い雨」浴びた住民を
被爆者と認める判決 地裁

広島に原爆が投下された直後に、放射性物質を含む、いわゆる「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたとして住民たちが訴えた裁判で、広島地方裁判所は広島市などに対し、原告全員を法律で定める被爆者と認め、被爆者健康手帳を交付するよう命じました。75年前の「黒い雨」をめぐる裁判で、被爆者と認める判決は初めてです。

現在の広島市佐伯区や安芸太田町などに住む75歳から96歳までの住民やその遺族、合わせて84人は、原爆が投下された直後に降ったいわゆる「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたとして、5年前(平成27年)、広島市や県に対し、法律で定める被爆者と認めて被爆者健康手帳を交付するよう訴えました。

これまでの裁判で、広島市と県は「健康被害が合理的に認められるほど被爆したと言える具体的な根拠はない」と主張しました。

29日の判決で、広島地方裁判所の高島義行裁判長は「住民たちが黒い雨を浴びたという陳述内容に不合理な点はなく、住民たちの診断書などから原爆の影響との関連が想定される病気にかかっていて法律に定める被爆者の要件が認められる」として、原告全員を被爆者と認め、被爆者健康手帳を交付するよう命じました。

75年前の「黒い雨」をめぐる裁判で、被爆者と認める判決は初めてです。

「黒い雨」が降った地域の一部では、被爆者に準じる援護を受けられる制度がありますが、今回の原告はその対象からも外れていました。

原告や支援者から拍手と歓声

広島地方裁判所の前には原告や支援者などが集まり、判決が言い渡されたあと、原告団の弁護士が「全面勝訴」と書いた紙を掲げると、集まった人から拍手と歓声があがりました。

そして「よかった」などと声を上げて、喜びの表情を見せました。