「あなたの心臓 大丈夫?」⑤~心臓を守る食事術~

23/05/26まで

健康ライフ

放送日:2023/01/27

#医療・健康#カラダのハナシ

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23/05/26まで

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【出演者】
坂田:坂田泰史さん(大阪大学 大学院 教授)
聞き手:大久保彰絵 キャスター

心臓を守る食事のポイント

――心臓を守る食事のポイントはどこでしょうか。

坂田: ポイントは、3つあります。

1つ目は、たんぱく質をとる。
2つ目は、シニア世代はほどほどの減塩。
3つ目は、肥満の方は、間食(おやつ)は控えめにする。

――では、順番に伺います。まず「たんぱく質をとる」こと、これが大事なんですね。

坂田: はい。心臓を守るためには運動が必要で、運動をするには筋肉が必要です。その筋肉をつくるのがたんぱく質になります。シニア世代は、一般的に食事量が少なくなって、あっさりとしたものを好む傾向があります。このような場合に不足しがちな栄養素が、たんぱく質です。
たんぱく質が不足すると、筋肉量が減少して疲れやすくなるので、運動がおろそかになります。また、筋肉量が減ると「疲れやすい」「あまり動けない」「転倒しやすい」「免疫の働きが低下する」などが起こって、自立した生活や運動が困難になって心臓に悪い、ということになります。
たんぱく質が豊富な食品は、肉、魚、大豆製品、乳製品、卵などです。さまざまな食品からたんぱく質をとるようにしていただきたいと思います。

――続いて2つ目のポイント「シニア世代はほどほどの減塩」、これはどういうことでしょうか。

坂田: 狭心症と心筋梗塞のリスクになるのは高血圧ですが、これは血圧が上がると血液の量も増えて、心臓に負担がかかるからです。血圧のコントロールの基本となるのは塩分を制限することなんですが、もともと食事量が減っているシニアが厳しい塩分制限を行うと、食欲がなくなって、さらに食事量も減ってしまいます。その結果、たんぱく質の摂取量も減ってしまいます。シニア世代は、厳しい塩分制限をするよりも“少しなら食べてよい”など許容範囲を設けて、食事の量を減らさないように心がけていただきたいと思います。

――シニア世代はほどほどの減塩がよい、ということですね。ほどほどにするためのコツはありますか。

坂田: 塩分の多い食品は、量や回数を減らすことです。例えば、塩ざけなどは半分にするとか、ラーメンは汁を半分以上残せばかなりの減塩です。魚の練り物にも塩が使われていますので、あまり食べ過ぎないことは大事だと思います。

――では3つ目のポイントは、「肥満の人は、間食(おやつ)は控えめに」ということでしたね。

坂田: 肥満があると、それだけで心臓に負担がかかるわけですが、肥満がある方というのは、やっぱり間食(おやつ)が多い人によくみられると思います。食品に記載されている栄養成分表示をチェックして、エネルギー量……カロリーですね、糖質、脂質の多い間食はとり過ぎないように注意していただきたいと思います。

――間食で肥満にならないためのコツはありますか。

坂田: 間食はやはり1日1回までにすることだと思います。1日1回の“おやつ時間”をゆっくり楽しむようにして、何となくだらだら食べるのをやめたほうがいいのではと思います。あとは、夕食後に食べない、とか。夜遅くに食べると、エネルギーとして消費されずに、やはり体にたまってきます。こういうのは肥満につながりやすいと思います。

――何となく食べてしまいがちなんですが、間食は1日1回まで、そして夕食後の間食はやめる、ということですね。肥満の人の食べる量っていうのは、どれぐらいがいいんでしょうか。

坂田: 厳密な数字は難しいかもしれませんが、肥満の人が間食をするときのエネルギー量は、大体1日160キロカロリー以下に控える、いわゆる“おやつ”だけではなく、糖質の多い果物・いも類にも注意する、こういうことが大事かと思います。
例えば、プリン1個100gでは130キロカロリー、みたらしだんご1本60gでは120キロカロリー、しょうゆせんべい2枚30gでは110キロカロリーです。

――そうですか。ふだんあまり、なかなか意識しませんけれど、よく食べる食品のエネルギー量をチェックするといいですね。

坂田: そうですね。あとは、食べた分はできるだけ消費していただければ、と思います。なかなかすべてを消費するというのは難しいんですが、“おやつでとったエネルギーは消費する”という意識を持って、日々しっかり体を動かすということは大事だと思います。

「歯周病対策」も大事

――おやつを食べたら、体を動かす、この2つはセットだと考えるといいですね。そして、おいしく食べて健康を保つために、どんなことを気を付けたらいいでしょうか。

坂田: 実は「歯周病対策」も大事だと思います。歯周病は全身の炎症を引き起こして、糖尿病などを悪化させて、心臓にも負担をかけるといわれています。心臓を守るためには歯周病対策も欠かせないのではないでしょうか。

――歯が関係してくるんですか。歯周病を予防するには、やはり日常的なケアが大事ですか。

坂田: そうですね。毎日丁寧に歯磨きをすることと、やはり、3か月とか半年に1回は歯医者さんに行って、診てもらうということも大事だと思います。あとは、たばこを吸わないことも大事です。

――はい。最後にきょうのポイントをお願いします。

坂田: 「たんぱく質をとる」「減塩」で心臓を守っていきましょう。

【放送】
2023/01/27 マイあさ! 「健康ライフ」 坂田泰史さん(大阪大学 大学院 教授)

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