「中高年の心と体を守る」④ ~こころのABC(アクト・ビロング・チャレンジ)~

24/03/28まで

健康ライフ

放送日:2023/11/16

#医療・健康#カラダのハナシ#ココロのハナシ

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24/03/28まで

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【出演者】
竹中:竹中晃二さん(早稲田大学 名誉教授)
聞き手:田中孝宜 キャスター

こころのABC、子どもにも大人にも効果あり

――竹中さん、こころのABCとはどのようなものなんでしょうか。

竹中:
「こころのABC」とは、まず「A」は「アクト(Act)」、体をもっと動かしましょう、楽しいことをやってこころを動かしましょう、そして、人とももっと活動的に接しましょう。
「B」は「ビロング(Belong)」、どこかの会やグループに所属しましょう。
最後に、「C」は「チャレンジ(Challenge)」、困っている人を助ける、ボランティア活動を行う、やったことのない新規な活動を行いましょう、という活動の推奨です。

――ああ、こころのABCとは、活動的になりましょうというアクト、グループに所属しましょうというビロング、そして、新しい活動を行いましょうというチャレンジ、それぞれの頭文字を取ったものなんですね。

竹中:
もともとは、震災時の子どものストレスマネジメントとして開始しました。東日本大震災発生から数年後、被災地では、長引く仮設住宅での暮らしや先行きが見えない生活環境の中で、特に学校において子どもたちが疲労感や虚無感を示すようになっていました。
子どもたちにも分かりやすく、定期的に行動できるよう、「ABC」のキーワードにまとめました。

――これは子どもだけではなく、大人にも効果があるんでしょうか。

竹中:
はい。こころのABC活動では、心理的な報酬を得やすい行動に着目します。やれば楽しい、やりがいがある、充実する、という報酬の感覚です。ABC活動を行うことに没頭し、人との関係が深まり、自信につながり、その結果、ポジティブな気持ちが湧いてくるというわけです。
実際、全国健康保険協会に所属する保健師および管理栄養士約600名を対象に行った調査で、メンタルヘルスがよい成人の多くは、ABC活動を行っているということが分かりました。自覚はないものの、ABC活動を行うことでポジティブなメンタルヘルスを保っているんです。
私たちが行った他の研究もあります。この研究では、ある会社の従業員100名にABC活動を行ってもらい、もう100名には行ってもらわない、というような比較研究を行いました。その結果、ABC活動を日常生活の中で取り込んで生活を送っている人たちの、メンタルヘルスの改善が認められました。

具体的に、アクト・ビロング・チャレンジとは

――では具体的に伺いたいと思うんですが、まず、Aのアクトですね。何をすればいいですか。

竹中:
◆ ABCのA-アクト・・・こころもからだも人とも、もっと活発に、ということ

こころのアクトでは、好きな本を読んだり、音楽を聴いたり、趣味に興じること。
からだのアクトでは、散歩したり、体操したり、スポーツを行うこと。
最後の、人とのアクトでは、友人や家族とおしゃべりしたり、電話をしたりすることです。

――こころ、からだ、そして人との活動が大事だということですね。

竹中:
こころ、からだ、人、それぞれのアクトは、多くの人にとってよい感情、つまり「よいことがあった」という気分の報酬を得やすい活動です。

――では、Bのビロングは、グループに所属しましょう、ということでしたが、どういうことでしょうか。

竹中:
◆ ABCのB-ビロング・・・行事に参加する、趣味のサークルに参加するなど、社会的集団に属すること

趣味の会、食事会、友人との会、スポーツの会など、何かの組織や同好会など正式な会でなくても、集まりやクラブに加入し、そこに自分の存在感を意識したり、帰属意識を持ったりすることです。また、組織や会に参加すると、周囲の人からサポートを得やすくなります。
音楽の会やフィットネスクラブに加入するなど、ハードルがやや高い活動から、近所のお掃除会の当番や保育園の子どものお世話会など、普通の生活の中でも行えるものもよいと思います。

――そして、最後のCなんですが、チャレンジですね。新規の活動を行おう、というのはどういうことでしょうか。

竹中:
◆ ABCのC-チャレンジ・・・何かに献身すること、目の前でできる新しい挑戦を行うこと

困っている友人の相談にのる、ボランティア活動をする、動植物の世話をするなど、何かに献身することです。また、目の前でできる新しい挑戦、例えば、ウクレレなど初めての楽器を習い始めたり、新しい勉強を始めるなど、無理のないチャレンジを行うことです。
ああ、私は何かの役に立っている、社会や人の困りごとの解決に貢献できた、という感覚、また、大きなことでなくても、自分から積極的に何かをやっているという実感を持つことは、自分の心身への「癒やし」につながります。

――これは新しいことを、やはり始めないといけないんでしょうか。

竹中:
いいえ。必ずしも新しいことでなくても大丈夫です。大事なことは、誰かに言われてやるというよりは自分から動いている、そして、自立しているということで満足感や達成感を得ることです。
特別なことではなく、日頃から皆さんが行っていることにもABCはあるのです。

――どれくらい続ければいいんですか。

竹中:
続けなければいけない、と思うと、負担感が伴います。
最初は欲張らず、週に2~3回でも大丈夫です。楽しく続けていければ、自覚しなくてもメンタルヘルスによい影響が現れると思います。

――では、最後にきょうのポイントをお願いします。

竹中:
こころのABC活動、まずはできそうなことから始めてみよう。


【放送】
2023/11/16 「マイあさ!」

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24/03/28まで

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