「もしものときの応急手当」④ ~ねんざ・打撲・骨折~

23/10/26まで

健康ライフ

放送日:2023/08/03

#医療・健康#カラダのハナシ

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【出演者】
田邉:田邉晴山さん(救急救命東京研究所 教授)
聞き手:福島佑理 キャスター

キーワードは「安静・固定・冷却・持ち上げる」

――今回のテーマは「ねんざ・打撲・骨折」です。屋外だけではなく、家庭内でも多いけがの1つですよね。こうしたけがをしているかもしれないというとき、どうすればいいでしょうか。

田邉:
けがの直後は、一時的に、本来感じるはずの痛みを少し感じにくくなって、ねんざ・打撲・骨折が分からないことがあります。骨折やねんざは、適切な治療が遅れると治るのが時間がかかったり、後遺症が残ったりしてしまう場合があります。そのため、安易に大丈夫とは考えずに、悪いことも考えて、状況を想定して応急手当をすることが大切です。

――応急手当、何をすればいいでしょうか。

田邉:
キーワードは

■ 安静

■ 固定

■ 冷却

■ 持ち上げる

――安静・固定・冷却・持ち上げる、それぞれどういう意味があるんでしょうか。

田邉:
けがをしたところを動かすと、痛みや腫れがひどくなります。動かさずにそっとしておく、さらなる悪化を予防する、というのが「安静」です。
添え木を当てたり、三角巾や弾力性のある包帯などで、軽く圧迫気味に固定することで、移動する際の痛みを和らげたり、さらなる損傷を防ぐのが「固定」です。
けがをしたところを冷やすことで、痛みや腫れを和らげるのが「冷却」。
けがをしたところを心臓より高い位置に保って、腫れを抑えるのが「持ち上げる」になるわけです。

足首を痛めてしまったら?

田邉:
よくあるケースに、アウトドア活動などをしているときに、屋外で足首や手首を痛めてしまった、そんなことがあります。そういったことを想定して、具体的にどう行えばいいか説明します。

――では、足首と手首、順番に伺います。
まず、足首の場合です。固定するには何を使ったらいいんでしょうか。

田邉:
固定する専用のものがあれば、もちろんそれがいいわけですが、なくても、身近なもの、例えば丸めた雑誌、新聞紙、段ボール、畳んだバスタオルなど。
傘、登山用ストックなど、少し長めのものを使うときは、足の外側に添えてください。
ガムテープやひも、手拭い、薄手のタオルなどで巻いて固定します。

――固定する前に、靴を脱がせたほうがいいですか。

田邉:
けがをしたところを観察するために、一度は靴や靴下を脱いで、よく見る。
ただ、歩いて移動しなければいけないなど、どうしても靴を履かないといけない状況であれば、靴を履いた状態で固定しても大丈夫です。

――固定したあとは、どうしたらいいでしょうか。

田邉:
カバンや、丸めた衣類などを足首の下に入れて、高くします。
そして、保冷剤や、凍らせたペットボトルといったものがあれば、けがをしたところをそれで冷やします。衝撃を加えると冷たくなる保冷剤・瞬間冷却パック、こういったものも役に立ちます。ただ、こういったものを直接肌に当てると、冷やしすぎになってしまいますので、ハンカチやタオルなどで包んで冷やしてください。
これが、足首を打ったりひねったりしたときの、基本的な応急手当てになります。

手首を痛めてしまったら?

――では続いて、手首を痛めてしまった場合の、応急手当の方法を教えてください。
やはり、まずは固定からでしょうか。

田邉:
身近なもので、まず固定をする。今回は、丸めた新聞紙を使った場合の固定法をお伝えします。
新聞紙をそのまま腕に添えてもいいのですが、もしあれば、新聞紙の上にタオルをのせて、腕に添えてあげると痛みが少ないです。
その状態で、ガムテープやひも、タオルなどで巻いて、固定します。ひじから手の甲ぐらいまで覆われているとよいです。
次に、手首を高い位置に保つために、腕をつるします。着ている服をまくり上げて、安全ピンで留めれば、簡単に固定することができます。安全ピンがなければ、上着の腕の部分を結んで、三角巾のようにして活用するのもよいでしょう。

ねんざ・打撲・骨折かもしれないとき、受診の判断の目安は?

――ねんざ・打撲・骨折したかもしれないというとき、そのままにしていいか、すぐに病院を受診したほうがいいか、判断する目安はありますか。

田邉:

● 痛みが少なくて、内出血や腫れがひどくなければ「いったん様子を見てもよい」でしょう

● けがをした部分が明らかに変形している場合、こういった場合には骨折が疑われますので、「整形外科や救急を受診」します

● 歩けない、曲げられない、痛みや腫れが強い、皮膚の色が紫色に変わってきている、こういった場合にも「整形外科や救急を受診する必要がある」でしょう

登山中のけがはどうしたら?

――例えば、登山中にけがをした場合、登山口まで無理して歩いたほうがいいのか、助けを呼んだほうがいいのか、判断に迷う場合もあると思うんですが、どう判断したらいいんでしょうか。

田邉:
「状況によってさまざま」とは思います。
手や足の変形が大きい場合や、骨折が疑われる場所の近くに傷がある、折れてしまった骨の先が皮膚から露出しているような、そんな状況では「レスキューの方々を頼るのもしかたがない状況」ですね。

――田辺さん、最後にきょうのポイントをお願いします。

田邉:
ねんざ・打撲・骨折したかもしれないな、といったときには、安静・固定・冷却、そして、持ち上げる、で応急手当。


【放送】
2023/08/03 「マイあさ!」

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23/10/26まで

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