法状態を放置できぬ」
辺野古の埋め立て承認を撤回

沖縄のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設をめぐり、沖縄県は沖縄防衛局が講じた環境保全対策に問題があるなどとして、埋め立て承認を撤回しました。これにより、埋め立て工事は止まるため、国は法的な対抗措置を取る方針です。

アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設をめぐり、沖縄県の翁長知事は先月、埋め立て承認の撤回に向けた手続きを始めることを表明しました。

そして、沖縄県は31日午後、埋め立て承認の撤回を沖縄防衛局に通知し、午後4時から県の謝花副知事らが記者会見しました。

この中で、謝花副知事は「今回の撤回は、辺野古に新基地を造らせないという翁長知事の強く熱い思いをしっかり受け止めたうえで、適正に判断した」と述べました。

そのうえで、撤回の理由について、埋め立ての承認後に沖縄防衛局が策定したサンゴやジュゴンなどのための環境保全対策に問題があるとしたほか、承認後に護岸を設置する場所で新たに軟弱地盤が見つかったことなどを挙げ、「県としては違法な状態を放置できない」と述べました。

また、31日、撤回した理由について問われると、「今月、国からの反論などを聴く聴聞の調書が県に提出されたあと、内容を十分に参酌して撤回が相当だと判断し、行政の手続きとして行った」と述べました。

一方、国は来月30日の県知事選挙後には土砂の投入を始めたい意向ですが、承認の撤回によって、埋め立て工事は止まるため法的な対抗措置を取る方針です。

小野寺防衛相「非常に残念」

小野寺防衛大臣は記者団に対し「安倍政権は埋め立て承認を受けて、自然環境や住民の生活環境にも最大限配慮し、工事を進めてきた。普天間基地の危険性除去に向けて、多くの関係者が努力を重ねてきたことを踏まえれば、今回の撤回は非常に残念だ」と述べました。そのうえで、「事業者である沖縄防衛局で処分理由の精査を行い、そのうえで、必要な法的措置を取ることになる。具体的な措置については総合的に検討し、判断することになると思う」と述べました。

立民 福山幹事長「重く受け止めるべき」

立憲民主党の福山幹事長は記者団に対し「今回の埋め立て承認の撤回は、命を削って政府と対じしてきた翁長知事の強い遺志を引き継ぐものであり、極めて重く受け止めるべきだ。安倍政権は謙虚に受け止め、翁長知事をはじめとする沖縄県民の意思に添った対応をするよう強く求めたい」と述べました。

国民 玉木共同代表「判断尊重が大切」

国民民主党の玉木共同代表は記者会見で、「まずは沖縄県の判断を尊重することが大切だ。名護市辺野古への移設を強引に進めることで、アメリカへのネガティブな県民感情を高じさせ、かえって日米安保体制を弱める結果にならないか、多様な視点でもう1度、レビューすることが必要だ」と述べました。

共産 小池「断固支持する」

共産党の小池書記局長は記者会見で、「沖縄県民の『新基地建設ノー』の民意の実現に全力を挙げた翁長知事の遺志を引き継いだもので、断固として支持する。『新基地建設』は戦後、長年にわたって苦しみ続けてきた県民にすさまじい負担を押しつけるもので、絶対に許されず、政府は直ちにすべての作業を停止すべきだ」と述べました。