「具体的内容を検討
首相 消費増税対策の商品券

参議院本会議の代表質問で、安倍総理大臣は、消費税率の引き上げに伴う低所得者対策として、税率を引き上げてから一定期間使用できる商品券の発行を具体的に検討していく考えを示しました。

この中で公明党の山口代表は、消費増税に伴う景気対策について「政府ではポイント還元といった新たな手法による支援など、さまざまな検討がなされているが、混乱が起こらないよう丁寧な制度設計を求める。所得の低い人を中心に支援を検討する必要があり、例えば税率引き上げから一定期間使用できる『プレミアム付き商品券』などを検討してはどうか」と質問しました。

これに対し安倍総理大臣は、「ポイント還元は現在、詳細を検討中だが、端末の導入の支援や手数料の引き下げに向けた取り組みなどにより、中小・小規模事業者が利用しやすい環境を整え、現場に混乱が生じないよう取り組む考えだ。所得の低い方を中心に支援措置を検討する必要があるという指摘は、その趣旨を十分に踏まえ具体的内容を検討していく」と述べました。

外国人材受け入れ拡大法案

国民民主党の大塚代表代行は、外国人材の受け入れ拡大に向けた法律の改正案をめぐって、「移民政策とも言われており、国民の意見を十分に聞いたうえで慎重に検討すべき課題だ。『移民政策ではない』と強調するのはなぜなのか。『移民』はよくないと認識しているのか」と質問しました。

これに対し安倍総理大臣は、「政府としては、いわゆる移民政策を取ることは考えていない。例えば、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人やその家族を期限を設けることなく受け入れることによって、国家を維持していこうとする政策を取ることは考えておらず、今回の制度改正は、この方針に沿ったものだ」と述べました。

また、安倍総理大臣は、外国人材の受け入れを拡大した際の社会保障制度について、「医療保険や年金は、外国人労働者にもすでに日本人労働者とひとしく適用されており、今回の新たな外国人材の受け入れに伴い制度を見直すことは考えていない」と述べました。

地方創生

さらに、安倍総理大臣は、地方創生について「今後、さらにUIJターンにより、地方で起業、就職する若者を支援する新しい制度を来年度からスタートさせる予定だ。地方でこそチャンスがあると若者たちが考え、飛び込んでいくことができる、みずからの未来を託すことができる地方を作り上げることで、まさに『人が生きる地方創生』を実現していく」と述べました。

原発政策

参議院本会議では午後も代表質問が行われ、共産党の山下副委員長は原発政策について、「電力の安定供給のためには、大規模集中発電から分散型への転換が必要だというのが、北海道大停電の重大な教訓だ。原発が電力の安定供給のリスクとなり、再生可能エネルギー普及のブレーキになっている点からも原発頼みのエネルギー政策を根本から転換すべきだ」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「経済的なコストに加え、気候変動問題への対応やエネルギーの海外依存度を考えれば、『原発ゼロ』は責任あるエネルギー政策とは言えない。さまざまな電源によるベストミックスを追求する中で、再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能なかぎり低減するのが安倍内閣の一貫した方針だ」と述べました。

消費税率引き上げ

日本維新の会の片山共同代表は消費税率10%への引き上げに関連して、「軽減税率の導入には1兆円の財源が必要で、4000億円は措置できたとのことだが、あとの6000億円はどうなるのか。また、国民のさらなる懸念は消費税率が10%の先にどれだけ上がるかだ」と質問しました。

これに対し、安倍総理大臣は「軽減税率制度の財源として、確保した以外に必要となる0.6兆円程度は、年末に向けて、歳入・歳出の両面から対応を検討していく。また、消費税率は来年10月1日に10%に引き上げる予定で、その後のことは検討していない」と述べました。

「生産性がない」発言

立憲民主党の牧山ひろえ氏は、自民党議員がLGBTと呼ばれる性的マイノリティーの人たちを「『生産性』がない」などと指摘し、その後、差別の意図はなかったと釈明したことについて、「基本的人権や自己決定権を否定する思想で見過ごせない。国会議員の資質が問われる話ではないか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「不当な差別や偏見はあってはならない。内閣、与党、野党を問わず、国民から選ばれた一人一人の政治家は、関係者を傷つけることのないよう、細心の注意を払わなければならない」と述べました。

ダンパーの検査データ改ざん

自民党の石井参議院筆頭副幹事長は、免震・制振ダンパーの検査データ改ざん問題をめぐり、「二度と起きないようにどのような対策を講じ、技術への信頼性を高め、質の高いインフラの展開をすべきと考えるか」と質問しました。

これに対し、安倍総理大臣は「大変遺憾で、再発防止を徹底し、1日も早い信頼回復に向けた取り組みをしっかりと進めることが重要だ。今後も、わが国の技術への信頼を高めるための不断の取り組みを進め、質の高いインフラの海外展開を推進していく」と述べました。

片山氏めぐる報道

国民民主党の石上俊雄氏は、一部週刊誌が片山地方創生担当大臣が国税当局への口利きの見返りに会社経営者から100万円を受け取ったなどと報じたことについて、「まず、みずからの疑惑について、納得できる説明責任を果たすことを求める。それができなければ、大臣の職を担うことはできない」とただしました。

これに対し、片山大臣は「お騒がせして大変申し訳なく思っているが、記事にあるようなことはしておらず、提訴した。今後、記事が事実でないことを司法の場を通じて明らかにし、説明責任を果たしていきたい」と述べました。