【出演者】
室伏：室伏利久さん(帝京大学 客員教授)
聞き手：星川幸 キャスター
良性発作性頭位めまい症とは
――室伏さん、頭を動かすときに起こるめまい、とはどのようなめまいのことなんですか。
| 室伏： | 頭を動かすときに起こるめまいは「良性発作性頭位めまい症」といいます。めまいを引き起こす代表的な耳の病気です。病名に「頭位」とついていますが、めまいを起こす頭の位置を「めまい頭位」といいます。じっとしているとめまいが起こらないのですが、頭を動かして、決まった頭の位置でめまいが起こるのが特徴です。 |
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――決まった頭の位置でめまいが起こるんですね。具体的にはどの位置ですか。
| 室伏： | めまいが起こる頭の位置は、人によって異なります。寝返りをしたとき、あるいは朝起きたとき、目薬をさそうとして上を向いたとき、料理をしようとして下を向いたとき、そうしたときなどに起こることがあります。 |
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――どんなタイプのめまいが起こるのが特徴なんでしょうか。
| 室伏： | 症状は、目が回るような回転性の激しいめまいが多く、バランス感覚が失われてよろめくような感じの場合もあります。そのため、回転性のめまいでは吐き気やおう吐を伴うこともあります。ただし、耳鳴りや難聴などの症状は通常ありません。めまいは長く続くことはなく、数秒から数十秒、長くても３分程度で治まりますが、めまい発作を何度も繰り返すのが特徴です。 |
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なぜ、頭を動かすとめまいが起こる？
――この、頭を動かすとめまいが起こる、というのはどうしてなんですか。
| 室伏： | 原因は、耳の奥の内耳にある「耳石(じせき)」という小さなカルシウムの結晶が、何らかの原因ではがれてしまい、定位置からずれることで不安定になり、頭の位置が変わったときに揺れ動いて、その刺激でめまいが起こる、と考えられています。 |
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――耳石というものがはがれてしまう、ということなんですね。どうして耳石がはがれてしまうんでしょうか。
| 室伏： | はっきりは分かっていませんけれども、スポーツなどで頭を強く打ったりしたときに、耳石がはがれていることがあります。また、耳石はカルシウムの小さな粒であるため、カルシウムの代謝が悪くなってはがれてしまうこともあります。そのため、骨粗しょう症の方も良性発作性頭位めまい症になりやすいです。 そして、60歳代から70歳代の女性に多いという特徴があるため、加齢や女性ホルモンの関係が考えられています。閉経すると、女性ホルモンの分泌が低下してカルシウムの代謝に影響し、耳石もはがれやすくなるのではないか、と考えられています。 中高年の方の場合には、めまいの症状がなくても、耳石がはがれてたまっている可能性があります。耳石は、一つ一つは小さな粒ですけれども、はがれている量が多くなることで問題が出てくるといえます。つまり、中高年の方は発症しやすいです。 |
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良性発作性頭位めまい症の治療
――頭を動かすときにめまいが起きたら、何科を受診したらいいでしょうか。
| 室伏： | 耳鼻咽喉科、またはめまい専門の外来を設けている病院を受診してください。激しくはっきりしためまいの場合が多いので、最初は“いったいどうなるのか”と驚いてしまうかもしれませんけれども、良性発作性頭位めまい症は命に関わることはありません。ただ、症状が治まっても、やはり一度受診してもらったほうがいいです。なぜなら、繰り返しめまいが起こることも多く、放っておくと治りにくくなるからです。また、長引いて生活に大きく影響することもありますし、別の病気の可能性もあります。 |
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――治療はどのように行うんでしょうか。
| 室伏： | まず、検査で、耳のどの辺りに耳石がずれているのか、というのを調べます。一番初めに行うのは、患者さんの頭や体を動かして、はがれた耳石を元の場所に戻してあげる治療です。７割～８割の方は、この治療でよくなります。この治療は必ず医師が行うもので、患者さんが自主的に行えるものではありません。 |
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――耳石を処理しないと、めまいはずーっと続くということですか。
| 室伏： | １か月ぐらいは繰り返し起こりますけれども、石は自然に消えたり、あるいは散ってしまったりするので、それ以上長く続くことはあまりありません、したがって、診断がはっきりしていれば、このめまいは過剰に心配する必要はありません。ただし、新たに石がたまって再発することも少なくはありません。 |
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――最後に、きょうのポイントをお願いします。
| 室伏： | 繰り返し頭を動かすときに起こるめまい、良性発作性頭位めまい症の可能性が高いです。耳鼻咽喉科、またはめまい外来を設けている病院を受診してください。 |
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【放送】
2023/03/16 マイあさ！ 「健康ライフ」 室伏利久さん(帝京大学 客員教授)
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