旧統一教会問題など受け 霊感商法対策の検討会始まる 消費者庁

旧統一教会などの問題を巡って、霊感商法への対応の強化を求める社会的な要請が高まっているとして、消費者庁は、専門家が霊感商法などの悪質商法への対策を話し合う検討会を設置し、その初会合が開かれました。

委員からは「被害を幅広く把握するために民間の相談窓口の活用なども検討することが必要だ」とか「消費者契約法で定められた契約の取消権がどのくらい行使されたのかなど分析する必要がある」などと言った意見があがりました。

消費者庁の「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」は、8月29日の午後5時半からオンラインで始まり、検討会には旧統一教会の問題に取り組んできた紀藤正樹弁護士やカルト問題に詳しい立正大学の西田公昭教授など8人が出席しました。

「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」とは

「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」は、いわゆる霊感商法などによる被害の未然防止や、被害救済の対策を検討していくために、消費者庁に新たに設置されました。

検討会では主に霊感商法や開運商法などについて過去に寄せられた相談などに対して消費者庁がどのように対応したのかを検証するとともに、被害の未然防止や被害の救済にどうつなげていけるのかの対策を専門の委員が話し合います。

委員には東京大学の河上正二名誉教授を座長に、旧統一教会の問題に取り組んできた紀藤正樹弁護士やカルト問題に詳しい立正大学の西田公昭教授、国民生活センターの理事長など8人が選ばれています。

検討会は、毎週、オンラインで開催され、原則公開されることになっています。

今月26日の記者会見で河野消費者担当大臣は、できるだけ速やかに報告書や提言などをまとめたいとする考えを示しています。

河野消費者相「どう被害を未然防止し救済するか 議論を」

冒頭に河野消費者担当大臣は「スピード感を持って対応するよう総理から言われている。霊感商法が法律に記載されたあと、寄付のようなものに移り始めたという話もあるが、その際に消費者庁として対応できていたのかどうか。検証と同時にどう被害防止や救済していくのか、積極的に議論頂きたい」などとあいさつしました。

このあと消費者庁の事務局から、霊感商法などに関する事例や対応についての説明が行われ、全国の消費生活センターなどに寄せられる霊感商法を含む開運商法の相談件数は例年1200件から1500件ほどで推移していることや70代以上の高齢者が相談者として多いことなどが説明されました。

紀藤弁護士「相談窓口 民間の活用なども検討が必要」

そして、委員による意見交換が行われ、この中で紀藤委員は「消費生活センターへの相談だけでは被害を全部拾うことはできない。民間の相談窓口の活用なども検討することが必要だ」などと述べました。
また寄付やお布施などに関して、「宗教界の発想は法律家の議論とは異なるため、信教の自由と民法についても議論すべきだ」などと提言しました。

菅野弁護士「霊感商法の契約の取消権が効果あるか知りたい」

また弁護士の菅野志桜里委員は、「消費者契約法が改正され、霊感商法についての契約の取消権が定められて以降、どのくらい行使されたのかなど分析する必要がある」と述べました。

西田委員「予防のための消費者教育が重要」

また西田委員からは「予防のための消費者教育が重要だ。家族など周りからの相談も多いため、誰を、被害者、当事者と捉えるのかなど、法律の見直しの検討も必要だ」などといった意見もあがりました。

検討会は毎週オンラインで開かれ、YouTubeの消費者庁の公式アカウントで原則、公開されることになっています。