「突然死も招く心臓・血管の病」④ ~心筋梗塞・狭心症 血管の健康状態に注意~

23/12/07まで

健康ライフ

放送日:2023/08/10

#医療・健康#カラダのハナシ

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【出演者】
清水:清水渉さん(日本医科大学大学院医学研究科 循環器内科学分野 教授)
聞き手:田中孝宜 キャスター

心筋梗塞と狭心症とは

――「心筋梗塞」と「狭心症」、よく聞く病名なんですけれども、これ、かかる方はやはり多いですか。

清水:
はい。心臓突然死の原因として、日本では「心筋梗塞」「狭心症」が50%~60%で最も多いとされています。

――そうなんですね、日本人には一番多いということで。その心筋梗塞と狭心症、かかる原因は何でしょうか。

清水:
心筋梗塞と狭心症は、心臓の筋肉に血液を送る「冠動脈」という血管の閉塞(へいそく)や狭窄(きょうさく)によって、胸の痛みが起こる病気です。また、心室頻拍(ひんぱく)や心室細動などの致死性不整脈が起こって、突然死を発症する可能性のある病気です。

――心筋梗塞、そして狭心症、この2つにはどのような違いがあるんですか。

清水:
心筋梗塞と狭心症はどちらも、締めつけられるような胸の痛みが特徴的ですが、狭心症の胸の痛みは10分程度で治まる一時的なものであるのに対して、心筋梗塞の痛みは30分以上続きます。

――狭心症の胸の痛みは10分程度、心筋梗塞の痛みは30分以上続く……長く続く、ということですね。
ふだんの生活で前兆ですとか、ちょっとした体へのサインというのはありますか。

清水:
典型的な症状は共通なんですけれども、胸の痛み以外にも「肩凝り」や「歯の痛み」として感じることもあります。

――肩凝りや歯の痛みが、実は胸の痛み、心臓の病ということもあり得るわけですね。心筋梗塞と狭心症、原因は同じなんでしょうか。

清水:
いずれも、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈の異常によって起こります。
冠動脈に動脈硬化が進んで、血管内膜のプラーク、すなわち脂肪の塊が破けて、最終的には血栓によって冠動脈が詰まってしまうのが心筋梗塞です。これによって心筋が壊死(えし)に陥って、激しい胸の痛みが起こります。

――一方で、狭心症の原因は何なんですか。

清水:
狭心症は、冠動脈の内側が動脈硬化により狭くなって血液が流れにくくなり、主に運動中などに心臓の筋肉が酸素不足になって、胸の痛みが出るのが狭心症です。
心筋梗塞や狭心症の人では、突然死を起こす心室細動などの危険な不整脈が起こりやすくなります。

心筋梗塞・狭心症からの突然死を防ぐには

――心筋梗塞・狭心症からの突然死を防ぐには、どうしたらいいでしょうか。

清水:
血管の健康状態に気をつけることです。心筋梗塞・狭心症の最大の原因である動脈硬化の危険因子を避ける必要があります。

――動脈硬化にならないように気をつけなくてはいけない、ということですね。

清水:
はい、そうです。食べ過ぎ、運動不足、喫煙などの生活習慣を改善しましょう。
具体的には、悪玉コレステロールである「LDLコレステロール」を多くとっていると動脈硬化が進行するので、脂質の摂取には気をつけましょう。お肉の脂肪や、鶏皮、ベーコン、バターなどに多く含まれています。

――脂質の摂取に気をつけなきゃいけない、ってことですね。清水さん、逆に、積極的に食事に取り入れたらいいものっていうのはありますか。

清水:
魚です。魚には「不飽和脂肪酸」という、血液中のLDLコレステロールを上げず、中性脂肪を下げる作用があります。また、血液を固まりにくくする作用もあります。
魚の中でも特に、イワシ、サバ、サンマといった青魚には、不飽和脂肪酸の一種である「EPA(エイコサペンタエン酸)」が多く含まれています。
実際に、血液中のEPAの割合が高い人ほど心筋梗塞などを発症しにくいという、日本人を対象とした研究調査があります。

――そうなんですね。そのほか、注意すべき点はありますか。

清水:
脂質異常以外にも、「高血圧」「糖尿病」のある方もしっかりと治療を受けてください。

胸の痛み、発作を感じたら

――清水さん、気をつけていても、胸の痛み、発作を感じたらどうしたらいいでしょうか。

清水:
発作は、運動や急激な気温の変化、ストレスなどで起きやすくなります。胸の痛みを感じたら安静にし、痛みが治まったら病院に行くようにしてください。
痛みが10分以上続く場合は、心筋梗塞のおそれがあるので、救急車を呼ぶなどの対応を取ってください。緊急で「冠動脈造影検査」をして、詰まっている血管を見つけ、それを早期にカテーテルで広げる治療をすることが大切です。
狭心症は心筋梗塞の前触れとして起こることもあるので、心筋梗塞を未然に防ぐためにも、発作が起こったら必ず病院を受診してください。狭心症が強く疑われる場合には、やはり冠動脈造影検査を行い、狭い所があればカテーテルで広げる治療をすることができます。

――では最後に、きょうのポイントをお願いします。

清水:
胸の痛みを感じたら、心筋梗塞・狭心症を疑って。


【放送】
2023/08/10 「マイあさ!」

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