肉供給に不安生じる
なら大変 やれることやる」

埼玉県の養豚場で飼育しているブタが関東地方で初めて豚コレラに感染していたことが13日に確認されたことについて、江藤農林水産大臣は生産者の不安が高まっているとして豚コレラの感染拡大を防ぐための対策を早急に検討する考えを示しました。

豚コレラは去年9月、国内では26年ぶりに岐阜県で感染が確認されたあと東海地方を中心に感染が相次ぎ、これまでに13万頭あまりのブタが殺処分されました。

今回、埼玉県で確認されたことで、ブタの飼育頭数が多い北関東に広がることが懸念されています。

これについて江藤農林水産大臣は14日、訪問先の千葉県で記者団に対し「生産者の不安な気持ちが増している。消費者への安定的な豚肉の供給に不安が生じる事態になれば大変なことだ」と述べ、感染の広がりに危機感を示しました。

そのうえで「今の段階で飼育しているブタへのワクチン接種の是非について明言することは避けるが、やれることをしたい」と述べ、豚コレラの感染拡大を防ぐための対策を早急に検討する考えを示しました。

“養豚盛んな関東に…” 緊急会議

ブタの伝染病、豚コレラの発生が13日に関東地方で初めて埼玉県で確認されたのを受けて、農林水産省は緊急の対策会議を開き、感染経路の解明を進めるとともに養豚場に感染を広げる野生のイノシシの侵入を防ぐ柵の設置を強く求めることなどを確認しました。

豚コレラは去年9月、岐阜県の養豚場で国内で26年ぶりに発生が確認されたあとに感染が拡大し、埼玉県の養豚場や長野県の畜産試験場でも確認され、ブタの飼育頭数が多い北関東に広がることが懸念されています。

農林水産省は、感染が8つの府県に広がり封じ込められていないことから、14日夜に緊急の対策会議を開きました。

会議では豚コレラが発生した埼玉県の養豚場に調査チームを派遣して感染経路を解明することや、関東地方の養豚関係者に対して柵の設置など衛生管理の徹底を強く求めることを確認しました。

また、感染を防ぐブタへのワクチン接種についても効果や流通への影響を検証し、接種を進めるかどうか速やかに方針を決めるとしています。

農林水産省動物衛生課の熊谷法夫課長は「養豚が盛んな関東地方に入ったことを重く受け止めている。封じ込めに全力を尽くしたい」と話しています。

豚コレラ 約800頭処分完了

13日、関東地方で初めて埼玉県秩父市の養豚場で豚コレラの感染が確認されたことを受けて、県は養豚場で飼育されているおよそ800頭のブタの処分を行いました。

13日に埼玉県秩父市の養豚場で飼育しているブタが豚コレラに感染していたことが確認されたことを受けて、県は13日夜からこの養豚場で飼育しているすべてのブタおよそ800頭の処分を始めました。

14日、およそ150人の作業員が出て養豚場で作業を進めた結果、15日午前0時半ごろに処分が終わったということです。

県はこのあと感染の拡大を防ぐため、処分したブタを埋めて施設の消毒などを行うことにしていて、防疫の作業がすべて終わるのは16日になる見通しだということです。

また県は来月中旬まで、この養豚場から半径10キロ以内にある2か所の養豚場に出入りする車の消毒を行うほか、ブタが死ぬなど異常がある場合は立ち入り検査を行うことにしています。

今回豚コレラが関東で初めて確認されたことで飼育頭数が多い北関東に広がることが懸念されていますが、埼玉県内では感染源とされる野生のイノシシが豚コレラに感染していたケースは確認されていないことから、国や県で感染経路の特定を急いでいます。