【出演者】
室伏:室伏利久さん(帝京大学 客員教授)
聞き手:星川幸 キャスター
耳鳴りや難聴を伴うめまいの場合
――めまいの原因には耳の病気が多いということでしたが、めまいに伴って聞こえの症状を訴える方は多いんでしょうか。
室伏: | はい。めまいの患者さんには、耳鳴りや難聴、耳が塞がったような感じという、耳の症状を訴える方もいらっしゃいます。全ての耳の病気でこうした症状を伴うわけではありませんが、耳鳴りや難聴を伴うめまいの場合は、早く治療を始めないと、聴力が回復しづらくなることもあります。特徴をよく知って、早期発見につなげていただきたいと思います。 |
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――耳鳴りや難聴を伴うめまいには、どんな病気があるんですか。
室伏: | 代表的には「メニエール病」と「突発性難聴」です。 |
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メニエール病の特徴と治療
――メニエール病と、突発性難聴。まず、メニエール病はどんな特徴がある病気なんでしょうか。
室伏: | メニエール病は、回転性めまいが10分から半日程度続き、何度も繰り返すのが特徴です。数年にわたってめまい発作を繰り返す方もいます。めまい、耳鳴り、難聴のほかに、吐き気やおう吐もよく伴います。また、多くの人は、耳が詰まったような感じ、耳の閉塞感ですね、これが起こります。難聴は、低音から聞きづらくなります。初期には、聴力の低下に気付かないこともあります。 この病気は、19世紀にフランス人の医師である“メニエール”が報告したことから、メニエール病と名付けられました。 |
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――メニエール病で、めまいに耳鳴りや難聴を伴うのはどうしてなんですか。
室伏: | 耳の奥の内耳が水ぶくれになることで、バランスの感覚が乱れて、ぐるぐる回る回転性のめまいが起こります。また、音の感覚も低下し、耳の聞こえも悪くなって難聴になったり、耳鳴りが起こったりします。そのため、仕事や家事に差し支えることが多いです。 原因はよく分かっていませんが、ストレスなどによって、体の水分を調節するホルモンが異常を来すため起こるのではないかと考えられています。 |
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――メニエール病は、どんな人に多いんでしょうか。
室伏: | 中高年の方に多いですね。また、責任感が強い方、きちょうめんな方に多く見受けられます。 |
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――メニエール病と診断されたら、どのように治療するんですか。
室伏: | まず、生活習慣の改善をしながら、薬で治療をします。発症にはストレスも関係していると考えられますので、過労を防ぐために無理をしないこと、それから、睡眠をしっかり取ることが大切です。軽い運動は耳の血行が改善します。 |
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――薬を使う場合もあるんですね。どんな薬ですか。
室伏: | 〝耳の血行をよくする薬〟などを必要に応じて使います。使うのはいずれも「飲み薬」です。 |
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突発性難聴の特徴と治療
――次に、突発性難聴について教えてください。
室伏: | 突発性難聴は、何の前触れもなく、片方の耳が急に聞こえなくなる病気です。どの年齢層でも発症しますけれども、特に、仕事や家庭のことでストレスがかかりやすい、30歳代から60歳代ぐらいの方に多い傾向があります。症状として、難聴以外に、耳が詰まった感じや、耳鳴り、ぐるぐる回る回転性のめまい、吐き気などを伴う場合もあります。原因不明の病気ではありますが、過労や、ストレスが影響することも考えられています。 |
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――どのように治療するんでしょうか。
室伏: | 1週間前後、安静を保ち、「ステロイド薬」などで治療します。入院していただくこともよくあります。 ただし、(発症して)2週間以内くらいに治療を開始しないと、聴力が元に戻らなくなるおそれがありますので、できるだけ早く受診して、治療を始めることが大切です。 |
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――2週間以内ですか。治療が遅れないように注意することはありますか。
室伏: | めまいと、耳の聞こえの感覚の症状がある場合にはメニエール病も考えられますが、めまいを伴う突発性難聴も考えられます。 2つの病気には似た点もありますが、最も大きな違いは、メニエール病はこうした発作を繰り返すのに対して、突発性難聴は繰り返しません。 いずれにしても、めまいとともに耳の聞こえの異常もあれば、すぐに耳鼻咽喉科、または、めまい外来を設けている病院を受診してください。 |
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――最後に、きょうのポイントをお願いします。
室伏: | 耳鳴り・難聴を伴うめまいがあったら、すぐに耳鼻咽喉科、または、めまい外来を設けている病院を受診してください。 |
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【放送】
2023/03/15 マイあさ! 「健康ライフ」 室伏利久さん(帝京大学 客員教授)
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