「文書交通費」の見直し
今国会での法改正は見送りに

いわゆる文書交通費の見直しをめぐり、自民党は21日の会期末を前に、日割りでの支給に改める法改正を優先的に行うよう野党側に重ねて提案しましたが、野党側は、支給方法の見直しだけでは不十分だとして、受け入れられないという考えを伝えました。これによって、今の国会での見直しは見送られることになりました。

国会議員に毎月100万円支払われる「文書通信交通滞在費」の見直しをめぐり、自民党の高木国会対策委員長は、立憲民主党など野党3党の国会対策委員長と相次いで会談しました。

高木氏は、21日が臨時国会の会期末となることから、与野党の間で一致している日割りでの支給に改める法改正を優先的に行うよう重ねて提案しました。

そのうえで、野党側が求める使いみちの公開の義務づけについては、仕組みなどの検討が必要だとして、与野党で協議する場を設けたいと述べ理解を求めました。

これに対し野党3党は「支給方法を改めるだけでは不十分で、国民の理解は得られない」として、受け入れられないという考えを伝え、今の国会での見直しは見送られることになりました。

高木氏は「非常に残念だが、合意に向け協議は続けていきたい。今後、各党が実践することを持ち寄って協議を進めれば、具体的な議論ができる」と述べました。

立憲民主党の馬淵国会対策委員長は「自民党が本気で取り組んだとは到底思えず、非常に不誠実な対応だ。使いみちの公開の義務づけに向け、引き続き努力していく」と述べました。

立民 泉代表「自民党提案は世論に背く」

立憲民主党の泉代表は党の執行役員会で「自民党側からの提案は内容がほぼなく、この段階に至っても具体的な前進が見られないのは世論に背くものだ。岸田総理大臣に本当に『聞く力』があれば国民の大多数が求めている使いみちの公開の義務づけも実現しなければならず立憲民主党は改めて強く訴えていく」と述べました。

公明 山口代表「各党が真摯に議論すべき」

公明党の山口代表は記者団に対し「臨時国会のタイトなスケジュールでは合意を作りきれなかった。異論のない日割りを合意の出維新 松井代表「議員の厚遇 行き過ぎ 自公やる気がない」発点にして各党が使いみちの公開や使途について真摯(しんし)に議論すべきで、議院運営委員会に協議の場を設けるよう提案したい。最終的には合意を作るという姿勢で各党が臨むことが大事で、公明党はその先頭に立ちたい」と述べました。

維新 松井代表「議員の厚遇 行き過ぎ 自公やる気がない」

日本維新の会の松井代表は記者団に対し「自民党と公明党がやる気がないということだ。納税者の皆さんからすると国会議員の厚遇は行き過ぎている。維新の会は100万円を別口座で管理して銀行の通帳や領収書をすべて公開する。これは法改正をしていなくても、やる気の問題だ」と述べました。

共産 小池書記局長「使いみち開示は世間の常識」

共産党の小池書記局長は記者会見で「自民党の提案では使いみちの公開の義務づけが先送りになってしまう。毎月100万円が支給される以上、使いみちを開示することは当然やらなければならず世間の常識だ。これに背を向ける自民党の対応は許されず厳しく批判されるべきだ」と述べました。