「あなたの心臓 大丈夫?」③~若い人でも注意 狭心症・心筋梗塞~

23/05/24まで

健康ライフ

放送日:2023/01/25

#医療・健康#カラダのハナシ

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23/05/24まで

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【出演者】
坂田:坂田泰史さん(大阪大学 大学院 教授)
聞き手:大久保彰絵 キャスター

「狭心症」「心筋梗塞」とは?

――この「狭心症」「心筋梗塞」、それぞれどんな病気なんでしょうか。

坂田: 心臓に血液を送っているのが心臓を取り巻く「冠動脈」です。この冠動脈の一部に異常が起きて、血液が流れにくくなって、心臓の筋肉である「心筋」が弱ってしまう、これが「狭心症」という病気になります。
さらに、冠動脈に血液の塊である「血栓」が詰まって、冠動脈の血流が途切れてしまって、その周りの心臓の組織がだめになってしまう、これが「心筋梗塞」という病気になります。

――大まかに言いますと、狭心症というのは心臓に送られる血液が流れにくくなるもの、そして、心筋梗塞は心臓の血液が途絶えてしまうもの、ということなんですね。

坂田: はい、そうです。

――その狭心症、心筋梗塞、どうして起こるんでしょうか。

坂田: 主な原因なんですが、まずは、やはりたばこ……喫煙が挙げられます。さらに高血圧、糖尿病、肥満であるとか、脂質異常症……コレステロール(が関係する病気)ですね、こういった「生活習慣病」も大きく関係していると思います。

――そうですか。狭心症や心筋梗塞があると、どういうリスクがありますか。

坂田: 狭心症は、日常生活を制限するということにもなります。動くとしんどくなる、ということになります。また、狭心症がある、ということは、心筋梗塞にもつながります。
心筋梗塞はいったん発症しますと、病院にたどりつかない場合は、その死亡率は40%ぐらいと非常に高くて、その多くは「突然死」であると考えられています。一方で、心筋梗塞で入院した方の死亡率は10%以下と考えられていますので、心筋梗塞になった場合、できるだけ早い治療、早期の治療を行う、そういうことによって多くの命が救われるわけです。狭心症、心筋梗塞というのは高齢者に多いんですが、若い人に起こることもありますので安心はできません。

狭心症に気付くことができるサインとは?

――そうですか。早期の治療が大事ということで、サインとなる症状について知りたいんですが、まず、狭心症を見逃さないよう気付くサインというのはあるんですか。

坂田: 狭心症の〝典型的なサイン〟を知っておくことが大事だと思います。それは、運動した、体を動かしたときや興奮したときに、いわゆる“胸が締めつけられるような痛み”と表現される、発作のようなものです。胸が押さえつけられる、圧迫されるような痛みが、通常は数分から10分ぐらい続くと考えられています。そして、少し安静にしていれば、心臓の状態、そして症状が回復するというものです。

――運動や、興奮したときに起こるのが典型的なんですね。これ、胸の痛み以外には何か症状ってありますか。

坂田: 意外なところが痛むことがあります。のどであるとか、奥歯であるとか、腕、背中、みぞおちなどが痛む、という症状で現れることもあります。肩こりや、胸焼けだ、という方もいらっしゃいます。昔は問題のなかった軽い運動をしたときや、安静にしているときに発作が起きたり、痛みの持続時間が長くなったりすると、狭心症の中でも短期間で心筋梗塞に移行する可能性が高いです。もし、15分ぐらい症状が治まらないというときは、すぐに病院にかかっていただきたいと思います。

――狭心症の場合というのは、大体皆さんこうした症状は出るんですか。

坂田: いえ、必ずしもそうではありません。糖尿病であるとか、非常にご高齢の方というのは、神経の働きが低下して胸の痛みが感じにくいというふうに考えられているので、息苦しい程度の症状しか現れないときもあります。息切れや胸の不快感とかだるさなどが続く場合は、年のせいと思わずに受診していただければと思います。

心筋梗塞に気付くことができるサインとは?

――では、心筋梗塞のサインというのはどのようなものがありますか。

坂田: 心筋梗塞では、やはり激しい胸の痛みに襲われます。“胸が締めつけられるよう”とか“焼けつくよう”というふうに言われる方も多いです。突然起こるという特徴がありまして、“何時何分に突然始まった”とはっきり言われる方も、中にはいらっしゃいます。“息苦しい”とか、“吐き気がある”、“冷や汗が止まらない”というような症状になることもあります。こういった症状が20分ぐらい続いた、ということになれば、ためらわず救急車を呼んでいただきたいと思います。

サインとなる症状に気付いたら、早く病院を受診

――いずれにしても、狭心症や心筋梗塞のサインとなる症状がある場合は、早く病院を受診する、ということが大事なんですね。

坂田: そうですね。心筋梗塞のように心臓の筋肉がいったんだめになってしまいますと、どんなに治療してもだめになった心臓の筋肉は元どおりにならないと考えられますが、狭心症の段階では、まだ心臓の筋肉は生きているといえます。ですので、狭心症の段階で気付いて治療する、ということも大事だと思います。
確実に命を救って後遺症が残らないようにするには、発症してからできるだけ早く、2時間ぐらいの間に血流を再開させる、こういう治療をすることが理想だといわれています。

【放送】
2023/01/25 マイあさ! 「健康ライフ」 坂田泰史さん(大阪大学 大学院 教授)

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