静岡県 川勝平太知事 陸上自衛隊に災害派遣要請 断水や孤立

静岡県の川勝平太知事は記録的な大雨によって大規模な断水や集落の孤立状態が続いていることなどから、陸上自衛隊に災害派遣を要請しました。

静岡県によりますと、今回の記録的な大雨で、静岡市清水区で断水が続いているほか、静岡市や川根本町などの集落が道路に土砂が流れ込むなどして孤立状態となっています。

このため、静岡県の川勝知事は9月26日、御殿場市の「板妻駐屯地」に駐屯する陸上自衛隊第1師団第34普通科連隊に災害派遣を要請しました。

静岡市清水区の大規模な断水の原因となっている「興津川」の取水口を塞ぐ流木などの撤去や、生活用水の確保に向けた給水車の派遣、それに集落の孤立状態の解消に向けた道路の土砂の撤去、などを要請しています。

6万世帯超断水の静岡 清水区 3万世帯余に工業用水などで供給へ

静岡市清水区では台風15号の影響で、主な水源である興津川の取水口が、流木で塞がれるなどの被害が出て、およそ6万3000世帯で断水が続いています。

こうした中、静岡市は、27日から県の工業用水や井戸水、それに、取水口に流れ始めた水を使って、断水している世帯のおよそ半数にあたる3万1000世帯で、トイレや掃除などに使える生活用水を供給する作業を行うと発表しました。

具体的には、JR東海道線と東名高速道路の間にある「巴川ブロック」の2万7000世帯と、その東側から興津川までの「興津ブロック」の4000世帯に供給する方針です。

その後、28日は3600世帯、29日は2万1400世帯、30日は3000世帯と順次、ほかの地域にも供給範囲を広げていく予定だということです。

いずれの地域でも、飲み水に使えるのは、生活用水の供給開始から2日後を見込んでいて、市では「蛇口から水が出るようになっても最低限の量の使用にとどめ、検査で安全が確認されるまでは飲まないでほしい」と呼びかけています。

静岡 清水区で給水所設置 浸水被害4000棟余確認

静岡県内では浸水被害が4000棟余り確認されていて、各地で建物の泥を洗い流すなどの作業が進められています。静岡市清水区では大規模な断水が続いていて、市と海上保安部などが臨時の給水所を設けて対応しています。

静岡県のまとめによりますと、静岡県内各地で浸水の被害が相次ぎ、26日正午の時点で、合わせて14の市と町で、床上浸水が1646棟、床下浸水が2674棟の、合わせて4320棟に上っています。

静岡市によりますと取水口に流木が詰まった影響などで静岡市清水区の8割にあたる、およそ6万3000世帯で断水が起きていて、浸水の被害を受けた地域の復旧にも影響が出ています。

清水区高橋の秋山博野さん(64)の住宅では床上およそ1メートルの高さまで水につかり、26日は床板を剥がして自宅の中を乾燥させる作業を行っていました。
しかし、断水の影響で自宅の水道の水が少しずつしか出ないため、給水所からポリタンクで積んできた水を使って家の中の泥を洗っているということです。

秋山さんは「自宅にいて水が上がってきたときにはもうだめかと思った。水はすぐに引いたが、水道がうまく使えないのでいまは家を洗う作業が進まず困っている」と話していました。

清水区内には29か所に臨時の給水所が設けられていて、清水海上保安部では、清水区日の出町の巴川の河口に巡視船が停泊し、その船内からホースを伸ばして車で訪れた人向けに給水を行っていました。

清水区の46歳の女性は「涙が出るくらい助かっています。ほかの給水所は車で入りづらいところもあり、ありがたいです」と話していました。

静岡 田辺市長 “土曜日以降の段階的な復旧目指す方針”

静岡市の田辺市長は26日の会見で、27日以降に重機を投入して取水口の流木などを撤去し、土曜日以降の段階的な復旧を目指すという方針を示しました。

この中で、静岡市の田辺市長は24日昼前から続く断水について「大変不便な生活を強いられている住民がいることに非常に心苦しく思っている」と述べました。

復旧の見通しについては「急いでいるが川の水量が下がらず重機を入れられていない。機械での作業が可能になれば最短4日で生活用水の供給が可能になるので1日でも早く対応したい」と述べたうえで、27日以降に重機を投入して取水口の流木などを撤去し、土曜日以降の段階的な復旧を目指すという方針を示しました。

また、これまでの対策が十分だったか問われると、田辺市長は「目標を持って強じん化と治水対策を進めてきたが、想定を上回る雨が集中的に降った」と述べました。