マゾン森林火災 収束の
めど立たず 軍派遣の延長も

南米の熱帯雨林アマゾンでは森林火災が記録的なペースで発生していてブラジルでは軍など7000人を派遣して消火にあたっていますが、収束のめどはたっていません。ブラジル政府は、当初、1か月間としていた軍による消火活動の期間をさらに伸ばす方向で検討しています。

ブラジルには世界最大の熱帯雨林アマゾンの3分の2以上が広がっています。ブラジルの宇宙研究所によりますと、ことし1月から今月16日までの森林火災の発生件数はおよそ10万件と去年の同じ時期と比べて1.5倍になっています。

こうした状況を受けてブラジルのボルソナロ大統領は先月24日から1か月限定で、アマゾンに陸軍や海軍、空軍など7000人を投入し、大規模な消火活動や取締りを行っています。

その結果、今月13日までに、500か所の大規模な森林火災を消火したほか、飛行機などを使い、違法な焼き畑や森林の伐採を行っていた10のグループを摘発し、移動に使っていた6機の飛行機や400台近くの車を押収しました。

森林火災が発生するペースは大規模な軍の導入後、落ちてきていますが、畜産業者などが、違法に森に火をつける動きは続いていて、いまだ収束のめどは立っておらずブラジル政府では、当初、1か月間としていた軍による消火活動の期間をさらに伸ばす方向で検討しています。

軍責任者「すべての消火難しい」

ブラジル軍ブラジル緑化プロジェクトの責任者のイバン・ルーカス氏は「アマゾンの乾期のこの時期に、自分たちの牧草地を増やそうと特定の農家が違法に火をつけているのが、森林火災が拡大している原因とみられる。軍では消火活動を行うとともに、こうした違法な畜産業者を徹底的に摘発し、森林火災は抑制の方向にある。ただ、アマゾンは広大で、すべての火災を食い止めることは難しい」と話しています。

森林火災の原因とされる農家は

一方で、ブラジルの森林火災の原因と批判されている畜産農家の1人で、軍が消火活動の拠点を置くブラジルポルトベーリョで暮らす、マルシオ・バルボーサさんは、「ブラジル政府は国際社会の圧力を受けて違法な焼き畑農業を、厳しく取り締まるようになったので焼き畑ができず、牧草地や畑を広げられないためどんどん生活は苦しくなっている。フランスのマクロン大統領をはじめ、国際社会は森を焼くのをやめろ、火を止めろと言うが、開拓するにも森林火災を消すにもお金がかかる。森林火災を防ぎたいなら、先進国はそれなりの対価を支払うべきだ」と話していました。