【出演者】
坂田:坂田泰史さん(大阪大学 大学院 教授)
聞き手:大久保彰絵 キャスター
心臓の健康を保つには?
――心臓の健康を保つには、運動が大切なんですね。
坂田: | はい。運動は、心臓や血管にいい効果があります。ある研究では、毎日1時間以上歩く人と30分歩く人を比較した場合、1時間以上歩く人は、心臓の血管が詰まる心筋梗塞などによる死亡のリスクが、2割近く減少しているという結果が出ているんです。 |
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――30分の違いで、ずいぶん健康の効果が高まるんですね。
坂田: | そうなんです。運動といいますと激しいスポーツを思い浮かべるかもしれませんが、歩くだけでもかなり効果があるんです。運動というのは〝魔法の薬〟ともいえます。この運動が、健康によく効く薬ということになります。 |
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心臓によいのはどんな運動?
――そうですか。では、心臓によいのはどんな運動なんですか。
坂田: | まず、私たちが運動と呼んでいるものは、スポーツなどのいわゆる“運動”と、日常生活の中の“生活活動”に分けられます。この両方を合わせて「身体活動」と呼びます。 心臓によい運動は、速く歩く、ジョギング、テニス、水泳などです。日常生活の活動では階段の上り下りであるとか床掃除、子どもと遊ぶというのもいいと思います。 最も簡単に、手軽にできるのは「速足(はやあし)で歩く」ことです。ぶらぶらと気ままに歩くのもいいんですが、それだけではなく、意識して速足で歩くとよい運動になります。軽く汗ばむぐらいの強度で、「1日30分」を目標に歩いてみましょう。ただ歩くためだけの時間をつくるというのは難しいと思いますので、通勤のときにちょっと遠回りするとか、1駅前で降りて歩くと負担なくできるのではないかと思います。 |
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――そうですね。それから、ちょっとまとまった時間をかけて運動するのが難しい、という方もいるかもしれません。その場合、何かよい方法、アドバイスはありますか。
坂田: | その場合はやはり、日常生活でこまめに体を動かすということがいいのではないかと思います。1日10時間以上座っている方は、5時間以下の人に比べておよそ20%ぐらい、心筋梗塞などの心臓の病気になるリスクが高いということが分かっています。 |
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――そうですか。家にいますとパソコンやスマートフォンを見たり、長い時間座り続けている方も多いかもしれませんよね。
坂田: | そうですね。日常生活でじっとしている時間が長いという方は、こまめに立ち上がってちょっと動き回るとか、あるいは家事をしたりとか、ちょっと筋トレをしたりとか、そういう時間をわずかでも作っていく、そういうことが非常に大事なのではないかと思います。 |
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おすすめ「脚の筋トレ」
――家でちょっとした筋トレ、例えばどんなものがいいですか。
坂田: | 例えば、「脚の筋トレ」なんかもいいのではないかと思います。脚から心臓に戻る血の流れを促すと、心臓の負担も軽くなる、と考えられていますので、少しずつでもいいので続けられるといいのではないでしょうか。 |
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――今、私は座ってるんですが、座っている状態ですぐ出来る運動、筋トレってありますか。
坂田: | はい。座ってできる、「太ももの筋トレ」というのがあります。大久保さん、やってみてください。 |
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――はい。
坂田: | まず、いすに深く座っていただけますでしょうか。 |
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――いすに深く座りました。
坂田: | 右足を前に、ぐっと伸ばしてください。 |
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――右足を前に。伸ばす。
坂田: | 右足を下ろしてください。 続いて、左足を前に、ぐっと持ち上げてみてください。 下ろしてみてください。 こういうことを繰り返されるといいんじゃないかと思います。 |
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――そうですか、簡単ですね。確かにこれ、ももですとか脚の裏側に力が入って、ちょっと効いてる感じがしますが、どれくらいするといいんですか。
坂田: | 目安は左右10回ずつ、1日3セットでいいと思います。これだけやろうと思っても結構大変だと思いますが。 |
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――ああ、そうですか。家でも気分転換に少しの時間でできそうですよね。
坂田: | そうですね。 |
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――そのほか、おすすめの脚の筋トレはありますか。
坂田: | 立って行う「ふくらはぎの筋トレ」というのもあります。ふくらはぎは〝第二の心臓〟といわれています。心臓から送り出された血液を、体の隅々まで送り届けるポンプの役割をしてくれますので、ふくらはぎを鍛えると心臓の負担が減ると思います。 |
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――へえ、ふくらはぎって大事なんですね。その、ふくらはぎの筋トレ、教えてください。
坂田: | 壁に手をついて、まっすぐに立ちます。 そして、かかとをゆっくり上げて、下げます。 |
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――壁に手をついてまっすぐに立って、かかとをゆっくり上げて、下げる。これ、ポイントはどこでしょうか。
坂田: | ポイントは、ひざは曲げずに、かかとはしっかり上げる、というところだと思います。回数の目安は1セット10回で、1日3セットぐらいです。 |
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――ポイントは、ひざを曲げずに、かかとはしっかり上げる、と。回数は1セット10回で、1日3セット、ということですね。
では、最後にきょうのポイントをお願いします。
坂田: | ちょっとした運動が魔法の薬。心臓を若々しく保てます。 |
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【放送】
2023/01/26 マイあさ! 「健康ライフ」 坂田泰史さん(大阪大学 大学院 教授)
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