ・ゼン・プランは、気分の不調時に効果を発揮することが分かっています。例えば、イフ・心配事が頭に浮かんだら、ゼン・深呼吸をする、イフ・気分が重いと感じたら、ゼン・ストレッチをする、などです。
メンタルヘルスに問題がある人は、気分のよいときにしか何かの活動をしないでいます。逆に、気分がよくなければ活動を延期する、ということがよくあることです。
それでは問題の解決にはつながりません。気分の状態に関係なくリラクゼーションを行うことが重要です。

運動の実践にイフ・ゼン・プランを取り入れる

――なるほどねえ……。
リラクゼーションとは別に、運動の実践もストレス緩和に重要なんでしょうか。

竹中:
もちろんです。運動はストレスを解消するだけでなく、ストレスに強い心身を作るために効果があります。日常的に運動を続けることで、セロトニンなどのホルモンが安定的に供給され、ストレスや疲労回復に効果を発揮します。そして、睡眠の質の向上につながり、疲労回復につながります。
過剰なストレスに対しては、積極的に体を動かすことが有効、という報告があります。例えば私たちが行った研究では、体力が低かった人に10週間“有酸素運動”を行ってもらった結果、体力や睡眠の改善だけでなく、ストレスに対する制御効果、例えば高まった血圧・心拍数などを抑えることができた、という効果を示しています。

――体だけではなくて、心を守るためにも運動が重要だ、ということなんですね。

竹中:
ただし、運動についても継続が大事です。運動についてもイフ・ゼン・プランを取り入れましょう。
例えば、イフ・通勤に使う駅の階段を1つ決めておいて……階段に着いたら、これがイフです、ゼン・エスカレーターではなく階段を利用する、イフ・最寄り駅に着いたら、ゼン・会社まではや歩きする、などです。

――私もきょうから早速イフ・ゼン・プランを決めて、習慣化していきたいと思います。
では、最後にきょうのポイントをお願いします。

竹中:
リラクゼーションや運動は、効果を知っていても効果を得ることは難しい。イフ・ゼン・プランで習慣化しましょう。


【放送】
2023/11/15 「マイあさ!」

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24/03/27まで

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