「中高年の心と体を守る」② ~人生の転機に気をつけること~

24/03/26まで

健康ライフ

放送日:2023/11/14

#医療・健康#カラダのハナシ#ココロのハナシ

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24/03/26まで

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【出演者】
竹中:竹中晃二さん(早稲田大学 名誉教授)
聞き手:田中孝宜 キャスター

メンタルヘルスの不調を招く原因3つ

――私のまわりにも、退職や再就職する人がいます。こうした時期は、メンタルヘルスに気をつけたほうがいいんでしょうか。

竹中:
はい。中高年には、昇進・異動・転勤、さらには退職・再就職などの人生の転機が必ずあります。ほかの人から見たらいいことのように思える転機も、もちろん不安などの精神疾患につながることがあります。

――メンタルヘルスに変調をきたし、うつや不安などの精神疾患などにつながってしまう……、これはどうしてなんですか。

竹中:
メンタルヘルスの不調を導く原因が、大きく3つあります。
1つ目は、
● 仕事量、仕事内容が変わること

昇進・異動・転勤などでは、仕事量も増え、これまでやってきた仕事内容も変わるために、ストレスが増加したり、今までとは種類が違うストレスに脅かされることになります。

――2つ目の原因は何でしょうか。

竹中:
2つ目は、
● 相談相手がいないこと

こうした人生の転機には、相談したり、相談と言わないまでも、ただ話を聞いてもらえる人物の存在は欠かせません。誰にも相談できないと、職場で孤立が深まり、不安が高まっていきます。ふだんから相談相手を決めておくことも重要なことです。

――そうしますと、原因になるのは職場だけに限ることなんでしょうか。

竹中:
いえ、3つ目としては、
● 家庭内の問題

こうした人生の転機では、家庭内の出来事もストレスを増加させることにつながります。例えば、夫や妻、子ども、パートナーの問題もストレスにつながります。介護などがあればなおさらです。仕事と家庭、両方の負担がのしかかってくることもあります。

――そのようなことは、人生の転機には付き物だと思います。

不調を招く原因の対処法

――竹中さん、対処するにはどうすればいいんでしょうか。

竹中:
メンタルヘルスの問題は、単純に“これこれこういうことをしておけば大丈夫”なんていうことはありません。仕事をしていれば、また、いろいろな人と接していれば、ネガティブな気持ちになることは誰にでもあります。そういう嫌なことがあれば、前回お話ししたように「ネガティブな反すう」が起こってくるのです。

――ネガティブな反すう、前回もご紹介いただきましたね。

竹中:
ネガティブな反すうとは、嫌なことばかりに意識がいき、最初は大したことはなかったのに、いつの間にかネガティブなことが繰り返し繰り返し大きくなっていくことです。
ネガティブな反すうから離れるには「意識をシフトする」必要があります。

――確かに、嫌なことが起きると、頭の中でそのことがぐるぐる巡ることって誰にでもありますよね。ただ、意識をシフトする、っていうのは、具体的にどんなことを行えばいいんですか。

竹中:
「合理的に考え、気晴らしをする」ことです。
例えば、新しく任された仕事はとても大変ではあるのだが、自分の能力を伸ばすチャンスだ、とみるようにする。また、自分に合わないと考えたら、少し距離を置いて関わるようにする、などです。合理的に物事を見直すことが必要です。注意が悪い方向に向いて、不安が大きくならないように、旅行や会食、趣味など、楽しい事柄に目を向けて、ネガティブな反すうの邪魔をさせるようにしましょう。

――確かに、気晴らしや、物事を合理的に考え直すということは大事ですよね。
相談相手がいない、ということについては、どう対処するといいですか。

竹中:
「仕事以外で、よい人間関係を構築する」ことが大事です。
転職して離れてもいい関係がある友人など、人間関係を作ることが重要です。
家族が緩衝材の役割を担うので、仕事がしんどいときでも家族との関係をうまく保っておくことも重要なことです。仕事と、家族の行事の折り合いをつけて、うまく生活することが大事です。

――うーん。そのほか、重要なことはありますか。

竹中:
「緊張を解く」、「体を動かすことを意識して行う」ようにしましょう。
心身共にストレスを抱えた場合、「うつ気分」や「焦燥感」など心の反応が表れます。緊張によって「睡眠不足」や「内臓の違和感」などの体の反応が現れます。
このようなストレス反応を抑える方法として、緊張を鎮めるリラクゼーションがあります。
もう1つ、体を積極的に動かすこと。運動やスポーツでなくても、ストレッチや散歩などをして、過剰なストレス反応を気体のように昇華させてしまうのです。

――このリラクゼーションと運動については、次回詳しくご紹介したいと思います。
ただ、竹中さん、人生の転機、ささいなことでも気になってつまずいてしまうっていうこと、ありますよね。

竹中:
はい。こうしたときは「小さな乗り越え」が大事です。
きょうは会社に行くことができた、まずは簡単な企画書が書けた、こういう経験を積み重ねることで自信が生まれます。大きなことでなくても、乗り越えることができたという実感は、次の行動によい影響を与えます。

――では、最後にきょうのポイントをお願いします。

竹中:
合理的に考え、気晴らしをする。よい人間関係を作るのも大事。


【放送】
2023/11/14 「マイあさ!」

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24/03/26まで

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