「頭痛は減らせる!」① ~頭痛 受診のめやすは?~

24/02/26まで

健康ライフ

放送日:2023/10/30

#医療・健康#カラダのハナシ

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24/02/26まで

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【出演者】
五十嵐:五十嵐久佳さん(北里大学客員教授 日本頭痛学会理事)
聞き手:福島佑理 キャスター

「頭痛くらい……」と我慢してしまいやすい

――あの、私自身も小さい頃から頭痛に悩まされてきたんですけれども、患者さんはどのくらいいるんでしょうか。

五十嵐:
1990年代に行われた大規模調査があるんですが、「15歳以上の日本人の約4割は、繰り返す頭痛を持っている」ということが分かったんです。そうしますと推定で約4,000万人、頭痛持ちの方がいるのではないか、ということになるわけです。で、その調査では、繰り返す痛みやその他の症状で生活に支障をきたすことが多い「片頭痛」が840万人ほどいるということが推定されました。
実は、男女差がありまして、女性は男性の3.6倍多いということが分かったんですね。しかし、その中で医療機関を受診なさっている方というのは3割ほどしかいらっしゃいませんでした。

――うーん、悩んでいる人は多いけれど、お医者さんに診てもらおうという人は少ない、ということなんですね。

五十嵐:
そうですね。日本人の多くは「頭痛くらい……」ということで我慢してしまうんです。かなり生活に支障をきたしていらっしゃる方でも、市販薬をのんで我慢してしまうことが多いんですね。
原因によってはすぐにでも治療が必要な場合もありますので、命に関わるものではなくても、「頭痛専門医」が診断して適切な治療やアドバイスをすれば生活が劇的に快適になる、という方も少なくないわけです。

どんな場合に医療機関へ行けばいいか

――私も、受診しようとは思わないことが多いんですけれども、どんな場合に医療機関へ行ったらいいんでしょうか。

五十嵐:
まず、必ずすぐに受診していただきたい、という方たちがいらっしゃいます。

✓ 今まで経験したことがない頭痛が突然起こったとき

これは、強さもそうなんですけれども、例えば「頭痛のほかに熱が出る」とか「初めて吐いてしまった」、また「手足がうまく動かない」など、頭痛以外の症状があっていつもと違うな、というときは要注意なんですね。「くも膜下出血」ですとか「脳腫瘍」「髄膜炎」など、命に関わる病気や感染症で頭痛が起こっている、という可能性もあるわけです。ですからすぐに医療機関を受診していただきたいと思います。
それからもう1つ。

✓ 50歳を過ぎてから初めて頭痛を経験した方

そういう場合にも、脳に何か病気があるということもありますので、必ず医療機関を受診していただきたいと思います。

――ほかにも、医療機関へ行ったほうがいい場合はありますか。

五十嵐:
次の場合には、ぜひ頭痛の専門医に相談していただきたいです。

■ 1か月に15日以上、頭痛が起こっている
■ 週2日は、頭痛の薬をのんでいる
■ 頭痛薬をのんで、1~2時間たってもよくならない
■ 頭痛のために、家事や仕事に支障がある
■ 頭痛のことで、不安になる

――こうした場合は医療機関を受診したほうがいい、ということなんですね。

五十嵐:
そうです。まず、ひと月に半分以上頭痛があって、そのうちの10日以上頭痛薬をのんでいらっしゃる方というのは「MOH」の可能性があります。

――MOHとは何でしょうか。

五十嵐:
Medication-overuse headache(メディケーション・オーバーユース・ヘッドエイク)といいまして、「お薬の使い過ぎによって起こる頭痛」のことです。
これは、もともと「片頭痛」ですとか「緊張型頭痛」など、他の病気が原因ではない頭痛、これを「一次性頭痛」というふうに私たちは呼んでいるんですが、それを持つ方が頭痛薬をのみ過ぎることによって起こる頭痛なんですね。で、もともと頭痛の頻度が高い方、頭痛薬の服用日数が多い方に起こりやすいです。
月に10日以上お薬をのんでいらっしゃらなくても、毎週2日以上お薬を使っていらっしゃる方はその予備軍になります。
頭痛薬をのんでもよくならない、ということであれば、やはり別の治療を考える必要が出てくるわけです。この場合、今まで服用していた、痛くなったときにのむお薬をやめまして、「予防薬」を定期的に使用することで頭痛を減らすことが可能になります。

――頭痛のために家事や仕事に支障がある人、というのはどのくらいの状態を指すんでしょうか。

五十嵐:
もちろん、寝込んだり吐いたりというのは当然なんですけれども、無理をしているな、というふうに思いながらも我慢していらっしゃる方ですね。そういう方は受診していただきたいと思います。
痛みを抱えながら、なんとかなっているから、と言って受診なさらない方がとても多いんですね。それは無理をしている状態ということになるわけです。ですから、なんとかなるということと、スッキリするというのは明らかに違うんですね。「頭痛を減らしてスッキリする」ということをぜひ感じていただきたいな、と思います。

――それから、頭痛のことで不安になる人、というのはどういうことでしょうか。

五十嵐:
これは片頭痛の方に多いんですが、頭痛が起こるかもしれない、ということを常に思って不安を抱えている方がいらっしゃいます。頭痛を心配して、本当はやりたいことがあるけれどそれを諦めたり、といったような「予期不安」を抱えている方が多いわけですね。
それから、片頭痛の方というのは、予期不安があるゆえにMOHもなりやすい、ということがありますので、「頭痛外来」で適切な予防的治療を受けていただきたいと思います。

――片頭痛の治療と予防については、次回、詳しく伺います。


【放送】
2023/10/30 「マイあさ!」

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24/02/26まで

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