山際経済再生相
「クーポン給付無理強いせず」

現金とクーポンによる18歳以下への10万円相当の給付をめぐり、山際経済再生担当大臣は「クーポンの給付を無理強いするようなことはない」と述べ、事務が間に合わない自治体は、全額現金での給付も選択できるようにしたいという意向を示しました。

18歳以下への10万円相当の給付をめぐり、政府は先に自治体に対し、全額現金での給付を許容するケースとして、来年春の新学期などに向けた支援という制度の趣旨を踏まえ、来年6月までにクーポンの給付を開始できない場合としたうえで、理由書の提出も求めるなどとした考えを示しました。

これに関連して、山際経済再生担当大臣は閣議のあとの記者会見で、自治体が全額現金で給付できる具体的なケースについて、岸田総理大臣の意向を踏まえ、柔軟な制度設計を行い、今年度の補正予算案の成立後、改めて各自治体に示したいという見解を示しました。

そのうえで「各自治体とも年度末はいそがしい時期だということも理解しているし『物理的に年度内に間に合わない』という声も聞いている。間に合わないと言っている自治体に、クーポンの給付を無理強いするようなことはない」と述べ、事務が間に合わない自治体は、全額現金での給付も選択できるようにしたいという意向を示しました。

金子総務相「自治体の意見を踏まえ検討が重要」

金子総務大臣は、閣議のあと記者団に対し「内閣官房で、地方自治体からの意見をうかがいながら具体的な運用方法を検討していると承知している。実際の業務を実施する地方自治体の意見を十分に踏まえながら、検討を進めていくことが重要だ」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「国民の感覚や自治体の反応 理解できる」

自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「クーポンでかかるコスト分をもっと支援に回すべきではないかという国民の感覚や自治体の反応もよく理解できる。それぞれの自治体で判断してもらい、政府も柔軟に対応していくべきだ。今回の議論を反省点として、政府のデジタル化をさらに加速していくことも重要だ」と述べました。

自民 福田総務会長「配慮があだになったという感じ」

自民党の福田総務会長は記者会見で「現金給付もありうるという一文が入ったことは、自治体の自由度への配慮だったはずだが、最終的に決定するのは本来は自治体であり、自由度が高まったから混乱するというのはおもしろい。一方で、国としてもスピード感を重視して配布すると言った以上は、軸はしっかり示さなければならず、配慮が逆にあだになったという感じがしている」と述べました。

公明 山口代表「現金給付も含め柔軟に実施を」

公明党の山口代表は記者団に対し「自治体の事務負担と費用の面から、全額現金での給付を求める声が増えているが、与党は、それをやってはいけないと考えているわけではない。政府には、自治体の負担を総合的に考えて、柔軟に、現金給付も含めて実施してもらいたい」と述べました。

立民 10万円相当給付 全額現金も選べること明記した法案提出

立憲民主党は「政府は『クーポンを基本とする』との原則を変えておらず、自治体の意向を尊重するとともに、税金の無駄遣いを阻止しなければならない」として、希望する自治体は、全額現金で給付する方法も自由に選べることを明記した法案を衆議院に提出しました。

立憲民主党の山井和則・衆議院議員は記者団に対し「岸田総理大臣が『現金にするか、クーポンにするかは自治体に全面的に任せる』と一言言えば、この問題は解決する。政府の決断が遅れれば遅れるだけ、自治体が被害を被る」と述べました。

神奈川 黒岩知事 “10万円相当給付 全額現金で給付を”

政府による18歳以下への10万円相当の給付について、神奈川県の黒岩知事は「これまでに聞き取った県内の自治体の中で、クーポンでの支給を求めているところはない」と述べ、国に全額を現金で支給するよう求めていく考えを明らかにしました。

政府による18歳以下への10万円相当の給付をめぐっては現金とクーポンにわけず、全額、現金で給付したい考えを示す自治体が出ています。

こうした中、10日午前、黒岩知事は記者団の取材に応じ「県内の自治体から現金支給にしてほしいという声が多くでている。クーポンで支給するために膨大な経費と労力をかけるのはむだではないか」と述べ、国に対して、無条件で全額現金での支給を認めるよう求めていく考えを明らかにしました。

神奈川県によりますと県内33の市町村に意見を聞いたところ、10日までに回答があった16の市と町は、すべて現金での支給を希望しているということです。

黒岩知事は「本来なら10万円を一括で現金支給するのがよいと思うが、間に合わないのであれば、5万円ずつでも現金で支給するのがいちばんよい」と話していました。