「森友」文書改ざん 赤木さん妻などが佐川元理財局長らを告発

財務省の決裁文書の改ざんに関与させられ自殺した、近畿財務局の男性職員の妻などが、元理財局長ら当時の幹部3人を虚偽公文書作成などの疑いで、東京地検特捜部に告発状を提出しました。森友学園との交渉記録についての情報公開請求に対し、実際には文書が存在することを認識していたのに、「保有が確認できなかった」とする決定書を作成した疑いがあると主張しています。

森友学園をめぐる問題で決裁文書の改ざんに関与させられ自殺した、近畿財務局の職員、赤木俊夫さん(当時54)の妻の雅子さんなど4人は、16日午後、財務省の佐川宣寿元理財局長と元幹部2人の告発状を、東京地検特捜部に提出しました。

告発状によりますと、佐川元局長らは、5年前、森友学園との国有地取り引きに関する交渉記録の情報公開請求で、文書が存在していることを認識していたのに、「保有が確認できなかった」とうその理由を書いた決定書を作成したなどとして、虚偽公文書作成などの疑いがあるとしています。

財務省は「捜査機関の活動内容に関わることであり、コメントは差し控えたい」としています。

森友学園をめぐる決裁文書の改ざんや交渉記録の廃棄、国有地の値引き売却の問題では、これまでにも佐川元局長ら財務省の職員が公文書変造や背任などの疑いで刑事告発されましたが、全員不起訴となっています。

赤木雅子さん「佐川さんに本当のこと話してほしいという一心」

記者会見した赤木雅子さんは「夫がなぜ亡くなったのか、とにかく佐川さんに本当のことを話してほしいという一心です。真実にいちばん近づけるところにいたいと、告発人に加わりました。東京地検特捜部にはしっかりと捜査してほしい」と話していました。

森友学園問題 刑事告発の経緯

森友学園をめぐる決裁文書の改ざんや交渉記録の廃棄、それに国有地の値引き売却の問題では、佐川元理財局長や財務省の職員らが公文書変造や背任などの疑いで刑事告発されましたが、3年前に大阪地検特捜部が全員を不起訴にしました。

特捜部は、刑事責任を問うのは困難だとした理由として、公文書の改ざんについては「文書の証明力が変わったとはいえず、変造と認めるのは困難だ」などとし、国有地の値引きについては「ごみの撤去費用の積算が不適正と認定するのは困難だった」としました。

これにより一連の問題は、財務省の誰も刑事責任を問われることなく捜査が終結しています。

今回、佐川元理財局長らが新たに刑事告発されたのは、5年前に複数の人が行った森友学園との国有地取り引きに関する交渉記録の情報公開請求に対し、国が「文書の保有が確認できなかった」という理由で開示しなかった対応についてです。

この対応のあと、佐川元理財局長の国会答弁に合わせて意図的に廃棄されたことや、職員が保管するなどして残っていた文書もあることが明らかになり、告発では、佐川氏らが実際には文書が存在していることを認識していたにもかかわらず、存在しないものとして扱い、うその回答の公文書を作成した疑いがあるなどと主張しています。