「もしものときの応急手当」① ~やけど~

23/10/23まで

健康ライフ

放送日:2023/07/31

#医療・健康#カラダのハナシ

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23/10/23まで

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【出演者】
田邉:田邉晴山さん(救急救命東京研究所 教授)
聞き手:福島佑理 キャスター

応急手当 この機会に覚えよう

――私たちは、突然のけがにいつ見舞われるかわかりません。そうしたときに、応急手当は自信がないな、という方も多いかもしれませんね。

田邉:
そうですね。アウトドアなどで外に出かけている際にけがをした、けれども近くに病院がなかったり、あっても休みだったりする、そのときにどうするか。また、自分がそうなったときだけでなくて、誰かがけがをしたとき、また災害などのときに応急手当をすることで、けがの悪化を防ぐことができるわけです。
応急手当は難しいものでありません。特別な道具がなくても、身近なものを活用して実践できるので、ぜひこの機会に覚えていただきたいと思います。

やけどをしたら、すぐに水で冷やす!

――今回のテーマは「やけど」です。料理やキャンプなど、やけどのリスク、多いですよね。

田邉:
やけどは適切に手当てをすると、早く、そして傷も少なく治ります。しかし、やけどの手当てを間違って行っている人も少なくありません。正しいやけどの手当て方法をお伝えしたいと思います。

――やけどをした場合、どのように手当てをすればいいですか。

田邉:
やけどをしたら、すぐに水で冷やすことが大切です。
家庭であれば、水道水を流しながら洗面器にためて、やけどしたところをつける、ということも効果的です。
ただ、顔やおなか、あるいは頭など、そういったところは冷やしづらいので、水でぬらした清潔なタオルやガーゼを、やけどの部分に当てて冷やすのも1つの方法です。当てたタオルなどが温まってきたら、また水で冷やして当て直す、そういったやり方ですね。
水道水が近くにない場合は、ペットボトルの水、水がなければお茶、そういったものでも代用することが可能です。

――水ぶくれがある場合は、どうしたらいいでしょうか。

田邉:
水ぶくれは、破らないほうが治りが早い、というふうにいわれています。
ですので、できるだけ破らないように、冷やす際は例えば、水ぶくれにポリ袋やラップを当てて、その上から流水で冷やす、そういったことがいいでしょう。

――お湯などが、服の上からかかってしまう場合もあると思うんですが、そういった場合、どうしたらいいですか。

田邉:
素肌を出せる場所なら、素肌に直接水をかけたほうがいいわけですが、すぐに脱げなかったり、脱ぐと皮膚や水ぶくれが破れてしまう、そういったときには無理に脱がさずに、服の上から冷やすのでも大丈夫です。

――冷やすときに、氷や冷却スプレーで冷やすのはどうでしょう。

田邉:
氷や冷却材などがあれば、タオルなどで包んでから、やけどの部位に当てて冷却するのもひとつの方法ですね。
ただ、冷却スプレーは、その成分がやけどにどういった影響を与えるかよく分からないところがありますから、使用を避けたほうが賢明かと思います。

――やけどにアロエを塗れば治る、という話を聞いたことがあるんですが、それは本当なんですか。

田邉:
やけどに対するアロエの効果は、確認されたものがあるわけではありません。ほかにも、ハチミツとかジャガイモの皮、がまの油とかそういったものをつけてこられる方がおられますが、かえって、病院で医師が傷を観察するときの妨げになるので、使わないほうがいいですね。

受診したり、救急車を呼んだりする目安は?

――やけどをしたときに、自分でなんとかするか、受診するか、救急車を呼ぶか、悩むこともあると思います。どの程度のやけどなら受診したほうがいいのか、判断ポイントはありますか。

田邉:

● 水ぶくれができている、あるいは赤くただれている、といったやけどでは、「外科や皮膚科などの病院を受診」したほうがいいでしょう

● 水ぶくれが広い範囲に広がっている場合、こういったときには「119番通報」をします

● 皮膚が黒く焦げていたり、ゆでられて白くなっているような色の、深いやけどの場合には、比較的狭い範囲でも「119番通報」することを考えます

● 顔や指、手足の関節、陰部などのやけどの場合は、「重いやけどとして対応」したほうがいいでしょう

判断に迷えば、地域によっては「#7119(救急安心センター事業)」に相談することもできます。
「#7119」をプッシュして電話をかけると、救急車を呼んだほうがいいのか、あるいは、今すぐ病院へ行ったほうがいいのか、そういったことを、専門家からアドバイスを受けることができます。
ただ、自治体によっては、まだこの事業が始まっていない地域もありますので、あらかじめ確認しておいてください。

――「#7119」で電話相談ができるんですね。
火事や、服に火が燃え移ったときなどに息をして、空気を吸い込む通り道がやけどになる、と聞いたことがあるんですが、それはどうなんでしょうか。

田邉:
時に、その炎を吸い込んだり、あるいは熱くなった空気を吸い込んだりすることで、のどや気管といった空気の通り道がやけどになってしまうことがあります。
口やのどの痛みがある、あるいは、声が変化してしまっている、呼吸が苦しい、こういったときにはどんどん息が吸いにくくなって、重篤化してしまうことがありますので、直ちに「119番通報」が必要になります。

――子どもや高齢者の場合も、急いで受診したほうがいいですよね。

田邉:
そうですね。子どもは体が小さくて、大人に比べて皮膚も薄いので、やけどが重症化しやすい傾向があります。
高齢者も、若者に比べて皮膚が薄くて、さまざまな病気を抱えている方も多いため、重症化しやすくなります。
子どもや高齢者のやけどは、やはり慎重に対応する必要があります。

――田邉さん、最後に、きょうのポイントをお願いします。

田邉:
やけどをしたら、とにかくすぐに、水で冷やす。


【放送】
2023/07/31 「マイあさ!」

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23/10/23まで

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