「もしものときの応急手当」② ~頭を打ったとき~

23/10/24まで

健康ライフ

放送日:2023/08/01

#医療・健康#カラダのハナシ

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23/10/24まで

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【出演者】
田邉:田邉晴山さん(救急救命東京研究所 教授)
聞き手:福島佑理 キャスター

頭を打ったときに注意することは?

――頭を強く打ったら、特に心配になりますよね。頭を打ったときは、どんなことに注意したらいいでしょう。

田邉:
まず、ぶつけたところの傷の確認、そして、意識の確認です。
傷の確認ですが、血が出ていたら、清潔なハンカチやガーゼ、タオルなどを傷口に当てて、強めに圧迫して「止血」を行います。血が止まるまで圧迫してください。
頭の皮膚は血管が多い所ですので、ちょっとした傷でもたくさん出血する場合があります。顔や服に血がたれるとびっくりするかもしれませんが、慌てないことが大切です。

――ぶつけて、腫れている場合、たんこぶがある場合はどうしたらいいですか。

田邉:
よく、“たんこぶができたら大丈夫”という方がおられますが、これは、全く根拠がありません。「たんこぶができるほど、頭に強い衝撃を受けた」とも考えられるわけです。
ですので、たんこぶがあってもなくても、傷の確認のあとには意識の確認を行います。
たんこぶそのものに対しては、5分ぐらい冷やしてあげるといいでしょう。

――意識の確認は、どのように行うのがいいでしょうか。

田邉:
気を失っているようであれば、けがをしている人の肩を優しくたたきながら、声をかけて反応を確認します。
意識があって、目を見てしっかり話ができるようであれば、「頭をどんなふうにぶつけたのか」「けがの前後のことを覚えているか」「痛い所はないか」などを聞いて、ちゃんと会話ができるかを確認します。

――どのような場合に、注意が必要でしょうか。

田邉:

● 意識を失ったまま目を開けない、あるいは、目を開けていても“うつろ”であったり、話の内容がおかしい。意識が混濁しているような状況ですね。そういった場合には「119番で救急車を呼んでください」

● けいれんしている場合、舌がもつれているような場合などにも、直ちに「119番通報」します

● 今は意識がしっかりしていても、けがをしたときに短時間でも気を失った場合、頭痛がひどい場合、吐いたり、吐き気がある場合は、「すぐに病院を受診」してください

小さいお子さんの場合、注意することは?

――ただ、小さいお子さんは、ことばにすることが難しい場合もあるかと思います。大人はどんなことに注意するといいでしょうか。

田邉:
大人が、子どものちょっとした変化に気付けるように、注意深く様子を見ていただきたいですね。

● 目が合わない、言葉が出てこない、そういったことで意識がおかしいなと感じたとき

● 手足の動きが少しおかしいな、というふうに思ったとき

● おう吐が続くとき。子どもは、1~2度吐くことはよくあることですが、繰り返して吐いたり、顔色が青白くなってきたとき

こういった場合には「119番通報」することも考えます。
ほかにも、いつもと違う感じがあれば「病院を受診」してください。

高齢者の場合、注意することは?

――高齢者の場合は、どんな注意が必要でしょうか。

田邉:
高齢の方は、脳梗塞などにならないよう、血の塊・血栓の予防のために、血液をサラサラにする薬をのんでいる場合があります。
そのため、軽いけがでも脳の中で血が止まらずに出血が続いて、時間とともに悪化することがあります。そうすると、ぶつけた直後は意識がよくて会話もできて、大丈夫だな、安心だな、というふうに思っていても、実は数十分から数時間で急に悪くなることがあるわけです。
血液サラサラの薬をのんでいる場合はより慎重に考えて、頭をぶつけたあとは、しばらくの間慎重に様子を見て、早めに脳外科などの病院を受診する必要があります。

――ほかに、高齢者の注意点、どんな注意があるでしょうか。

田邉:
高齢者は、転んでちょっと頭をぶつけたという比較的軽いけがであっても、2週間、あるいは3か月ぐらいして、頭の中に血液がたまってくることがあります。
その間に、頭痛、吐き気、脱力感・ふらつき、認知症、意欲の低下などの症状が表れてきます。
特に、急激に認知症が進んだ場合には、この病気の確認のためにも医師の診察が必要です。アルコールをよく飲まれる男性の高齢者では、頻度が高いのでご注意ください。

救急車を呼ぶか病院へ行くか、判断に迷うときは?

――夜中や休日などで救急車を呼ぶべきか、今すぐに病院へ行ったほうがよいかなど、判断に迷った場合は「#7119」に連絡するといいでしょうか。

田邉:
そうですね。「#7119」に電話をかけると、救急車を呼んだほうがいいのか、あるいは、今すぐ病院に行ったほうがいいのかなど、専門家からアドバイスを受けることができます。
ただし、自治体によっては、まだこの事業が始まっていない地域もありますので、あらかじめ確認しておいてください。
もう1つ、「子ども医療電話相談」の「#8000」もあります。「#8000」をプッシュして電話をかけると、夜や休みの日に、病院の受診について専門家に相談できます。
全国共通です。ただ、受付時間が都道府県によって違うので、こちらもあらかじめ確認をしてください。

――日頃から、こういった相談窓口を確認しておくといいですね。
では最後に、きょうのポイントをお願いします。

田邉:
頭を打ったら、意識を確認、安静に。


【放送】
2023/08/01 「マイあさ!」

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23/10/24まで

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