令和5年度予算案 概算要求まとまる 2年連続110兆円超の見通し

来年度=令和5年度の、国の予算案の概算要求が各省庁から財務省に提出され、防衛力の抜本的な強化を目指す防衛省の要求額が過去最大となるなど、一般会計の要求総額は2年連続で110兆円を超える見通しとなりました。

国の来年度予算案の編成に向けて各省庁は、31日までに財務省に対して概算要求を提出しました。

財務省の経済産業省の予算を査定する部署では、両省をオンラインでつないで担当者が要求内容を確認していました。

経済産業省は重要政策とされる脱炭素・GX=グリーントランスフォーメーションやエネルギー安全保障に関連する分野など、今年度の当初予算を上回る一般会計で4186億円、特別会計も含めて1兆3914億円を要求しています。

また、防衛省は、ことしの「骨太の方針」で防衛力を5年以内に抜本的に強化するとしていることを踏まえ、過去最大となる5兆5947億円を要求します。

さらに来年4月に設置される、こども家庭庁の準備室が1兆4961億円を要求したほか、厚生労働省は社会保障費の増額を踏まえ、今年度の当初予算を6000億円余り上回る33兆2644億円を要求しました。

この結果、各省庁からの要求の総額は111兆円余りとなった去年に続き、2年連続で110兆円を超える見通しとなりました。

今回の概算要求では、防衛やGX、子ども政策といった重要政策とされる分野では、要求段階で金額を示さない「事項要求」を例外的に認めていて、要求額は実質的には、さらに上積みされる見込みです。

厳しい財政状況が続く中、年末にかけての予算編成では歳出の増加が見込まれる重要政策などについて、財源の裏付けをどこまで明確に示すことができるかが問われることになります。

専門家「予算はメリハリを 歳出と負担のバランス不可欠」

財政学が専門の慶應義塾大学の土居丈朗教授は、今回の概算要求について「政府は安全保障上重要な防衛費やGX=グリーントランスフォーメーションなどについては、積極的に支援すると打ち出していることもあって、そうした分野の予算要求が大胆に増額している印象だ」と述べています。

そのうえで、「増額ありき、金額ありきではなくて、予算の中身のほうが重要で、時代遅れの支出は大胆に削減するなど、メリハリをつけて予算を組んでいかなければ、財政がさらに悪化してしまう」と指摘しています。

そして、「歳出だけを増やして負担を求めなければ、その分は国債の発行、つまり将来の借金で賄うことになってしまう。歳出の増加に対して負担のバランスをとっていくことが、これから不可欠だろう。財源をきちんと国民に示し、負担増をお願いしてでも支出を増やすということであれば、それを国民に問いながら、賛同を得ていくことが重要になる」と述べています。