院予算委で論戦「改憲」
「トウモロコシ」「消費税」

衆議院予算委員会は2日目の11日、野党側の質疑が行われ、憲法改正論議などをめぐって論戦が行われました。

立憲民主党の川内博史氏はアメリカ産のトウモロコシを日本が追加で輸入することについて「トランプ大統領に対し、安倍総理大臣は『民間に買わせる』と言ったのではないか」と追及しました。

これに対し安倍総理大臣は「8月の日米首脳会談で、私からトランプ大統領に対し『トウモロコシなどの害虫の被害対策の一環として、海外のトウモロコシの前倒し購入を含む代替飼料の確保対策を実施する。民間企業が購入するものだが、この対策でアメリカのトウモロコシが前倒しで購入されることを期待している』と説明したが、約束や合意をしたという事実はない」と重ねて強調しました。

一方で、江藤農林水産大臣は、民間企業が購入を前倒しする際に保管にかかる費用などを国が補助する事業について、「現時点では申請はあがってきていないが、各メーカーで検討は進んでいて、一番シェアがある会社は、今月中にも輸入業者との相談を始めると言っている」と述べました。

また、立憲民主党の辻元幹事長代行は憲法改正論議に関連して「安倍総理大臣は『国会の審査会で憲法改正の議論をして国民に責任を果たそう』とか言うが、審査会などでの発言は19年間でたった1回だ。憲法に興味はなかったのではないか」と指摘しました。

これに対し安倍総理大臣は「私は若い頃からいろいろな場で発言している。憲法調査会や憲法審査会の委員は党が決めるが、そうした場での発言がたまたま少なかったからといって、私が興味がなかったと決めつけるのはやめていただきたい」と反論しました。

国民民主党の前原・元外務大臣は憲法改正をめぐって「安倍総理大臣が本当に憲法改正に熱心なのか疑っている。どんどん言っていることが変わっていて、政治生命を賭けるというよりは憲法改正という外形的なものをやりたいということなのか。何がやりたいのか」と追及しました。

これに対し安倍総理大臣は「政治の場では政治的な状況を判断して何が可能かを考えなければならず、ある程度臨機応変にやっていきたい。私の考え方の基本が9条の改正にあることはご承知のとおりだが、意向どおりになるわけでもない。私が意欲を示すことはかえってマイナスだという党の人たちもいて、若干不愉快だがそれも一理あると思わざるをえない」と述べました。

共産党の宮本徹氏は消費税率の引き上げについて「消費不況から抜け出すためには消費税の連続増税を元に戻すしかない。税率を5%に引き下げるべきだ」と求めました。

これに対し安倍総理大臣は「消費税は国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点で社会保障の財源と位置づけており、今回実施した幼児教育・保育の無償化など社会保障や子育てへの支援には消費税がふさわしいという点は理解してもらいたい」と述べました。

日本維新の会の馬場幹事長は福島第一原子力発電所にたまり続けている放射性物質のトリチウムなどを含む水の処分について「風評被害の払拭(ふっしょく)に力を入れ、処理水の問題の早期決着を図ってもらいたい」と求めました。

これに対し菅原経済産業大臣は「浄化後は他の原発から放出されている処理水と科学的に同じだとしても、事故を起こした福島の原子力発電所で発生した処理水だということで不安を感じる方もいる。地元の皆さんや各地の声を真摯(しんし)に受け止め、向き合いながら、丁寧に扱いを議論して結果を得たい」と述べました。

一方、韓国側が破棄を決定した日韓の軍事情報包括保護協定=「GSOMIA」について安倍総理大臣は「政府としては日韓、日米韓の適切な連携の観点から韓国側に賢明な対応を強く求めていて、アメリカもそういう意向だ。日韓の間ではさまざまな出来事が起こるが安全保障については利害が一致している」と述べました。