「頭痛は減らせる!」④ ~頭痛のタネと上手につきあう~

24/02/29まで

健康ライフ

放送日:2023/11/02

#医療・健康#カラダのハナシ

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24/02/29まで

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【出演者】
五十嵐:五十嵐久佳さん(北里大学客員教授 日本頭痛学会理事)
聞き手:福島佑理 キャスター

頭痛の記録をつけて、頭痛のタネを見つけよう

――今回のテーマは、「頭痛のタネと上手につきあう」です。頭痛のタネというのは、前回伺った片頭痛の「誘因」のことでしょうか。

五十嵐:
片頭痛の誘因となるホルモンの変動ですとか天気、ストレスや光などももちろんそうなんですが、片頭痛以外の頭痛でも人それぞれに、これがあると頭痛が起こりやすい、というような「タネ」がある方が結構いらっしゃるんですね。それを見つけて、原因となることを減らしたり、取り除くことで頭痛を減らせるということはあります。

――その人それぞれの頭痛のタネ、これはどのように見つければいいんでしょうか。

五十嵐:
頭痛の記録をつけていただくこと、これがとても有効です。例えば「日本頭痛学会」のホームページからダウンロードできる「頭痛ダイアリー」というものがありますけれども、これを使っていただいてもいいです。診断にもとても役に立ちます。もちろんスマートフォンのアプリもありますので、試してみるといいと思います。

――今、手元にその頭痛ダイアリーがあるんですけれども、頭痛がいつ起こったのか、そしてどのくらい強かったのか、また、1日の出来事や自分の体調、天気とか月経などについて、あとは薬をのんだか、そしてそれが効いたか、など結構細かく書き込むんですね。
私、ちょっと面倒くさがりなので、続けられるかどうか不安になってきました……。

五十嵐:
もちろん、このダイアリーをつけることがその方のご負担になってはいけないわけですね。ですから負担にならない程度、例えば、日曜日、何時に起きたら頭痛が起こったとか、ちょっとしたことでいいので、これがきっかけかな、というふうにご自分でお気付きになったことを書いていただければ、そこでタネが見つかるということはあります。で、そのタネが見つかれば対策が立てやすくなるわけです。

「痛みに不安はあって当然」

――具体的には、どんな対策がありますか。

五十嵐:
例えば、強い光が誘因になると分かったら、屋外ではサングラスをかける。ですが、職場など屋内ではなかなかサングラスをかけにくい場合もあるわけですね。そうした場合には、周りの方に理解を求めるということも必要になることがあります。あとは、家の照明の色は白色灯ではなく、暖かい色味の電球色などに変える、ということもいいですね。
それから、月経中に頭痛が起こる方は、月経中はなるべく無理をしないということも大事です。
記録をつけますと、自分が思っているよりも結構たくさん頭痛が起こっていて、たくさんお薬をのんでいたな、ということが分かる方もいらっしゃるわけです。そうした場合には「予防薬」を始めてみることをおすすめいたします。
記録に書いたことと、頭痛の原因が直接結び付かない場合にも、その出来事をちょっと分析することで頭痛のタネに気付くこともあるわけです。

――例えば、どんな例がありましたか。

五十嵐:
健康診断のたびに必ず頭痛がする、という方がいらっしゃるんですね。職場の健康診断や内視鏡検査の際には、前日、例えば夜の9時以降は何も食べないでください、というふうに指導されますね。そうしますと、この「空腹」が原因で頭痛が起こっていると考えられます。その場合には、血液検査が終わって内視鏡検査までの間にアメをなめるとか、医師に相談してブドウ糖の点滴をしてもらう、そういうことでひどい頭痛を防げることがあります。
週末に必ず頭痛がする人は、「ストレスからの解放」ですとか「寝過ぎ」が原因になることがあります。ですから、平日と同じ時間に起きてみるようにお伝えしましたら、休日も頭痛がなく過ごせるようになりました、という方もいらっしゃいます。とはいえ、せっかくの休日なので長く寝ていたい、というふうに思う方もいらっしゃると思うんです。ですので、例えば今週は30分だけ遅く起きる、そこで大丈夫だったら次の週はもう30分延ばす。この時間までなら寝ていても頭痛が起こらないな、というようなご自分のチェックポイントを見つけるのも大事、と思います。
しかし、「女性ホルモンの変動」ですとか「台風」「天候」など、こういうことはご自分の力では何ともできないわけですね。そうした場合でも「自分で状況を把握して、主体的に対応をする」ことが、頭痛に対する不安を減らすことにつながります。分かったことをどう前向きに生かすか、ということがポイントだと思いますね。

――頭痛に対する不安を感じてしまったら、どうすればいいでしょうか。

五十嵐:
頭痛対策に何かいいことをしよう、というポジティブな考え方は重要なんです。
基本的なことですけれども、例えば頭痛が起こりそうなものを食べないようにしよう、というよりも、頭痛に効きそうな食材をできるだけ使おう、例えば「マグネシウム」とかそういうものをたくさんとろうなど、ポジティブに考えることです。
それから、適度な運動や良質な睡眠。これらは自律神経を整えますので、そういう規則正しい生活も重要です。
もう1つ大事なのが、「痛みに不安はあって当然」とご自分で受け入れて、上手につきあうということです。
頭痛のタネを探して対策したり、また、新しいお薬を使っているのになかなかよくならない、という方も実際いらっしゃいます。そういうときにどうしても、自分だけ、とか、自分ばっかり、と考えてしまうと、悪循環のわなに陥ってしまうこともあるわけですね。
頭痛に限らず、皆さんたぶん、何かしらうまくいかないことを持っていらっしゃると思うんですよ。ですからそれとつきあいながら暮らしている、という方がきっと多いと思うんです。痛みがあると、なかなか前向きになることができづらいと思うんですけれども、しかし、「今の状況で私に何ができるんだろう」というように、「前向きに考える」ことはとても大事だと思うんですね。
軽い運動をしたりですとか、お散歩したり、体へ働きかけることも有効です。

――では最後に、きょうのポイントをお願いします。

五十嵐:
頭痛を減らすために、できることから始めよう。


【放送】
2023/11/02 「マイあさ!」

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24/02/29まで

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