安倍元首相「国葬」警視庁は厳重警戒 岸田首相は「弔問外交」

安倍元総理大臣の「国葬」を9月27日に控え、警視庁は、都内各地の検問や警備を強化し、厳重な態勢で警戒にあたっています。27日は「最高警備本部」が設置され、およそ2万人の態勢で警備に臨む方針です。

日本武道館で行われる安倍元総理大臣の「国葬」を27日に控え、25日から海外の要人の来日が本格的に始まり、26日アメリカのハリス副大統領が来日する予定です。

警視庁は、都内にある大使館の周辺など各地で検問を行い、不審な車両がないか確認するなど、厳重な態勢で警戒にあたっています。

また、要人が宿泊するホテルや会場の日本武道館周辺に多くの警察官を配置しているほか、総理大臣官邸などの重要施設でも警察官を大幅に増やして警備にあたっています。

さらに、羽田空港や、東京駅といった主要な駅など、多くの人が集まる場所ではパトロールが強化されているほか、コインロッカーやゴミ箱を一時的に使用中止にするなどの対応が取られています。

警視庁は「国葬」が行われる27日、警視総監をトップとする「最高警備本部」を設置し、全国から派遣される警察官に加え、都内各地の警察署員などによる臨時の機動隊も編成し、およそ2万人の態勢で警備に当たります。

また、安倍元総理大臣の自宅から出発する葬儀車列には、多くの人が見送りに訪れる可能性もあるとして、沿道には多くの警察官を配置する方針で、都内は厳戒態勢となります。

成田空港では各国要人の到着が本格化

「国葬」に参列するため、成田空港では25日からIOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長など、海外からの要人の到着が本格化しています。

空港での保安検査や警備が強化されているため、空港会社は、出発時間に余裕を持って訪れるよう利用者に呼びかけています。

25日には、
▽IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長や、
▽スイスのブルカルテール元大統領、
それに
▽モンゴルのオヨーンエルデネ首相などが次々に到着し、
外務省や関係者らの出迎えを受けたあと、用意された車で空港を後にしていました。

成田空港では今月30日にかけて、搭乗の際の保安検査を強化しているほか、ターミナルビル内のコインロッカーや、一部のゴミ箱の使用を制限するなど警備も強化していて、空港会社は利用者に対して、出発時間に余裕を持って空港を訪れるよう呼びかけています。

岸田首相 「弔問外交」 “外交的遺産 受け継ぐ”

岸田総理大臣は、26日午後から「国葬」翌日の28日まで、東京・港区の迎賓館で「弔問外交」に臨み、現職の首脳らと個別に会談することにしています。

26日は、アメリカのハリス副大統領や、ベトナムのフック国家主席などと会談し、ハリス副大統領とは26日夜、夕食会も行う予定です。

また、「国葬」当日の27日は、インドのモディ首相やオーストラリアのアルバニージー首相などと、28日は、韓国のハン・ドクス(韓悳洙)首相やカンボジアのフン・セン首相などと会談することになっていて、3日間で30人余りと会談する予定です。

一連の会談を通じて、岸田総理大臣は「安倍氏の外交的遺産を受け継いで、発展させる意思を内外に発信したい」としています。

カナダ首相 「国葬」参列取りやめ 国内のハリケーン災害対応で

G7=主要7か国の現職の首脳として唯一、安倍元総理大臣の「国葬」への参列を表明していたカナダのトルドー首相は24日、ハリケーンの災害対応のため、「国葬」への参列を取りやめると発表しました。

カナダのトルドー首相は24日、記者会見し、カナダ各地でハリケーンの深刻な被害が出ていると明らかにしました。

そのうえでトルドー首相は、「日本で行われる『国葬』には参列しない。われわれ政府は、被災したカナダの人々の支援に全力を尽くす」と述べ、災害対応を優先して、27日に行われる安倍元総理大臣の「国葬」への参列を取りやめると発表しました。

トルドー首相は、G7=主要7か国の現職の首脳として唯一、「国葬」への参列を表明し、24日から28日の日程で日本を訪れる予定でした。

トルドー首相は、安倍元総理大臣が亡くなった際、「暗殺は信じられないほど衝撃的で、深く悲しんでいる。世界は先見の明のある偉大な人物を失い、カナダは親しい友人を失った」というメッセージを投稿していました。