国葬 反対の鎌田慧氏らグループが集会「内心の自由に踏み込む」

安倍元総理大臣の国葬をめぐって、国会の閉会中審査が行われた9月8日、国葬に反対する市民グループが総理大臣官邸前で集会を開き「内心の自由に踏み込む行為だ」などと訴えて中止を求めました。

安倍元総理大臣の国葬は、政府の閣議決定に基づき9月27日に東京の日本武道館で行われる予定で、全体の費用の概算は総額で16億6000万円程度になるという見通しが示されています。

国会で国葬をめぐって閉会中審査が行われた8日、反対する市民グループは総理大臣官邸前で集会を開き、主催者の発表で500人が参加したということです。

集会では、ルポライターの鎌田慧さんが「岸田総理大臣は国会にもはからず勝手に国葬を決め、憲法に違反している。好きでもない総理大臣の葬式を、なぜ僕たちみんなでやらなければならないのか理解できない。内心の自由に踏み込む行為だ」と述べ、中止を訴えました。

参加した29歳の女性は「コロナ禍で多くの人が大変なときに巨額の税金を使い、国論が二分している国葬を行うことは非常に疑問だ」と話していました。

政府は、国葬について「内閣府設置法に内閣府の所掌事務として国の儀式の事務に関することが明記され、閣議決定を根拠として行うことができる。国民一人一人に政治的評価や喪に服することを求めるものではない」としています。

立民 安住国対委員長“国葬決定は安易 首相は経緯など説明を”

安倍元総理大臣の「国葬」をめぐる国会の閉会中審査を前に、立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し、岸田総理大臣が「国葬」の実施を安易に決めたと指摘したうえで、経緯や経費などについて十分に説明するよう求めました。

この中で、安住国会対策委員長は「そもそも『国葬』を行う手続きに大きな問題があった。岸田総理大臣は『国葬』の法的根拠がないからこそ、立法、行政、司法の三権の意見を聞いたうえで判断すべきだったが、非常に安易に決めてしまった」と指摘しました。

そのうえで、「コロナ禍で国民は葬儀らしい葬儀もできない状況なのに、安倍元総理大臣の葬儀だけは多額の税金を使ってやることに納得感は全くない」と述べ、『国葬』の実施を決めた経緯や、かかる経費などについて、岸田総理大臣が十分に説明するよう求めました。

一方、自民党が旧統一教会との関係をめぐり、所属する国会議員に報告させた結果を公表することについて、安住氏は「閉会中審査の日に調査結果を出すのは、自分たちのニュースを小さく扱ってもらおうという自民党の執行部が考えそうな、せこいやり方だ。旧統一教会と自民党の関係と、安倍氏の『国葬』は、切っても切り離せない、ど真ん中の問題だ」と述べました。

岸田首相「『国葬儀』適切だと判断」

安倍元総理大臣の「国葬」をめぐって、8日午後、衆参両院の議院運営委員会で各党の質疑が行われました。
最初に岸田総理大臣が、実施を決めた理由について安倍氏が憲政史上最長の8年8か月にわたり総理大臣を務めたことなど4つを挙げ「『国葬儀』を執り行うことが適切だと判断した」と説明しました。

そのうえで「国として葬儀を執り行うことで安倍氏を追悼するとともに、わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意を示していく。合わせて来日する各国要人と集中的に会談を行い、安倍氏が培った外交的遺産をしっかり受け継ぎ、発展させる意思を内外に示す」と述べました。

松野官房長官「実施判断の理由や意義など丁寧に説明」

松野官房長官は記者会見で「安倍元総理大臣の業績や評価、そして国内外から幅広い弔意が表せられていることなどの状況を踏まえ、敬意と弔意を表す儀式を国の公式行事として開催し、その場に各国代表を招く形が適切だと判断した。きょうの閉会中審査でも、政府として『国葬儀』の実施を判断した理由や意義、それに検討状況などについて丁寧に説明していく」と述べました。