10万円給付など経済対策
補正予算案 衆参で代表質問

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、現金10万円の一律給付などの経済対策を盛り込んだ補正予算案が審議入りし、衆参両院の本会議で、各党の代表質問が行われました。

衆議院での質疑

立憲民主党などの会派の馬淵元国土交通大臣は、来月6日までの緊急事態宣言について「延長はあるのか。延長がある場合、期間はどの程度が想定されるのか。その判断はいつまでに行うのか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「早期に収束させるために、いまが非常に重要な時期だ。この週末、海辺など行楽地への移動は相当程度減少している。宣言の解除は専門家の提言をいただきながら判断していきたい。8割の接触機会の低減を実現するべく、取り組みを徹底していきたい」と述べました。

そのうえで、「すべての責任は総理大臣の私にある。その大きな責任を先頭に立って果たしていく決意に変わりはない」と述べ、国民の不安の解消に全力を挙げる考えを示しました。

自民党の金田幹事長代理は、「補正予算案には治療薬・ワクチンの確保や研究開発に650億円を超える額が計上されている。1日も早く成立させなければならない」と訴えました。

これに対し、安倍総理大臣は「治療薬・ワクチンの研究開発は日本中、世界中の企業や研究者の英知を結集して開発を進めている。日本が開発したアビガンは、2000例以上の投与が行われ、希望する患者の使用をできるかぎり拡大し、可能なかぎり早期の薬事承認を目指すべく努力している。また日米が中心となり、国際共同治験を実施してきたレムデシビルも、まもなく薬事承認が可能になる見込みだ」と述べました。

公明党の北側副代表は、現金10万円の一律給付について「判断は高く評価する。いかに迅速に給付できるかが重要で、事業主体の市町村に必要な支援を行う必要がある」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「早い自治体では5月中のできるだけ早い時期を目標に開始してもらえるよう準備を進めている。市区町村の準備を支援し、国民への分かりやすい周知に努める」と述べました。

また、安倍総理大臣は、民間の金融機関による実質無利子・無担保の融資の受け付けを早ければ来月1日にも開始するほか、売り上げが減少した中小企業などに最大200万円を支給する「持続化給付金」も、早ければ来月8日に給付を開始したいという考えを示しました。

日本維新の会の馬場幹事長は、「優先すべきは、いま危機に直面している人を救うことだ。ちゅうちょせずに第2次補正予算案を視野に財政や税制の追加策を大胆に決断することが不可欠だ」と主張しました。

これに対し、安倍総理大臣は「まずは補正予算案の早期成立を図り、対策を速やかに実行に移す。経済や国民生活への影響を注意深く見極め、必要に応じて時期を逸することなく、臨機応変かつ果断に対応する」と述べました。

参議院での質疑

立憲民主党の難波奨二氏は、「経済活動はひん死の状態にあるとも言える。家賃の未払いで廃業や立ち退きに至れば、終息後の経済の立て直しは見込めない。賃料の支払い猶予の法制化を急ぐべきだ」と求めました。

これに対し、安倍総理大臣は「ビル賃貸事業者に、賃料の支払猶予などの検討を要請しており、事業収入が大幅に減少した場合には、固定資産税の減免などの支援策を講じる。テナントとなる中小・小規模事業者には、地代や家賃などの平均を参考に最大200万円を給付し、支援していく」と述べました。

また、安倍総理大臣は、現金10万円の一律給付について、住所が定まっておらず、住民基本台帳にも記載されていない人たちや、住所を登録できていないDV=ドメスティック・バイオレンスの被害者なども受け取れるようにする考えを示しました。

共産党の田村政策委員長は、感染者を受け入れる医療機関への支援について、「献身的に奮闘する医療機関にせめて必要な経費は全額もつ、赤字の心配なく頑張ってくれと言うべきだ」と主張しました。

これに対し、安倍総理大臣は「経営に影響が出ている医療機関への支援も重要だ。常に感染リスクに向き合う医療従事者の処遇改善のため、重症者の治療への診療報酬を倍増し、経営が厳しい医療法人や個人診療所は『持続化給付金』の対象とした」と述べました。

国民民主党の増子輝彦氏は、「就職内定を取り消されたり、いまだに会社に行けない新卒者もいる。アルバイトができなくなった学生たちが学費の納入に苦しんでおり、支援が必要だ」と求めました。

これに対し、安倍総理大臣は「雇用調整助成金に特例を設け、新入社員も対象としたほか、内定取り消しを受けた人などには、ハローワークで新たな就職先を確保するなど就職支援に取り組む。また、今月開始した高等教育の就学支援新制度で、感染拡大などの影響を受けた家計の急変を加味して支援を行う」と述べました。

補正予算案は、28日から、衆議院予算委員会で審議が始まり、あさっての祝日も審議が行われ、30日に成立する見通しです。