府の解釈色々あったが
明確にNOの民意だ」

沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画に伴う名護市辺野古沖の埋め立てへの賛否を問う県民投票は「反対」が有効投票の70%を超えました。また、有権者数の4分の1を超えていて、条例の規定により、玉城知事は総理大臣とアメリカの大統領に結果を通知することになりました。これを受け、25日もさまざまな反応がありました。

玉城知事 県職員をねぎらう

玉城知事は、25日朝8時20分ごろ県庁に登庁した際、記者団に対し「きのう話したとおりだ」とだけ述べました。その際、親指を立てるジェスチャーをし、県民投票で望んでいた結果が得られたことをアピールしていました。

そして玉城知事は午前9時から定例の庁内放送を行い、「投票率も5割を超え、職員の皆様にはおひとりおひとりに広報マンとして広報活動を行っていただき、大変お疲れ様でした。皆さんのおかげで多くの県民に貴重な1票を投じていただきました。県民の皆さんは自分で考えて判断し、思いを投じたと言えるでしょう。改めて、職員、県民の皆さんに心からの敬意と感謝を申し上げたいと思う」と述べました。

県議会で「民意受け止め移設計画見直しを」

沖縄県の玉城知事は25日の県議会で、県民投票でアメリカ軍普天間基地の移設に伴う辺野古沖の埋め立てに反対する民意が示されたとして、政府に対し移設計画を見直すよう強く求めていく考えを示しました。

25日に開かれた県議会の一般質問で、自民党の山川典二議員は「平成8年の県民投票では、アメリカ軍基地の整理縮小に有権者の過半数が賛成したが、今回の県民投票で『反対』に投票した人は38%程度となっている」と指摘しました。

これに対し玉城知事は「数字のとらえかたはいろいろとあると思うが、私たちは民意は反映されていると受け止めている」と述べました。そのうえで、玉城知事は「政府は県民の断固たる民意を真正面から受け止め、『辺野古が唯一』というこれまでの方針を直ちに見直し工事を中止するとともに、普天間飛行場の1日も早い閉鎖・返還という根本的な問題の解決に向け、対話に改めて応じていただくよう強く求めたい」と述べました。

また、玉城知事は普天間基地については早期に国外への移転計画を進めていくべきだという認識を示しました。

富川副知事「明確にノーの民意示された」

沖縄県の富川副知事は、25日朝8時すぎに県庁に登庁した際、記者団に対し、「民意についてこれまで政府の解釈がいろいろとあったが、今回、かなりの保守層が反対に回ったということもあり、辺野古移設に関しては明確にノーという民意が示されたと理解している」と述べました。

首相 衆院予算委「普天間 先送り許されない」

安倍総理大臣は、衆議院予算委員会で「沖縄にアメリカ軍基地が集中する現状は決して是認できるものではなく沖縄の基地負担の軽減は政府の大きな責任だ。今回の県民投票の結果を真摯(しんし)に受け止め、今後も基地負担の軽減に全力を尽くしていきたい」と述べました。

そのうえで「普天間の全面返還は日米で合意してからすでに20年を超え、今もなお返還が実現しておらず、もはや先送りは許されない。長年にわたる地元との対話の積み重ねの上にこれからも理解を得る努力を続け、普天間飛行場の1日も早い全面返還の実現に向けて全力で取り組んでいく考えだ」と述べました。

宜野湾市長「普天間の負担軽減という原点見えず」

普天間基地を抱える宜野湾市の松川市長は記者団に対し、「県民投票によって市民が二分されてしまったような感じがして市長としては残念だ。ただ、『反対』票が去年の県知事選挙の玉城知事の票を上回ったことは重く受け止め結果を分析をしたい」と述べました。

その一方で、松川市長は「今回は、辺野古の埋め立てだけがクローズアップされていて、宜野湾市としては普天間飛行場の負担軽減という原点が全く見えなかった。玉城知事は、これまで宜野湾市の視察に一度も来ておらず、市民を置き去りにしていると感じている。今後の知事の動きを注視したい」と述べました。

名護市長「行かなかった人の民意もある」

名護市の渡具知市長は記者団に対し、「移設に反対する民意が大きいというのは以前から変わらず、そのことが今回改めて示されたのだと思う。一方、賛成やどちらでもないに投票した人、または投票に行かなかった人の民意というのもある。移設問題に対する今後の対応については県と国の今後の推移を見守る」と述べました。

「民意は示された」辺野古ゲート前で抗議活動

埋め立て予定地に隣接するアメリカ軍基地、キャンプシュワブのゲート前では「民意は示された」などと書かれたプラカードを持った人たちが、抗議活動をしていました。

このうち、名護市の60代の男性は「今回の県民投票は、沖縄の民意を示したもので、県民の投げたボールを本土の人たちがどうとらえるかが重要だと思う。私たちは答えを出したので、今度は、東京やワシントンが埋め立てをやめるということを決める番だ」と話していました。

また、那覇市から来た60代の女性は「『反対』の票が4分の1をはるかに超え、43万票もあったので、うれしかったです。この民意を受け止めてほしいし、それができなくては民主主義国家として疑わしいと思う。工事が止まるまでは、何があっても反対の意思を示し続けていきます」と話していました。

那覇市民の声

那覇市の市民からは「よい結果になった」という声があがった一方、「投票率が低かったのが残念だ」などという声が聞かれました。

70歳の女性は「投票率が思ったより低かったのが少し残念でしたが、若い人たちが県民投票に向けて盛り上げていたのはよかったと思います。沖縄の民意が改めて示された結果だったと思うので、政府も埋め立て工事を強行しづらくなると思います。引き続き、政府に屈せず声を上げ続けていきたい」と話していました。

56歳の女性は「反対が多数を占める結果になってよかったです。一方で、政府が何を考えているのかわからないので、県民投票の結果を政府がきちんと受け止めてくれるのか不安です」と話していました。

69歳の男性は「県民投票の結果は当然の結果だ。沖縄に基地はいらない。玉城知事にはこれからも頑張ってもらって、辺野古の工事を早く止めてほしい」と話していました。

名護市民の声

名護市の市民からは、さまざまな声が聞かれました。

65歳の男性は「基地があるがゆえの事件や事故もたくさん起きているので、もう沖縄に基地はいらない。これだけの民意が示されたので、国は結果を認めて一刻も早く計画を廃止してほしい」と話していました。

75歳の男性は「一部賛成した人の気持ちも分かるが、こっちが嫌だから隣に移設しろというのではなく、基地自体をなくす方法をもう少し考えてほしいです」と話していました。

41歳の女性は「ふだんからあまり口にしないが、みんなが心の中に思っていたことが表れたので、やっぱり、これが真実なのかなと思います。税金のむだ使いだといって投票自体に反対した人もいたので、むだにならないよう県はきちんと日米両政府に意見を通してほしいです」と話していました。

30歳の男性は「投票しませんでした。反対してもどうせ基地はできると思っているので、早くつくってくれればいいと思っています」と話していました。

宜野湾市民の声

普天間基地を抱える宜野湾市民からはさまざまな声が聞かれました。

75歳の男性は「県知事選挙に続き、県民投票でも沖縄の民意を示すことができた。知事には県民の意思をしっかりと政府とアメリカに伝えてほしい」と話していました。

また46歳の男性は「県民投票で民意が示されと思う一方で、日本政府は工事を止めようとする気がなく、このまま何も変わらずに辺野古に移設してしまうのではないかと不安だ」と話していました。

基地のすぐ近くに住むという80歳の女性は「基地はつくってほしくないが、長い間、騒音被害に苦しめられている経験もあるので、今回の県民投票の結果によって普天間基地の返還がさらに長引かないか心配です」と話していました。

在日米軍「地域と良好な関係維持できるよう努める」

県民投票の結果について、在日アメリカ軍司令部は25日、NHKの取材に対して「県民投票は日本国内の政治問題であり、在日アメリカ軍としてコメントすることは適切ではない」としたうえで、「普天間基地の辺野古への移設は日米両政府の合意事項で、日本の防衛と地域の安全のために必要な能力を維持しながら普天間基地の閉鎖を可能にする計画だ」と強調しました。

その一方で、「われわれは沖縄の地域社会と良好な関係を維持できるよう努める。条約で定められた義務を果たすために必要な軍の即応性の維持と地元の不安解消を両立できるよう日々、全力を尽くしていく」としています。

経団連会長「残念ながらほかに案はない」

経団連の中西会長は25日、定例の記者会見で「反対という気持ちが強いことは数字になるとはっきりするが、残念ながらほかに案はないと思う。政府はもう一度、地元に説明し、ご理解いただく形で推進するしかないのではないか」と述べました。