【出演者】
赤石：赤石定典さん(東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 管理栄養士)
聞き手：星川幸 キャスター
血糖値のコントロールに気を付けよう
――私も祖母が糖尿病でしたので、血糖値が気になっています。
赤石：
実は、私が患者さんにダイエットの話をする上で、気を付けていることがあるんです。それは「血糖値のコントロール」です。ダイエット中は「血糖値スパイク」が起こりやすくなるんです。
――血糖値スパイク、ですか。それはどういったものですか。
赤石：
数年前に提唱された考え方です。
血糖値は、食事をとると上がるんですが、徐々に下がっていって、正常な値に戻ります。通常は、この変動の波は緩やかです。ただ、食べ過ぎだったりとか、甘いものをたくさん食べると血糖値が急上昇します。これが血糖値スパイクです。
“スパイク”は“とげ”を意味しますが、血糖値スパイクが多いと糖尿病になりやすい、ということだけではなく、血管を傷つけ、動脈硬化も進行します。すると、心筋梗塞、脳梗塞、さらにはがん、認知症などのリスクが高まります。ダイエット中はふだんと違う食生活になりがちなので、血糖値スパイクになりやすい、というふうに考えられます。
――実は私も、長い時間食事をとらずにいて、甘いものを食べたときにちょっと気分が悪くなったことがあったんですが、これは血糖値スパイクでしょうか。
赤石：
その可能性はあると思います。急に甘いものをとることによって、血糖値がドンと上がって、それで気分が悪くなった、いわゆる「高血糖」の状態になったという可能性はあります。ですので、食生活が不規則な方は、血糖値スパイクに気を付けてほしいということです。
血糖値コントロールのポイント
――血糖値をコントロールするには、どうすればいいんでしょうか。
赤石：
ポイントは４つあります。
――では、そのポイントを伺いましょう。血糖値コントロールのポイント、１つ目は。
赤石：
◆ 野菜を先に食べる
――これはどうしてですか。
赤石：
野菜に含まれる食物繊維は、糖質の吸収を穏やかにして、血糖値の急上昇を抑えてくれます。まずはサラダなどの野菜をとったあとに、ごはんやおかずをとるのがいいと思います。
――野菜がない場合にはどうすればいいでしょうか。
赤石：
食物繊維が入った野菜ジュースを選んでください。その際に成分表示をチェックして、食物繊維が入っていること、さらに気を付けたいのは、砂糖などの糖質が入っていないものを選んでいただけば、と思います。
――では、血糖コントロールのポイント、２つ目は。
赤石：
◆ 血糖値が上がりにくい食品をとる
血糖値は、糖質をとると上がります。ですので、糖質が少ないものを食べると血糖値は上がりにくいんですね。例えば、お肉や魚などのたんぱく質、乳製品、でんぷん質が含まれていない野菜、そういったものが血糖値が上がりにくいです。
逆に、血糖値が上がりやすい食品というのは、ごはんやパン、麺類といった主食です。いわゆる炭水化物です。
――ごはんやパンなどは、あまりよくないんでしょうか。
赤石：
いえいえ、ダメじゃないです。しっかり食べてください。ただ、患者さんには「白い炭水化物」ではなくて、「茶色い炭水化物」を食べるように話をしています。
白い炭水化物というのは、白米、食パン、うどんといった、精製されたもの。こういったものは、食物繊維が少ないんです。
茶色い炭水化物は、玄米、麦ごはん、全粒粉パン、おそばなど。こういったものは食物繊維が多いです。ですので、血糖値が上がりにくい主食ということになります。
――玄米や麦ごはん、おそばなどが血糖値を上げにくい、ということなんですね。では、血糖コントロールのポイント、３つ目は。
赤石：
◆ ネバネバ食材
――ネバネバ食材、前回の腸活の回でもご紹介しましたね。
赤石：
はい。ワカメやとろろ昆布、オクラ、なめこ、納豆などです。ネバネバ成分は、血糖値の上昇を抑えることができます。白いごはんを食べるときにはとろろや納豆をのせる、うどんのときにはとろろ昆布やワカメをのせる。そうすると、血糖値の上昇を抑えることができます。
――血糖コントロールのポイント、４つ目は。
赤石：
◆ ３食、きちんと食べる
血糖値スパイクは、空腹の時間が長くなると食べた瞬間に上がりやすくなります。３食きちんと食べることによって、血糖コントロールがしやすくなります。
――４つのポイント、私も参考にしたいと思います。
【放送】
2023/06/15 「マイあさ！」
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